聞文読報

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7月29日 小池晃(共産党) 午後の質疑(全文) 参議院『平和安全特別委員会』

※平成27年7月29日、参議院『平和安全特別委員会』より

小池晃共産党

午前中に引き続いて質疑をさせていただきます。

午前中の質疑では、戦闘地域で行われる自衛隊の兵站が米軍などの武力行使と一体不可分の活動である、あるいは武力の行使そのものにあたると、憲法違反であるということを指摘をいたしました。

午後は、こうした兵站がいかに危険な実態を伴うものであるか、このことにしぼって議論をしたいと思います。

アメリカ海兵隊海兵隊教本、この兵站の部分にはなぜ兵站が危険なのか、その理由が詳しく書かれております。

兵站は大量の物資、巨大な距離、短い対応時間に対応しなければならず、兵站はほかの機能以上に常套手段、計算、さらに予測を用いる。これらの活動のすべては予想外の出来事、我々の間違い、あるいは敵の行動によって容易に影響され、妨害される。

その結論として、

兵站の部隊、設備、施設は単なる攻撃対象ではなく、軍事行動の格好の標的であることを認識することが重要である。

こう書かれてるんですね。

つまり兵站というのは大量の物資を計画的に届けるわけでしょう?計画的に、前もって、事前に、周到に計画を立てて、そうしなければいけないから、事前にもう、綿密な計画を立てなければいけない。だから今の対テロ戦争のような突然の攻撃にたいへん弱いんだということなんです。

これはアメリカ海兵隊が2010年に発表した〔エネルギー政策と知識戦略〕、この中にも「コンボイ、輸送車隊は伝統的戦闘や非対称の攻撃、いわゆるテロ攻撃に脆弱で攻撃目標になる」としております。

総理はこの兵站問題、この間、国会での答弁で「兵站は重要である」というふうに繰り返されてます。「重要であるからこそ安全確保しなければいけないんだ」と答弁されてます。しかしアメリカの海兵隊の文書を見ても、兵站は軍事行動の格好の標的であるし、特に昨今の対テロ戦争のような、相手が無秩序に突然の攻撃を仕掛けてくる、こういう攻撃にはもっとも弱いものだと。そういう認識は総理はお持ちですか?率直にお答えいただきたい。

安倍内閣総理大臣

先般も答弁をしたことがございますが、軍事技術が発達した今日においても、部隊は食料や物資の供給がなければ活動はできず、後方支援は不可欠であります。又、補給を受けている間は攻撃に対してきわめて脆弱な状態にあるため、現に戦闘行為が行われているような情況の下では、有効な後方支援を行うことは困難であります。

このため軍事技術の発達した現代においても後方支援に際しては、危険を回避して安全を確保することは当然であり、合理性のあることであります。これは同時に後方支援を十全に行うためにも必要なことでございます。今日においても実際このようなかたちで後方支援が行われておりますし、充分な情報収集を行うことによって、安全を確保した上で後方支援を行うことは可能であります。

そして今、小池委員が指摘をされました〔米海兵隊ドクトリン〕においては、兵站の脆弱性及び兵站に対する攻撃の危険性について指摘した記述はたしかにございます。他方で同じ〔米海兵隊ドクトリン〕においては、兵站の拠点、すなわち実施場所を考えるにあたって安全確保は主要な要素のひとつであるとされており、又、同様に兵站の実施場所は敵の行動から合理的な安全性が確保されなければならないとされているわけでございます。

小池晃共産党

いや、安全を確保するのは当然でしょうが。それが書いてあるからといって大丈夫だという議論というのは成り立たないですよ。わたしが言ってることにまったく答えてないじゃないですか?

一般的な攻撃じゃなくて、今の対テロ戦争っていうのはいつ何時、もうほんとに攻撃が起こるかわからないような事態の中でやっている、だからもっとも弱いんだと、脆弱なんだと言ってるわけでしょう?

今日のしんぶん赤旗のけさのスクープ記事で『陸上自衛隊の幕僚監部が監修した最新版の陸自教範、兵站』、これも記事にいたしました。この中でも書いてあります。

兵站部隊及び施設は、攻撃の開始に先立ってできるだけ前方で且つ主攻撃の支援に便利なように配置するとともに、攻撃の進展に応じてさらに前方に推進していく。

これが兵站の実態でしょう?

