8月21日 蓮舫(民主党 新緑風会)の質疑(全文) 参議院『平和安全特別委員会』
※平成27年8月21日、参議院『平和安全特別委員会』より
安倍内閣総理大臣
これは党に多大な迷惑をかけたと、本人の意思で離党届が出されたものと承知をしております。
安倍内閣総理大臣
幹事長に報告があったと承知をしておりますが、本人が先のインターネットにおける発言、そしてまた今回、未公開株における疑惑について、党に対して迷惑をかけたことをもって離党をすると、そういう説明があったというふうに聞いています。
安倍内閣総理大臣
党の方から本人に対しまして、しっかりと説明責任を果たすようにということでございました。
安倍内閣総理大臣
わたくしは、政府の総理としての立場としては、事実を確認するという立場にはないと、このように思っております。
安倍内閣総理大臣
我々自民党においては、総裁が総理になった際には、いわば政府の長としての責任をまっとうすることに全力に尽くす、党においては幹事長がその任にあたる。
わたくしはかつて小泉政権時代、幹事長でございましたが、党で起こったさまざまなことについてはすべてわたくしが責任をもっておりました。
今回も谷垣幹事長が、責任をもって対応をしているということでございます。
安倍内閣総理大臣
そもそもわたくしは、それについてまったく存じ上げておりません。
消費者庁担当大臣にお伺いします。
消費者トラブルとして、
その「もうけ話」、大丈夫ですか?
詐欺的な投資勧誘にご注意ください!
と、政府広報オンラインで特集をしています。なんのトラブルが多発されてるんでしょうか?
山口消費者庁担当大臣
お答えいたします。
ただいまご指摘いただきました政府広報でありますが、これは平成25年、一昨年でありますが、5月に実は関係省庁で、いわゆる新しい詐欺的な投資の勧誘、これによる問題が多発をしておるということで、政府広報オンラインに掲載をいたしました。
その中で、「未公開株をめぐるトラブルが多発をしております」というふうなことで、未公開株の購入を勧められ、未公開株を購入したところ株券が届かない等のトラブルが多数発生をしておる、あるいは未公開株をめぐるトラブルや被害について一時減少傾向にありましたが、ふたたび被害が増えてきておる、あるいは未公開株詐欺の勧誘の手口が巧妙になってきておる、というふうなこと等を掲載をさせていただきました。
まさに消費者庁も、あるいは政府広報のホームページでも、金融庁のホームページでも、警察庁でも、政府をあげての注意喚起は未公開株の詐欺。
これ、金融庁のところでは『発行会社との強いコネにより入手』、『値上がり確実』、『あなただけに特別に譲渡します』などと称して未公開株の購入を勧められ、
国会議員枠と未公開株の購入を持ちかけ、株は購入せず金を返還しない
と報じられた武藤貴也議員、これ大臣、この注意喚起の事例にあてはまりますか?
山口消費者庁担当大臣
わたくしも週刊誌しか存じ上げておりませんので、その点についてはコメントを申し上げるようなものは持ち合わせておりません。
まさに学生を利己的と批判した武藤議員の方が利己的だったと改めて思うんですが、偽のもうけ勧誘は詐欺、インサイダー取引だと『金商法取引違反』、自身の貸付金未記載は国会議員資産公開法違反の疑い、自民党は議員が法律違反の疑いがあるなら、離党届を迅速に処理するのではなくて、自身の会見を促して、党として調査をして処分をするのが、これが筋ではないですか?
