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聞文読報

聞こえる言葉を文字に起こし、目で聴く読み物に変えて発信します。

8月25日 大沼瑞穂(自由民主党)の質疑(全文) 参議院『平和安全特別委員会』

※平成27年8月25日、参議院『平和安全特別委員会』より

大沼瑞穂自由民主党

自由民主党大沼瑞穂です。本日はこのような機会をいただき、誠にありがとうございます。委員長、理事はじめ、関係各位に心から感謝を申し上げます。

今回の〔平和安全法制〕をわたしも地元をまわる中で、特に女性やお母さん方から、「なんで今なの?」と、「このままじゃダメなの?」と、「なんかこわい」という声をよく聞きます。アンケート調査でも、特に女性の方々に不安の声が多いです。

わたしにも、3歳になる小さい娘がおります。この日本の平和を自分の子供や孫の世代に確実に手渡していくためには、何が必要か。

戦後70年の節目だからこそ、これからの平和を守るために、この法案が大事なんだということを国民の皆さまにご理解いただくためにも、平和とは何か、〔集団的自衛権の限定行使〕がなぜ平和に必要なのか、本日は総理にお考えをお聞きしたいと思います。

総理に伺います。

戦後の日本を支えたものは、何だったとお考えでしょうか?

安倍内閣総理大臣

戦後、我が国は二度と戦争の惨禍を繰り返してはならないとの不戦の誓いのもとに、ひたすら平和国家としての道を歩んでまいりました。外交によって多くの国々と友好関係を構築してきたことも、日本の平和と安定に大きく寄与したと考えます。同時に、戦後の日本の平和を支えたのは、しっかりとした〔抑止力〕があったからだと考えます。

〔抑止力〕を効かせてきたもののひとつは〔日米同盟〕であり、もうひとつは〔自衛隊〕の存在であります。〔米軍〕の兵士が日本を守るために、常に警戒、監視の任務にあたり、〔自衛隊〕の諸君が日夜、訓練に励み、しっかりと日本の国土を守っていくとの強い意志をもって任務を遂行することによって、戦後の日本は平和を享受することができたわけであります。

また、〔自衛隊によるPKO活動への参加〕、そして〔国際法を遵守する姿勢〕が、我が国の平和を支えてきた部分もあると、このように思っております。

大沼瑞穂自由民主党

若干、総理の表現とは異なりますが、こちらにもあるように〔日米安保体制〕、国際協調外交、〔自衛隊〕、また〔憲法9条〕の理念、精神、国際社会との連携、〔国際法〕の遵守など、これらがあって日本の戦後の平和は守られたんだと思います。どれが欠けてもだめだったんだと、そのように思います。

憲法9条〕の柱である平和主義、この理念はたいへん重要であるとわたしも考えます。でも、「憲法9条を守る」と言い続けるだけでは、日本の平和は守れません。現実の平和を守るためには、さまざまな手段が必要です。

よく、〔抑止力〕という言葉を聞きます。普段使わないだけに、お母さん方やお年寄りからも「抑止力という言葉はよく出てくるけどわかりにくい」と、辞書を引きますと抑止とは、

広辞苑』:

おさえとどめること

三省堂国語辞典』:

(活動や欲望を)おさえつけて、動き出させないこと

小学館大辞泉』:

活動を思いとどまらせること

とあります。

総理に伺います。

たとえば、国際ルールを守らない国が「ミサイルを撃つぞ、撃つぞ」と言って、わたしたちの子供を不安にさせる。その国にミサイルを撃つのを思いとどまらせる、そのためには一体、何をすべきでしょうか?

安倍内閣総理大臣

まずもっては、外交によって平和を守ることが重要であります。我が国は法の支配を重視する立場から、

  1. 主張する時は〔国際法〕に則って主張すべき。
  2. 力の威嚇や、力による現状変更は行ってはならない。
  3. 問題を解決する際には、平和的に〔国際法〕に則って解決する。

との三原則を主張し、多くの国々から賛同を得てきたわけであります。

その上において、我が国自身の防衛力を適切に整備、維持、運用することが重要であります。そしてまた同時に、〔日米同盟〕の強化についても、あらゆる事態に対して、切れ目なく、日米が一層、協力して対応できるようにしておくことが大切であろうと、こう思うわけであります。

まさに、日本に対して「ミサイルを撃つぞ、撃つぞ」という、その脅しに対しては、たとえば国連の場において、その当該国がミサイルを発射しないように、国際社会で圧力をかけていくことは、当然のことであろうと思います。