その中で、わたしが言ってるのは今のこのテロ攻撃に対して、総理が言ったのはほんとに古典的な、こう行ってなんか計画ができて、ここがあぶないと予測できて、そんなもんじゃないでしょうと今の実態は。そういう中で安全が保たれる、危険性があるってことを、総理はそういう認識を持ってないんですか?総理は最高責任者なんですよ?その認識を持たずに自衛隊員に命令できるんですか?わたしはハッキリ、そういう危険があるっていうことをハッキリ認めていただきたい。

総理に、総理に聞いてるんです、総理の答弁なんだから、いいよ。

中谷防衛大臣

その前に陸上自衛隊の教範のお話がありましたが、これは基本的な技巧を記述した、各部隊の指揮官のために教育訓練の一般基準を与えることを目的として作成しているものでございます。

その上でこのご指摘の兵站というのは、陸上自衛隊の兵站の運用について、武力攻撃事態の対処に際しての陸上自衛隊の戦闘部隊への支援要領を中心として記述していますので、重要影響事態、又、国際平和協力事態における他国の軍隊に対する支援については記述はしてないということでございます。

小池晃共産党

(法律できてないんだからそんなの記述してたらたいへんじゃない、い、いいですかぁ?法律が...)

安倍内閣総理大臣

今、小池委員のご質問に答えますが、たしかに軍事技術は発達をしておりますが、攻撃能力だけではなくて同時に情報収集能力も大幅に向上しているのも事実でありまして、情報の分析や評価の技術も発展しております。

(聞き取り不能)等からの情報を収集しそれを分析をしていく、シギント等の別途の能力も向上しているわけでありまして、したがって充分な情報収集を行うことによって、安全を確保した上で後方支援を行うことは可能であると。他方、安全が確保されないかぎり、自衛隊による後方支援を行うことはないわけであります。

小池晃共産党

中谷大臣、陸自教範に今議論してる法案に基づくものが書いてあったら大問題じゃないですか?書いてあるわけがないんですよ、何を言ってんですか。馬鹿な答弁をしないでいただきたい。

それから総理の答弁はやっぱり実態をまったくわかってないというか、対テロ戦争の現場の実態に目を背けた議論だというふうに言わざるを得ないと思うんですよね。わたくしは今日、実態に即して議論をしたいというふうに思うんです。

アメリカの陸軍の環境政策研究所がまとめたレポートがございます。これによりますと、2003年から2007年までの間にイラクアフガニスタンでの補給任務での死傷者数、これ見ますと陸自(発言ママ)だけでイラクで2,858人、アフガンで188人に達しております。補給物資の50%は燃料、20%が水、その他30%。

パネルにしましたが、アフガンで07年度だけですが輸送回数、燃料が897回、水は438回です。その897回の輸送のうち死傷者が38人出ています、実に24回に1人の割合だと。水の輸送でいうと438回のうち15人ですから、29回に1人の割合で死傷者が出てるわけです。水と燃料の輸送でこれだけの被害が出てる、これが戦場の実態なんですよ。

大臣、このレポートではイラクとアフガンにおける補給任務での死傷者数は深刻であると、米陸軍の死傷者の10%-12%であると、その大多数は燃料と水の輸送に関係してるってわけですよ。

総理、これが実態なんです。このレポートの書き出し、最初の一文はなんて書いてあるかというと「戦場での燃料、水の補給は命がけ」、兵站がどれほど危険かを示すレポートだと思うんです。

対テロ戦争の現場では兵站ほど狙われやすい、こういう実態があるってことを総理はお認めにならないんですか?わたしが聞いてるのは「大丈夫です、大丈夫です」じゃない、こういう危険があるってことを、これは当のアメリカの陸軍、あるいは海兵隊、そこがはっきり言ってる、それなのにそのことをお答えにならないのはきわめて不誠実ですよ。それを自衛隊員にやらせようとしてる時に、そのことを明白に言わない、こんな無責任な態度はないですよ、はっきり答えていただきたい。