安倍内閣総理大臣
武藤議員は個人の判断として離党届を提出をし、党としてすでに受理したとの報告を受けております。
国会議員は自らの行動に責任を持つべきであり、国民の信頼を損なうことのないよう、常に襟を正さなければなりません。自身の行動に関しては、政治家本人がしっかりと説明責任を果たすべきであると、このように考えております。
提案します。
今からでも離党届を一時預かるかたちにして、法律違反の疑いのある御党の議員だった人にちゃんと調査をして、そしてこれが問題がないのか、あった場合には議員辞職勧告を自民党総裁として、内閣総理大臣として、わたしはするべきだと思いますが、いかかでしょうか。
安倍内閣総理大臣
まずわたくしは行政府の長ですから、それが立法府の議員に対して議員を辞めろと言うのは、これは三権分立の関係から適切ではないと、こう思うわけであります。
一方、党としてどのような判断をするか、この案件についてどのような判断をするかということは、わたくしは党に任している一議員の行動については、まさに党に任しているわけでありまして、党として現在のところの判断としては、本人が離党届を提出し、それを受理したと、こういうことでございます。
安倍内閣総理大臣
本人から事情等を聴取したのは幹事長であり党でございますので、そうした対応については党に任せておるところでございます。
つまり、党から切り離して終わりというかたちなんですね。
もうひとり、国会議員として憲法尊重擁護義務があり、首相補佐官として総理の側近としてお支えになっている、磯崎補佐官。
「法的安定性は関係ない」と、「解釈が変わっても問題ない」と、政府の姿勢をまっこうから否定した問題で、この委員会が相当、大きな支障がでました。辞任せよと、改めて総理から磯崎首相補佐官には言われませんか?
安倍内閣総理大臣
磯崎補佐官の発言については、これまで繰り返し申し上げてきているとおりでございますが、先日、磯崎補佐官自身が国会において説明をし、お詫びをしたとおころであり、わたくし自身も磯崎補佐官に対し、誤解をされるような発言は慎むべきであるとの注意をしているところでございます。
磯崎補佐官は「法的安定性は関係ない」という部分の発言は取り消すとともに、今後、補佐官としての職務に精励する旨、説明しているわけでありまして、引き続き職務にあたってもらいたいと考えているところでございます。
今回の平和安全法制は、自衛のための必要最小限度の武力の行使しか認められていないとの、従来の政府見解における憲法第9条の解釈の基本的な論理はまったく変わっておらず、合憲性と法的安定性は確保されており、このことは磯崎補佐官も充分承知をしていると、このように思います。
磯崎補佐官は、自民党が野党の時代にたいへん激しく民主党の閣僚らを批判する質問をされていました。
平成23年7月、これは菅総理でしたが、組閣人事が不適当なので引責を迫り、総理が任命者として責任を感じると答弁をされると、「責任は感じるだけじゃなくて取ってほしいと思います」と。
今回、磯崎補佐官は「職務に専念することで責任を果たしていく」と答弁しておりますが、自らが時の総理に言われたように、責任は果たすではなくて取ってもらうように、総理から進言するべきではないでしょうか。
安倍内閣総理大臣
ただいま申し上げましたように、この委員会において、磯崎補佐官はすでに自分の発言について説明をし、そして本人も不適切だと考えた部分については取り消したわけでございまして、今後、法的安定性に対する考え方は、基本的に我々が示している、政府として示しているとおりでありまして、磯崎補佐官もこのことは承知をした上において、職務を果たしてもらうことによって責任を果たしていってもらいたいと、このように思います。
よくわかりました。
面倒や問題になりそうな議員は中身を確認せずすぐ離党させ、自分の仲間のお友達は守るという姿勢が、わたしはこれ矛盾してると思います。
では安保法制について伺います。ここからは中谷大臣、お願いいたします。
今回の安保法制は過去の政府答弁を180度ひっくり返して、限定的なら集団的自衛権は使える、ホルムズ海峡で武力行使をしても自国防衛のためだから憲法違反にならない、政府の強弁に対して、存立危機事態に関しては相当なやり取りがありました。
ただ、今回は10本もの法律を1本に束ねて出しておりますから、まだまだほとんど議論されていない法案が、衆議院で強行採決して参議院に送られました。その中のひとつが自衛隊改正法です。
自衛隊改正法95条。もうひとつ新たな項目を作りますが、これは何のために新設するんでしょうか。
中谷防衛大臣
これは自衛隊と米軍等の軍隊が連携をして、我が国の防衛に資する活動に現に従事している際に、米軍等に対して武力攻撃に至らない侵害が発生した場合に、緊密に連携して対応することが我が国の安全にとって重要でありまして、その際に米国等の部隊等に対して武器防護を可能とする内容でございます。
これまで自衛隊は、隊が保有している武器とか弾薬とか、あるいは航空機とか、それが狙われる、襲撃される、奪取されることがないように、自らの武器を使って守ることができてました。
武器とかは日本の防衛力である重要な物的手段だから、それが奪われたら我が国の、やはり危機になりますから、それは当然の規定だと思っています。
ただ今回、この改正案が成立をすると、自衛隊は自分の武器のみならず、米軍の武器も守ることができるようになる、米軍の武器だけでしょうか?
中谷防衛大臣
米軍等といたしておりまして、我が国の防衛に資する活動をしている国の軍隊の武器でございます。
昨年7月1日の閣議決定では、自衛隊が守る新たな武器は米軍となっていました。それが法案ではその他の外国の軍隊の武器も守ると、広まってるんですね。
米軍、その他の国の軍隊の武器も、我が国防衛に資すると防衛大臣の判断をすれば、自衛隊が他国の軍の武器を守れる。
これ法案では我が国の領海内とか地域は限定されてますか?
中谷防衛大臣
これは限定はされておりません。
中谷防衛大臣
これを追加した理由といたしましては、我が国をめぐる安全保障環境が厳しくなっておりまして、もはやどの国も一国だけで自国の安全と平和を守れないと。
やはり平素から他国と協力をして、安全保障を維持するという必要がございまして、そういう意味で米軍に限定しただけではなくて、他国においても我が国の防衛に資するという活動をしている場合においては、武器の防護が可能とするということでございます。
つまりこの法案では、我が国の防衛に資すると防衛大臣が判断すれば、自衛隊、自衛官です、法案の主が自衛官です、自衛官は世界のどこでも、陸海空どこでも、外国軍の武器を我が国の防衛のためにと守ることができます。
武器とは化学兵器とかミサイルも入りますか?
中谷防衛大臣
95条における武器等と同様でありまして、武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信、又、無線設備、液体燃料をいうものでございます。
中谷防衛大臣
武器等といたしておりまして、それも可能ということでございます。
中谷防衛大臣
この95条の2の警護できるということは対象といたしまして、我が国の防衛に資する活動に現に従事している米軍等の部隊の武器等に限られますので、そういう範囲の中で認定をするかどうか、判断をするわけでございます。
法案で自衛官が防護、守る武器等は、米軍の空母から戦闘機、あるいはミサイル、すべてを守ることができる法案なんです。
さらにこうした武器を警護する、防護するために、自衛官が武器を使えると規定しています。
使える武器とは何ですか?
中谷防衛大臣
それは自衛隊が保有する武器等で、警護、防護ができるということでありますが、しかし、いろんな制約をつけておりまして、現に戦闘が行われている現場では実施をいたしませんし、また、それをもって武力行使につながるというようなことにならないように、その場合にそれを中止をするというような規定がございまして、あくまでも平時におきまして、武力行使にならない範囲で警護を実施するということでございます。
中谷防衛大臣
これは7月8日の委員会でのやり取りでございまして、ミサイルの使用というものは当然考えられるということでございますが、先ほども申し上げましたとおり武力行使にならない範囲での警護でございますので、こういった行動が戦闘行為になるならできませんが、それに認められないような、それ以前の段階になりましたら、たとえば不審船、現に以前、不審船からミサイルが撃たれまして、海上保安庁と対戦する情況になりましたが、そのようなグレーゾーン、戦闘行為に至らない場合におきまして、ミサイルが発射された場合におきましては警護をすることもありうるということはございます。
いま大臣が答弁した、武力行為にならない範囲の警護ですと。これを聞くとなんとなく大丈夫なんだなと思いますけども、実はこの法案はほとんど縛りがありません。
空母や米軍艦船を守る自衛官は、仮に守っている艦船の狙って発射された対艦ミサイル、それが飛来してきたら迎撃することができますか?
中谷防衛大臣
それが戦闘行為の一環でありましたら、それはできません、いたしません。
ただし不測の事態等に応じて確認できないような場合におきまして、我が国の自衛隊に対してもそのようなケースがございますが、それと同様に米国等の船舶等にミサイル等がやられた場合、それが戦闘行為でないと判断した場合は防護ができるということでございます。
中谷防衛大臣
警護対象である米国等の部隊の武器に対するミサイルによる侵害行為が、戦闘行為、すなわち国際的な武力紛争の一環として行われる、人を殺傷し、又、物を破壊する行為にあたらない場合には、たとえばテロリストがミサイルを使用してくるような場合であれば、本条により対処することは排除されないと考えられます。
なお、国際的な武力紛争が発生しておらずに、周囲にその兆候も認められない情況におきまして、自衛隊が米軍等の部隊と共に活動している現場で、突発的に戦闘行為が発生するということは想定されないわけでございまして、先ほど申し上げましたように、テロリストとか不審船、こういったものがミサイルを使用してくる場合であれば、本条により対処することは排除されないと考えております。
米軍の空母を自衛官が警護をしている時に、近傍で武力衝突が発生しました。そこから突発的に米軍艦船に着弾。米軍が防護、応戦。それを契機に武力衝突が始まり、自衛隊が防護している米軍の武器そのものが戦闘行為で使用される可能性は、まったく想定されないんですか?