安倍内閣総理大臣

このアフガンにおける活動についてのお話でございますが、我が国はこのアフガンに部隊を送っているわけではございませんので、諸外国が実施した諸活動や派遣に関わる制度の詳細について、我が国として把握をすることは困難ではありますが、我が国は憲法第9条の制約や法律上の規定を受けて、今現在戦闘行為が行われていないというだけではなくて、自衛隊の部隊等が現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を実施区域に指定した上で後方支援を行うこととしているわけでございまして、最初把握していないと言ったのは、他の部隊がどのような行動の基準を持ってるかということについては把握をしておりませんから、ただちに比較をすることはできないわけでありますが、我が国は明確に、憲法9条の制約がある上においての法律に則って活動するということは申し上げておきたいと思いますので、よってひとくくりに後方支援という切り口で、日本と諸外国を比較することはできないと思います。

小池晃共産党

イラクとアフガンの兵站の実態を把握していない。そんな中でそれを実際に可能にする法案を出す。こんな無責任な話、ないですよ。

しかも、いま兵站について自衛隊が現実に活動を行う期間について戦闘行為がないと見込まれる場所を実施区域に指定すると、そうおっしゃいました。

条文のどこに書いてあるんですか?言ってください。

なんで?総理が言ったことですよ!総理が言ったことですから、総理が答えてください!

中谷防衛大臣

条文につきましては、実施区域を指定する際に防衛大臣は、現に戦闘行為が行われておらず、活動期間に戦闘行為が行われる見込みがないということで、その円滑かつ安全に実施できる区域を指定するというふうに記述をされております。

小池晃共産党

法律の何条に書いてあるんですか?いま言ったことは何条に書いてあるんですか?

中谷防衛大臣

法案の中に防衛大臣は実施区域の指定が書かれておりまして、活動期間を通じて円滑、かつ安全に実施する地域を、区域を指定すると書いております。


国際平和支援法第7条3によりまして、防衛大臣は前項の実施要綱において、実施される必要のある役務の提供の具体的内容を考慮し、自衛隊の部隊等がこれを円滑、かつ安全に実施することができるように、当該支援協力活動を実施する区域、これを指定するものといたしております。

これは法律上、防衛大臣に対して安全に活動できる場所を指定することを義務づけるということでございまして、これは、今現在、戦闘行為が行われていないというだけではなくて、部隊等が現実に活動を終えるまでの間、戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を実施区域に指定することは、円滑、かつ安全に活動を実施する上で当然のことでございます。

小池晃共産党

わたしが聞いたのは、自衛隊が現実に活動を行う期間について、戦闘がないと見込まれる場所という言葉がどこに書いてあるのかと聞いたんだ。法律にはそんなことはひとことも書いてないじゃないですか?

書いてないってことを認めてください。YESかNOか!

中谷防衛大臣

この点の記述は先ほどお話しました7章の3、防衛大臣は円滑、かつ安全に実施することができるように、協力、支援活動を実施する区域を指定するものとするということで、この安全な地域ということでございます。


7条3におきまして、防衛大臣は部隊による活動が円滑、かつ安全に実施することができるように実施区域を指定すると規定をいたしております。

その他の安全規定については法案の記述はございません。

小池晃共産党

書いてないんですよ。

さっきから内容がそうなんだとか与党席から(不規則発言が)あるけど、国会というのは法案の条文に即して議論しなくちゃいけないんですよ。条文にないことをそれをあるかのように発言する。こういう態度が国民の不信を招くんだということを申し上げておきたいと思う。

対テロ戦争の現場は、先ほどから議論しているようにアフガンでもイラクでも《IED》が道路の路肩に仕掛けられていて、それが最も多くの死傷者を出している、これが実態です。

《IED》、これは即席爆破装置というふうに直訳すればそうなるのかもしれない。路肩爆弾ともいいますが。突然、爆発するわけですよ。

ちょっと総理、ちょっと聞きます。《IED》ってご存知ですか?

中谷防衛大臣

この《IED》というのは道路の横に仕掛けられた爆薬等でありまして、こういった《IDE》、また自爆のテロ、こういうことはイラク自衛隊が派遣された当時も、こういった施設は目撃をされたわけでございますが、自衛隊は日戦闘地域、すなわち現に戦闘行為が行われておらず、活動期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域で、安全に細心の注意を払いつつ活動を行いまして、ひとりの犠牲者、これも出てないということでございます。

小池晃共産党

聞いてないことを答えないでくださいよ。

外務省にアフガニスタン戦争に派遣された米軍以外の犠牲者の死因を質問したらば、独立系WEBサイト『iCasualties』による報告を持って来ました。それを分析したのがこのパネルであります。