中谷防衛大臣
これはあくまでも武力紛争が発生していないような情況でございますし、防衛大臣はこの戦闘行為が行われるおそれを含む周囲の情勢、または米軍等の部隊の能力等を踏まえまして、警護を行う必要について慎重に判断をすることになるわけでございますので、その場の現場、情況において判断をするわけでございます。
中谷防衛大臣
それはいろんな情勢に応じて判断をするわけでありますが、戦闘行為とか武力攻撃とか判断をするのは、これは政府でございます。その場合はやはり、組織的、計画的な武力攻撃であるかどうかということで、これは武力行使につながるということで禁じておりますが、しかし現場において、偶発的、また不審船等、テロリストによってそういった事態が行われるわけでありまして、これが国、もしくは国に準じる組織でない場合は、これは武力行使にはならないわけでございますので、そういう場合はわたくしは可能であると、そして判断するのはやはり、現場の官庁なり、指揮官等が判断するということでございます。
中谷防衛大臣
そもそもこの規定というのは、武力行使にならないということと、現に戦闘行為が行われている現場において、警護にならないということでございます。
89条の2というのは治安出動時の権限ということで、この前項が警察官職務執行法ということで、それを準用する警察官職務執行法の規定により、自衛官が武器を使用する場合は刑法によらなければならない、つまり正当防衛等ということでございますが、これは治安出動時の権限でございまして、それはあたらないということでございます。
中谷防衛大臣
準用されません。
中谷防衛大臣
条文上はそうですが、部隊として判断する。
つまりこれはどういうことかといいますと、こういった警護任務を与える場合は防衛大臣が命令をするわけでございます。したがいまして防衛大臣の権限、命令のもとに武器防護を行うわけでございまして、これは自衛隊の部隊としての運用ということでございます。
中谷防衛大臣
自衛隊法95条は武器等を防護するために、武器を使用しうる権限を、武器等の警護にあたる個々の自衛官に与えておりますが、複数の自衛官が警護する場合もありまして、このような場合において警護任務を与えられた自衛官が、その上官の命令のもとに集団的に、第95条にいう防護を行うことも想定されております。
このような対応は組織行動を本旨とする自衛隊の特性上、充分に考えられるところでございまして、同条もこのことを否定するものとは解しがたいわけでございます。
現に航空機におきましても、領空警備にあたっているわけでございますけれども、それぞれ武器の使用等におきましては、やはり組織的に行動しているというようなことでございますので、当然部隊といたしまして、その上官の命令のもとに対応するということでございますし、現実は《ROE》と申しますけれども、部隊、行動基準、武器使用、こういうルールを決めた中で対応をするということでございます。
中谷防衛大臣
95条におきましては、2におきましても、やはり先ほどもお話をいたしましたとおり、上官の命令のもとに組織的に、95条と同様でございます。95条にいう防護を行うことも想定をされているということで、組織行動を本旨とする自衛隊の特性上、こういった活動におきまして対応をしていくということでございます。
安倍内閣総理大臣
この95条は、95条の2と同じでありまして、我が国の自衛艦を自衛隊員が守る場合と同じであります。そしてこの武器の使用については、任務遂行のための武器の使用でありますから、当然これは任務として遂行するわけでありますから、指揮官が命令する。
一方、PKO等の場合は、これは自己保存のための武器の使用でありますから、然り、自己保存のための武器の使用ではありますが、その上において指揮官の命令に従うということをあえて書かざるを...書いたということでございまして、自己保存のためと、そして任務遂行のための武器の使用の違いがあるということでございます。
総理、条文にまったく書かれていない答弁をするのやめてください。条文の話をしています。
中谷大臣、わたしがなぜこれにこだわってるかといったら、これは自国の武器と同様にと総理も言いますけれども、自国の武器同様に、地球上どこでも、米軍、それ以外の外国の軍隊のあらゆる例外規定のない武器を自衛官が守れることになってる。
その時に米軍の空母を警護するとなると、潜水艦からの魚雷とか戦略ミサイルもこれ撃ち返すことができるんですよ。
つまりこの法案が通ったら、我が国を守るという名目で地球上どこでも外国の軍隊の武器を守る自衛官、ミサイル迎撃、火器使用が可能、相手から見たら、それはまさに外敵に、集団的自衛権の行使に映りませんか?
中谷防衛大臣
無限定ではございません。
この武器使用というのは我が国の防衛に資する活動に現に従事している米軍等の武器等を武力攻撃に至らない侵害から防護するための、きわめて受動的かつ限定的な必要最小限の行動でございます。
それから権限につきましては、たしかに95条は武器等を防護するために武器を使用しうる権限を、武器等の警護にあたる個々の自衛官に与えておりますが、これは自衛官でございますので、これは部隊の一員でございまして、やはり指揮系統に従う、基づく存在でございまして、こういった場合におきましては上官の命令の下に統制をされておりますし、射撃におきましても《ROE》等で規則に縛られるということでございます。
いま中谷大臣が答弁した項目は、条文にはひと文字も書いてありません。わたしは法案の不備だと思っています。
自衛隊法改正案、これ米軍等に武力攻撃に至らない侵害が発生し、日本に武器等防護の要請をされることが前提です。
では、武力攻撃が発生していない重要影響事態でも、武力攻撃が無いので外国軍隊の武器を自衛官は守れますか?
中谷防衛大臣
重要影響事態におきましても可能となっておりますが、戦闘行為等が発生した場合には、それは行わないということになります。
重要影響事態でも自衛隊は外国の軍の武器を防護できる。
現在の周辺事態法が重要影響事態法案にありました。地域の限定が取れました。これによって現行より活動範囲が広がりました。広がった現場が武力行使と一体化にならないために重要影響事態法案では、自衛隊の活動する後方支援活動の現場を厳しく定めています。
重要影響事態法案6条3、4、5項の説明を簡単にお願いします。
中谷防衛大臣
まず重要影響事態法におきまして、第6条3項におきまして、防衛大臣は自衛隊の部隊等が実際に円滑かつ安全に後方支援活動を実施することができるように実施区域を指定する旨、規定いたしております。
この規定を受けまして、今現在戦闘行為が行われていないというだけでなく、自衛隊が現実に活動を行う期間について、戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を指定するわけでございます。
第6条4項は、3項の要件、すなわち部隊等が安全に活動を実施することが困難となった場合に、防衛大臣は活動の中断を命じる規定をいたしております。
そして6条の第5項、これは第3項に基づく実施区域の指定、すなわち自衛隊が現実に活動を行う期間について、戦闘行為が発生しないと見込まれる地域を指定したにもかかわらず、万が一部隊等が活動を実施している場所、またはその近傍において戦闘行為が行われることが予測される場合には、部隊等の長は活動の実施を一時休止するなどして、危険を回避することを規定をいたしておりまして、これらの規定によりまして、後方支援が他国の武力による行使と一体化しないというようなことを確保しているわけでございます。
実際に戦闘行為が行われている現場では後方支援はしないという法案なんですが、自衛隊の活動が円滑、安全に実施できなかった場合には活動区域を変更する、活動自体を中断する、あるいは現場の責任者は活動実施場所や近傍で、実際に戦闘行為が行った場合、予測された事態には避難をする、一時中止、危険回避の条文が設けられてます。
これは戦闘行為がない前提の場所ですけれども、やっぱ危険な地域になりうるからこういう条文を設けたんでしょうか?
この重要影響事態時なんですが、現に戦闘行為が発生していない現場なので、自衛官は自衛隊法改正によって他国軍隊の武器をこの事態の時には防護ができます。
自衛隊法改正案では、重要影響事態法に規定しているこうした実施区域指定、変更、中断、現場で近傍で戦闘が起きた、起きる時の一時中止、危険回避の条文はありますか?