アフガン戦争ではカナダ軍の犠牲者158人。そこから事故や自殺など、いわゆる非敵対的な理由による死亡を除くと131名。そのうち《IED》、それから自爆による死者が105人で80%です。54人が死亡したドイツでも、事故などを除く36人のうち、《IED》や自爆攻撃などによる死者が22人で61%です。43人が死亡したデンマーク軍でも同様に《IDE》などによる死者が68%。48人が亡くなったイタリア軍では75%に上ります。

対テロ戦争の現場というのは、銃撃戦などによる戦闘による犠牲者はもちろんいます、いらっしゃいます。

しかし、《IED》などによる犠牲者が圧倒的に多いというのが実態なわけで、6割から8割だというのが実態なんですよ。

いまもおっしゃいました、現にサマワでも《IED》を見たという話ですよ。あのイラク復興支援活動行動史の墨塗り部分にも〔IED攻撃〕があったことは書かれてるわけです。

だから、そういうことは非戦闘地域であってもそういったことはあったわけですよ。まさに、戦闘が今まさに行われている現場でなくても、たとえばトラックで物資を運んでいる時に突然《IED》で吹き飛ばされると、あらゆる場所が一瞬にして戦闘現場になる。これが今の対テロ戦争の現場の実態じゃないですか。

総理はそういう認識はないんですか?

安倍内閣総理大臣

たしかに、先ほど大臣からは答弁をいたしましたように、イラクにおいても《IED》、これは簡易爆発物でありますが、この簡易爆発物や自爆テロによって、諸外国には犠牲者が出ていたものと承知をしておりますが、我が国にはひとりの犠牲者も出ておらず、我が国による安全確保の仕組みは充分に有効であったと、こう考えているわけでありますが、先ほど大臣が答弁いたしましたように、この法案の中には〔円滑、かつ安全に活動できる〕という要件が書かれているわけでありますが、これを政府として、この〔安全、かつ円滑に〕ということについての、これは政府として解釈する中において、「部隊が現実に活動を終えるまでの間、戦闘行為を発生しないと見込まれる場所を実施区域に指定する」ということを申し上げているわけでありまして、それが〔円滑、かつ安全に活動を実施する〕上において当然と、これは答弁をしているわけでありますが、当然、そのように運営をしていくわけであります。

小池晃共産党

だから、法律にじゃあなんで書かなかったんですか?法律に書いてないことをここでいくら言われても、これは国会の議論に耐えうるものではありません。

しかも、いまあったように、これは実態としてはイラクではそれはなかったと、自衛隊員の犠牲者は出なかったとおっしゃる。それを変えようとしてるんじゃないですか?いま。非戦闘地域ということに限っていたものを、戦闘現場でなければということで拡大するわけでしょう?だから危険性がないのかと。

重要影響事態法案、国際平和支援法案は、地理的な限定なく地球の裏側でも自衛隊員を兵站に参加させるわけですよ。

しかし、こういう実態、一瞬にして戦闘現場になってしまうような対テロ戦争の兵站で、安全な場所で行うから大丈夫だという議論など成り立つはずがないではありませんか。

イラクでは犠牲者は出なかった。それで今度は大丈夫だと、なんで言えるんですか?それを拡大しようというのが、今度の法案じゃないですか?

こういう認識は総理にはないんですか?そういう危険性を自衛隊員に与えることになると、今度の法案は。イラクサマワではなく、さらに拡大する。その危険性の認識はないんですか?

安倍内閣総理大臣

いま小池委員もイラクにおいては、自衛隊において《IDE》簡易爆発物や、この自爆テロ等について犠牲者が出なかったということをお認めになった。

それは非戦闘地域という区分を切っていたわけでございますが、非戦闘地域については、これはまさにたとえば、半年間のあいだ、サマワ非戦闘地域としたわけでございますが、今度は実際に自衛隊が、たとえば2週間活動するよ、ということについて、そこがいわば戦闘現場にならない、そして戦闘現場にはならないと充分に見込まれる地域に指定をするということでございますが、それはまさに、サマワで活動してきたこと、昨日、実際に活動した佐藤筆頭理事からも質問の際に説明をされたのでございますが、そうした実際の実態の経験をもとに、実際の活動をする期間を、また場所を、実際に活動する期間と場所について、そのように指定した方が現実的だという観点から、今回は整理をしなおしたということでございます。

実際に、安全の確保ということについては、委員もお認めになった、イラクで実際ひとりの犠牲者も出なかったと、同じような安全確保が行われるわけでございます。

小池晃共産党

安全確保はされてますかぁ?