中谷防衛大臣
まず武力攻撃が発生していない時の対応につきまして、まず防衛大臣が戦闘行為が行われるおそれを含む周囲の情勢、また米軍等の部隊の能力等を踏まえて、警護を行う必要性につきましては慎重に判断をするということになるわけでございます。
また重要影響事態において、自衛隊が補給、輸送の後方支援活動とともに米軍等の武器等を警護している場合においても、後方支援活動を行っている場所が、現に戦闘行為が行われている現場となる場合には、先ほど申し上げましたけれども、後方支援活動を一時休止するなどの判断に合わせて、警護も中止するということで、武力の行使にあたらないようにしているわけでございます。
中谷防衛大臣
自衛隊法というのは、まさに我が国に武力攻撃が発生したような場合における自衛隊の活動でございまして、これはまさに我が国を防衛するために、自衛隊におきましては本来、任務であります我が国を防衛する上において、身の危険を顧みず、国民の負託に応えるために最善の目標を達成するための行動をするということでございます。
この重要影響事態におきましては、まだ我が国安全に重要な影響を与える事態で、他国の後方支援ということでございまして、この場合におきましては一時休止とか、危険回避、こういうことを法律上明記をしたということでございます。
まさに自分の危険を顧みない行動をとって我が国を守ってくださる自衛官、自衛隊をわたしは尊敬をしています。それはもうたいへん素晴らしい行動だと思っています。ただ、いまおっしゃったのは重要影響事態法案の危機回避条文です。
自衛隊法第95条の改正案にはなんでこの危機回避条文がないんですか?
中谷防衛大臣
重要影響事態法に基づく対応はしますが、それは重要影響事態に該当する範囲でございます。
95条等につきましては、平時とこういった重要影響事態、これは含むわけでございますが、しかし武力行使にならないという範囲の中の行動でございます。
大臣が下令をした時には現に戦闘現場ではなかった。ところが自衛官が活動をして米軍の武器を守っている時に突発的にミサイルが飛んできて、それを迎撃する、あるいは米軍が攻撃をする、武力行使が始まるリスクがまったくないというのはどこで担保されてますか?
中谷防衛大臣
まず、法律的には先ほど6条の3、4、5ということで、重要影響事態の場合、判断をいたします。
そしてこの武力紛争、それが発生していないかどうかということにつきましては、やはり周囲のその兆候を、そういったことをしっかり見きわめをするということで、現に活動を行う場合におきましては、その兆候が認められない情況で、自衛隊が米国等の部隊と共に活動をしている現場でありますので、先ほども申し上げましたが、突発的に戦闘行為、これが発生をすることは想定をされませんし、また警護の実施の可否を判断するにあたりましては、これは法律で規定されておりますが、現に戦闘行為が行われている現場において武器を警護することがないように、これは客観的、合理的に行うということで、万が一、情況の変化によって戦闘行為が発生するおそれがあると認めた場合におきましては、大臣が警護の中止を命じるというようなことでございますので、武力行使にあたることがないという情況において、実施をするということでございます。
先ほど総理が答弁の中で、安全保障環境は日々変わってると言いました。なのにどうして大臣が自分が下令をする時に、ここは戦闘行為が行われない地域だと指定をしたら、自衛官が活動をしている期間を通じて、突発的にそれが武力行使の場所、戦闘攻撃の場所にならないと言い切れるんですか?
中谷防衛大臣
それは組織でありますので、常に現場と情報の伝達、交換をしながら判断をするわけでございますが、あくまでも、やはり現場の情況は現場の指揮官、これが責任をもって行動を統制をいたしておりますので、戦闘行為が行われていないかどうか、また行われるようになるかどうかしっかり情報収集をし、また他国との部隊と連携をいたしておりますので、他国軍からのそういった情報、また活動内容等も調整をしながら行っていくということでありますが、そういったことにならないように、常に現場の指揮官が判断をして行うということでございます。
今言われたことも全部、条文には担保されてません。書いてないんです。書いてないんです。運用の話の審議をしてるわけではないんです。
日本が襲われるかもしれない、まだ武力行使は発生していないけれども襲われるかもしれないから、重要影響事態法案で自衛官はそこに行く、でもその時にあぶない目にあわないように実施区域を作って、何かあった時に危険退避条文を入れてるのに、自衛隊法改正95条の2、地球上どこでも、米軍等の武器、何でも守れる自衛官は何かあった時にリスクを回避する条文がなんでないんですかと先ほどから伺ってるんです。
中谷防衛大臣
これは平素の時の規定でありますので、...95条でしょ?