だってこの活動が行われると見込まれる期間において、戦闘は発生しない。そういうことをおいたことが、やはり自衛隊員の安全性を守る一定の担保になったと、これ当然じゃないですか?それをやめてしまうということになるわけですよ。

だから、わたしどもはこれは危険だということを言ってるけど、まったく今の答弁では答えてないというふうに思うんです。

やっぱり現実に起こってる戦争、それが一体どういう実態なのかということにしっかり目を向けるべきですよ。そこに実際に活動を拡大しようというのは今度の法案なわけです。

その点で、日本がインド洋での給油を、戦後初めての海外での兵站、これを行った戦争がアフガン報復戦争であります。このアフガン報復戦争によって、一体何がもたらされたのか。

第一に、無辜の市民の甚大な犠牲であります。わたしはあのアフガンの空爆が始まった2001年の11月に、アフガンの国境近くのクエッタ。パキスタンのクエッタの病院まで行って、クラスター爆弾によって非常に被害を受けたたくさんの負傷者を見てまいりました。体中に爆弾の破片が刺さった母親、頭蓋内に爆弾の破片が飛び込んでる乳児、ほんとに痛ましい光景で今も忘れられません。

国連アフガニスタンの戦争で犠牲になった民間人の数を発表するようになったのは、2007年以降であります。この2007年以降、2014年の末までで21,415人。今年に入って4ヶ月でも978人。今でも市民の犠牲は続いています。

それから第二に、報復戦争が憎しみを生んで新たなテロを世界中に拡散したわけですよ。

外務省にお聞きをしますが、世界でのテロ戦争による死者数を2000年と、直近の2014年でお示しをいただきたい。お願いします。

平松総合外交政策局長

お答えいたします。

アメリカ国務省が、その国別のテロリズム報告書において引用しております、リーランド大学のテロ及びテロ対応研究コンソーシアムというものが作成した資料がございます。

そのデータベースによりますと、2000年の全世界のテロ事件における死者数は4,422名でございます。2014年の全世界のテロ事件による死者数は43,512名でございます。

小池晃共産党

テロによる死者数は、アフガン報復戦争以来10倍になってるわけですよ。発生件数も見てみますと、1,814件から16,818件、激増してるわけですよ。その多くがアフガン、パキスタンイラク、ナイジェリア、そしてシリア。

総理、テロに対して報復戦争。対テロ戦争。世界に何をもたらしたのか。報復戦争は憎しみを生んで、さらなるテロを生む。まさにテロの拡大再生産という、そういう状況を生み出したんじゃないでしょうか。

それがわたくしはアフガン報復戦争の総括として、必要だと思う。総理はそういう認識はないですか?報復戦争がテロを世界中に広げた、そういう認識はありませんか?

安倍内閣総理大臣

テロというのは、まさに過激主義の中から発生してきている、近年のテロについては過激主義の中から発生をしてきているわけでございます。

こうしたテロに対して、国際社会は協力して戦っていこうという決意を、このテロ発生以来、我々は示しているわけでございますが、しかしその中において同時に、アフガニスタンをテロリストが跋扈する地域から、しっかりと成功した国にするため、国際社会は協力をしてきたわけでございます。

日本もその意味におきまして、そういう観点からテロと戦うと同時に、アフガニスタンをテロが、テロリストが跋扈する国から、平和で繁栄する国に変えていこうという意思を持ちながら、そういう同志と共に貢献をしてきたと、このように考えております。

小池晃共産党

アフガニスタンを、テロリストから跋扈する国から変えようとした、その結果どうですか?まさにテロがアフガンでさらに増えてるじゃないですか?わたくしはその認識を聞いてるんですよ。対テロ戦争がテロをさらに拡大したと、これ客観的に見ればそういう実態があるじゃないですか?そういう認識はあなたにはないのかと、このことをお聞きしてるんですよ。どうですか?はっきりと答えてください。こういうことに誠実に答えて欲しいんです。

中谷防衛大臣

これはまさに、9.11のテロがございました。それに端を発するものでございますが、こうした過激主義に対抗していこうということは、これは国際社会のかなり共通した認識であり、累次、国連の決議もあるわけでございます。