ただし重要影響事態におきましては、先ほどご説明があったような3項目において戦闘に至らないように、また一時休止できる、重要影響事態においてはそういう規定を設けたわけでございます。
中谷防衛大臣
95条でございますが、その中でも重要影響事態に対してありうるということで、重要影響事態におきましてはこのような戦闘に及ぶことがないように規定をしたということでございます。
中谷防衛大臣
それは一例でございまして、規定といたしましては我が国の平和、安全に重要な影響を与える事態ということで、それはそれぞれの情況等を勘案をしまして、総合的に判断をして、その支援を行うということで、それは先ほど蓮舫委員が言われたのは、ひとつのわかりやすい一例として条文に書かれているわけでございますので、それがすべてではないということでございます。
中谷防衛大臣
これは周辺事態を審議する時によく議論をされましたが、「大森6事例」ということで、...6事例でございます。6つの事例をあげておりますが、これは包括的な全部の事例ではなくて、事例の一例でありますが、この規定といたしましては、法文に書かれていますように、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態ということでございます。
防衛大臣が武器原則の5原則とか、野呂田6とか、あるいは大森4原則とか、混合してるから整理をした方がいいんじゃないですかとご注進申し上げて理事が立ったのに、総理は「そんなことどうでもいいじゃん」、ちょっと説明して?どういうことでしょうか?
安倍内閣総理大臣
わたくしはどうでもいいなどと言ったわけではなくて、わたくしから先ほど「それは「大森6原則」ではなくて、〔野呂田6原則〕ですよ」と、こう言ったわけでありまして、それを間違えただけで、いわばそれは本質とは関わりがないことであってということを申し上げたわけでありまして、どうでもいいということは決して申し上げていないわけでありますので、それをはっきりと申し上げておきたいと思います。
鴻池委員長
委員長から申し上げます。
総理に対しまして、この席から恐縮でありますけれども、自席でのご発言は控えていただきたいと思いますが、今の件につきましてご発言ありましたらよろしくお願いをいたします。
安倍内閣総理大臣
先ほど大臣から「大森6原則」と、こう答弁したわけでございまして、理事が出てこられましたので、わたくしの方から「それは〔野呂田6事例〕だ」と、こういうふうに申し上げたわけでございまして、それでわたくしが(自席を指して)ここから申し上げたわけでありますが、それは大臣からの答弁の本質ではないので、これで答弁を続けさせてもらいたいという意味で申し上げたわけでございますが、いずれにいたしましても、わたくしの自席での発言は撤回させていただきます。
中谷防衛大臣
先ほどの発言を訂正させていただきます。大森と申し上げましたが、これは野呂田防衛庁長官時の、平成11年4月26日に政府が示しました6事例ということで、〔野呂田防衛庁長官の6事例〕ということでございます。
総理もちょっと混合されてるんだと思いますけども、先ほど「大森6原則」と言いましたけれども〔大森4要素〕です。これは武力行使と一体化しないために決めた基本原則で...、〔野呂田6類型〕は重要影響事態法案の話です。
安倍内閣総理大臣
わたくしは中谷さんが「大森6原則」と言ったので、わたくしはそこで訂正する時に〔野呂田6事案〕と、このように訂正をわたくしからしたわけでありますが、「それでもういいでしょう」と言ったわけでありますが、でもわたくしが自席でそう発言したことについては、撤回させていただきたいと思います。
武力行使の一体化にならないように定めた基本原則の〔大森4要素〕、そして重要影響事態法案でしっかりと守らなければいけない〔野呂田6類型〕、これ「まぁいいじゃん」ってレベルのものではありません。
自衛官は現場でほんとにリスキーな立場で我が国を守るために活動をしてるわけですから、総理も防衛大臣もそれを混同するということは、10本もの法律を1本に束ねてくるからじゃないですか?
だから自分の頭の中でも整理できてないんじゃないですか?
改めていまの答弁を聞いていても思ったのは、今回の安保法案の一連は切れ目がないんではなくて、ほんとに歯止めがないと思います。
今までの衆議院の審議、参議院の審議、たとえばの4つの事例ですけども、もっと挙げてくれと言ったらもっと挙げられます。
新3要件をクリアすれば他国の領土領海領空、武力行使が可能、策源地攻撃は可能、『ISIL』に対する空爆等への後方支援は可能、クラスター弾、劣化ウラン弾を装備する戦闘機への給油は可能、「法理上はありえる」と、総理大臣自らが答弁して、でも想定していない、考えていない。
立法府においては今の総理、今の大臣の判断は聞いていません。法律でどうやって内閣と将来の内閣を縛るかの議論をさしていただきたいんですが、総理、策源地攻撃、敵の基地等への攻撃、これ法律上できますか?
安倍内閣総理大臣
個別的自衛権でもそうですし、集団的自衛権においてもそうでありますが、個別的自衛権においても「座して死を待つべきではない」との答弁がございます。
そしてまた先ほどの95条についても、現行法においても、それは書いていないわけでございまして、それは2項になっても同じことであると、こういうことでございます。
いや、95条の1に書いてないというのは、それは非戦闘地域であり、我が国における武器の防護だからです。今回それを地球上どこまでも広げたから、歯止めをつけてくださいという議論をしてたんです。
そしていまわたしがお伺いしたのは、策源地攻撃は法律上可能ですか?
安倍内閣総理大臣
95条の現行法においても地理的概念はないわけでございますから、それは変わりがないということは申し上げておきたいと思います。
そして敵基地攻撃についての従来からの考え方は、法理上、つまり法的な理屈の上では、新3要件のもとでも変わりがないわけでありまして、ただし我が国は敵基地攻撃を目的とした装備体系は保有しておらず、個別的自衛権の行使としても敵基地を攻撃することは想定をしないわけでありまして、ましてや集団的自衛権の行使として敵基地を攻撃することは、そもそも想定していないわけであります。
安倍内閣総理大臣
これは個別的自衛権においても、それはそもそも書いていないわけでございまして、そこに今書いてありますような、たとえばかつて議論になった核弾頭のミサイルを運ぶかどうかということについても、現行法においても、それは禁止するものはないわけでございます。
それはそもそも政策上取り得ないわけでございますので、法文上もそれを禁止することは書いていないわけであります。
そもそも、これまでの法律ではできないとされていた集団的自衛権を使えるようにした、だからこそこれまでとの法律との整合性、あるいは歯止めが何よりも求められるのに、条文に書いてないということをわたしは申し上げているんです。
全部法律上はありえると、総理が、中谷大臣が答弁をして、考えてないとしてるんです。
これ考えてない、何で法律に書かなかったんですか?
中谷防衛大臣
これはもう、自衛隊法ができて以来、もう50年以上も前に国会答弁で、「座して死を待つこともない」ということで、ありうるという国会答弁がありまして、自衛隊法においても、そういった敵基地攻撃におきましては、法の理屈の上では可能で、自衛の範囲に含まれるということで可能ですが、ただし我が国は敵基地攻撃を目的とした装備体系も保有しておらず、そのような装備体系を保有する具体的な計画もないということでございまして、これは集団的自衛権を行使するとして、敵基地を攻撃するということはそもそも想定もしてませんし、ありえないということでございます。
つまり大臣が代われば、総理が代われば、考え方を変えれば、今の総理は特に憲法の解釈も変えてますから、装備を持つとしたらこの法律上は敵基地攻撃ができるようになっちゃう。
だから法律というのは権力を縛るために、真剣な審議を立法府でしなきゃいけないんですよ。
わたしは改めて総理、この安保法案、この70年目のこの夏に、わざわざ国会で無理して、集団的自衛権をわたしは優先する必要はないと思います。
いま最も求められるのは平和主義を守り抜くこと。
それと、失敗したアベノミクスで苦労してる国民の生活に向き合うことが政治に求められてるんじゃないですか?
安倍内閣総理大臣
アベノミクスは失敗はしていないということはまず申し上げておきたいと思います。大きな成果を上げております。実際は賃金も上がっておりますし、雇用状況もよくなっている。
その上で申し上げれば、策源地攻撃については、個別的自衛権においても旧3要件にあてはまれば、座して死を待つべきじゃない。
この新しい3要件のもとにおいても同じことであるということは申し上げておきたいと思いますし、先ほど来、議論をしております95条の1項と、今度の2項につきましても、今までの現行法と同じ対応であるということは申し上げておきたいと思います。