そうした中において、いわばテロに対抗しなければならないさまざまな国々が、それぞれの国々の貢献策を講じて、行ってきているわけでございますし、日本も、日本としての活動を展開してきているわけでございます。

そこで、たとえばアフガニスタンがあの段階で、タリバンが支配するアフガニスタンが、アルカイダと共に、世界に対してテロリストを発出させる基地となっていたら、これは相当大きな被害を多くの国々が被ったのは間違いないわけでございまして、単純に、いまの小池委員がお示しになっている死者数について、我々がたとえば、行っている給油活動が、その死者数に関与してるかのごときのお話でございましたが、そうではなくて、これやはりテロリストを封じ込めていくために多くの国々が協力をしているということでございます。

小池晃共産党

ヒドイですよ。これは関与してないんですか?わたしは、やはりだって、ISだって、結局アフガンでの報復戦争が怒りを生んで、もちろんわたくしはISを擁護する気持ちはまったくありませんよ。断固として許されない集団ですよ。

しかし、やはりアメリカの軍事攻撃が、あの地域にテロを拡散したというのは誰だって認める事実じゃないですか。世界中の人が認めてるじゃないですか。わたしははっきり、そのことは認めるべきだと思う。

総理、どうですか?やっぱりそういう認識を持つ、それが出発点ではないですか?わたしは、繰り返し言いますが、テロリストを擁護する気持ちはまったくないし、テロと戦う、それは当然だと思います。

しかし報復戦争という手段が、テロをなくす上でほんとに役に立ったのか、むしろ逆に拡散させたのではないか、これが世界の共通の認識ではないですか、というふうにお聞きをしている。

そういう認識を、総理はお持ちでないんですか?

安倍内閣総理大臣

この9.11に対応して、世界はテロと戦うという決意において、さまざまな試みを行っているわけでございます。それは例えば先ほど申し上げましたように、アフガニスタンをしっかりと、平和で安定した国にしていくための努力を、我々もしております。

いわばテロリストだった人々を正常にしつけるための教育、職業訓練等への支援等も行っているわけでございますし、医療の支援等も、人道支援も行っているわけでございます。

その中におきまして、我々は過激主義を排するために、中庸が最善という認識について、カイロで演説をしたところでございます。

また、いわば経済的に発展をしていくことによって、そうした過激主義を排する方向に進んでいくわけでございますので、自立したそれぞれの地域が、国として自立する、あるいは地域として自立する、それぞれの人びとが自立するような支援も行ってきていきたい。

そうした総合的な観点から、テロとの戦い、テロの根絶を図っていかなければならないと、こう考えているわけでございます。

小池晃共産党

そういうことを否定してないですよ。医療、人道支援、そういったことをやっぱ徹底的にやっていくべきなんですよ。

しかし報復戦争が一体何を生み出したのか。平和な国にするというふうにおっしゃった、総理は。平和な国にすると。実態はどうですか?アフガン戦争、戦火は今なお、広がり続けています。

ベトナム戦争を越えて、米国史上最長の戦争になっている。オバマ大統領がそう語っているわけですよ。今も戦乱の中ですよ。平和な国などなってないではないですか?

アメリカ、イギリスを中心とした《OEF》、〔不朽の自由作戦〕は、昨年12月31日、《OFS》、〔自由の番人作戦〕、名称を変更しましたが、約10,000人の米軍がいまだにアフガンには駐留をしています。出口の見えない泥沼化した戦争が、依然として続いているわけですよ。

ペルシャ湾アラビア海、インド洋、紅海。こういった地域に囲まれた中央軍第五艦隊の作戦地域。この海域には空母を中心とした艦隊である、空母打撃群。そして強襲揚陸艦を中心とした部隊である遠征打撃群が、これパネルに示しました。ちょっと、誠に申し訳ない。字がものすごく小さいですが、ほんとにこの15年間、延々とこの海域に米軍は派遣をしています。

2001年以来、今年6月までに空母打撃群は53回。遠征打撃群を含めると87回。空母強襲揚陸艦から、攻撃機がアフガンやイラクの攻撃基地され、空爆を繰り返しています。ごく最近の例でも、ブッシュ空母打撃群は昨年3月から10月までに12,548回、攻撃飛行を行った。

一番最近のカールビンソン空母打撃群は昨年10月から今年4月までに、12,000回以上の攻撃飛行を実施しています。50万ポンド以上ですよ?大量の爆弾を投下したと、海軍ニュースに書かれている。これによって、まさに民間人が次々殺されるという事態も起こっているわけです。続いているわけですよ。これが集団的自衛権の名によって行われる直近の戦争です。

総理は、このアフガン戦争、この実態を見て、これが正しい戦争だったと言えるんですか?テロを広げ、いまだに戦乱が収まらない。この戦争を肯定するような態度だったら、本当に恐ろしいことだというふうに言わざるを得ないと思うんですよ。

これが集団的自衛権、アメリカは個別的自衛権の発動としてこの戦争に、そしてNATO集団的自衛権を、そしてこの戦争を始めたわけです。集団的自衛権の名のもとに行われた直近の戦争、これがアフガン報復戦争ですよ。

そして日本はテロ特措法を作って、この戦争で初めての海外での兵站活動、洋上給油活動をやったわけです。

中谷大臣にお聞きしますが、衆議院の審議で我が党の赤嶺政賢議員の質問で、大臣はこう答弁しています。

仮に我が国がテロ特措法に基づく対応措置や、補給支援特措法に基づく補給支援活動を実施していたとまったく同じ状況が生起する場合には、今回は国際平和支援法に基づいて活動する。

この答弁、間違いないですね。

中谷防衛大臣

はい、そう答弁をいたしました。

実は、この2001年の同時多発テロ事件が発生した時、わたくしは防衛庁長官でありました。このテロというのは、ニューヨークの貿易センタービルで3,000人近くの方が犠牲になりました。日本人も数10名、犠牲になりました。

やはり、こういったテロ行為に対して当時、国連で、これは国際平和の安全に対する脅威であると認め、国際社会に対してテロ行為を防止し、抑止するための一層の努力を求めた安保理決議の1368、これがございました。

当時は、我が国といたしまして、インド洋における燃料給油活動等をするために、テロ特措法を成立をさせましたけれども、やはり、こういった国際社会として、このテロ行為、これに屈するわけにはいきません。

やはり、平和で安定した社会を築こうというのは、各国、なしうるだけの努力をするだけでございまして、仮に同じような事態が発生するということはありえないわけでございますが、このようなテロが発生して、国連がそのような決議をした際には、我が国はそれなりの対応をしなければならないと、わたくしは思っております。

小池晃共産党

私は9.11のときにカナダにおりまして、9.11の日にカナダから日本に帰国する時、途中だったんです、飛行機がダイバートしたんです、本当に恐ろしい思いをしましたよ。

テロは許さない、それは当然ですよ。しかし、この報復戦争、今いろいろとおっしゃったけれども、国連安保理決議は武力行使を容認しておりません。

最初の答弁にあったように、今回は国際平和支援法に基づいて活動するんだと、同じような事態になれば。しかも今回の法案では洋上の補給活動にとどまらず、戦闘作戦行動に発進準備中の米軍戦闘機に対する給油も整備もできるようになる、それを午前中に議論しました。

それらに加えてPKO法の改定によって危険な治安維持活動にも参加できるようになるわけです。武器使用権限も大幅に拡大するわけです。

アフガンの〔RS任務〕への参加について参議院本会議で総理は、検討していないと答えたのみで、将来の参加について否定していない。

今度の法案が成立すれば、アメリカは現在も続いているこのアフガン戦争に支援を求めてくることは間違いないだろうと。それに対してこの法案は、まさにそうした要求に切れ目なく応えることができるものになっている。

集団的自衛権行使容認によって、今まで辛うじて存在していた歯止めをことごとく取り去ったからであります。現実に今も続いている戦場に、従来よりも格段に危険なかたちで日本の自衛隊の若者が入っていく。これが本法案によってもたらされる当面の最大の現実的な可能性であり、危険性だと。

総理はイラク戦争、アフガン、湾岸戦争のような戦争に武力行使を目的として参加することはないと言うが、ひとたびこんな活動に自衛隊が入っていけば、海外での武力行使に道を開いていくことは明白であります。明らかな『憲法違反』だ、『憲法違反』の『戦争法案』は廃案にするしかない、断固廃案だ。

そのことを申し上げて、質問を終わります。

発言者:安倍内閣総理大臣、中谷防衛大臣、平松総合外交政策局長、小池晃共産党

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