そして、その国と関係のある国が仲介をし、その国に思いとどまらせていく。経済的に影響力を持つ国等々が、それを思いとどまらせるべく、ちからを尽くしていくのは当然だろうし、日本もそのためにちからを尽くしていく。

しかし、それでもなお、発射をするという時に対しては、これはまさに、〔日米同盟〕の関係によって、これは、我々はそれを防ぐわけでありますし、米国はそれに対する打撃力を持っているわけでありまして、そうなればその国は、その打撃力を恐れ、それはやはりやめておこうというふうになっていく。

これこそが〔抑止力〕になるんだろうと、このように思うところでございます。

大沼瑞穂自由民主党

ありがとうございます。

まずは外交努力ということでございますが、国際社会の中で、やはり、さまざまな手段の中で、自国の防衛力の強化、同盟関係の強化、国連などの安全保障体制の強化。この一国でできること。そして日本であれば日米同盟がありますから、日米二国間でできること。そして数カ国から多くの国が連携してできること。どれかひとつに偏るのではなくて、やはり、バランスというものが大事だと思います。

たとえば、中国の軍事費は過去10年で約4倍に増えています。これに対抗して、日本の防衛費を同じような倍率でどんどん増加させていくことは、現実的ではありません。

東日本大震災の際、米国はトモダチ作戦を実行し、津波放射線放出などのリスクの中、同盟関係にある日本をすぐに助けてくれました。世界各国に、日本に何かがあれば米国は日本を助けに行くんだという姿勢を示しました。

今回の北朝鮮の挑発行動に対しても、米国はすぐさま、こうした挑発行動は緊張を高めるだけだと懸念を表明し、韓国に対する米国の防衛義務を堅持する姿勢をすぐ強調し、今後も連携していくと説明しております。

わたくしも、保育園に通う自分の子供には、「おともだちがこまっていたら、たすけてあげるのよ」と教えています。やはり、この同盟関係というのは非常に重要であると、わたしは考えています。

また、国際ルールを守らない国が出てくれば、国連はじめ、多くの国々と連携をして、ルールを守るよう迫ります。

それぞれの活動があってはじめて〔抑止力〕、相手に攻撃を思いとどまらせるという効果を生みます。今回の法案では、国連での平和活動の幅を広げ、日米同盟の強化によって日本への攻撃を思いとどまらせる効果をあげていきます。

なぜ、では〔抑止力〕は高まるのか。中東やアフリカでの日本の〔PKO平和維持活動〕の幅が広がれば、日本に何かあった時、米国以外でも日本を助けてくれる国はどんどん増えていきます。

集団的自衛権の限定行使〕によって、日本と米国とで〔ミサイル防衛〕を強化することによって、最小の変更で最大の〔抑止力〕を得たとわたしは考えていますが、総理のお考えをお聞かせください。

安倍内閣総理大臣

近年、北朝鮮は数100発もの〔弾道ミサイル〕を保有し、日本の大半を射程に入れています。そのミサイルに搭載できる〔核兵器〕の開発も深刻さを増している。〔弾道ミサイル〕を発射されれば、1,000kmをわずか10分間という高速で飛翔し、落下し、また、それらのミサイルに〔核兵器〕や〔化学兵器〕のような〔大量破壊兵器〕が搭載される場合もあり、このような兵器による攻撃への対処は、我が国の安全保障上、きわめて重要な課題であります。

〔弾道ミサイル〕に対しては、横須賀に展開している米軍のイージス艦が〔自衛隊〕と協力して、〔弾道ミサイルの発射の早期探知〕や、〔ミサイルの迎撃〕にあたるなど、日米が共同で対処することとなります。

このように、〔弾道ミサイル防衛〕は日米が緊密に協力することが不可欠であり、米国のイージス艦への攻撃を放置すれば、我が国も甚大な被害を被る可能性があるわけであります。

安全保障におきましても、相手の気持ちに立つことはきわめて重要であります。日本も米国も同じ民主主義国家であるわけでありまして、五百籏先生がおっしゃったように、日本近海で日本のために警備にあたっている米艦の防護を日本ができるようにしなくては、その米艦が撃沈され多くの若い米兵が死んだら、その瞬間に日米同盟の絆は決定的な打撃を被る。それは、相手の身になれば当然のことなんだろうなぁと、こう思うわけです。

それを撃とうとする敵の身になって考えれば、そういう隙があればやってみようじゃないかということになるわけでありまして、そういう隙を一切与えない。今回の法改正によって、より日米の同盟は有効に機能する、絆は強くなる。これは明らかでありますから、〔抑止力〕は当然、さらに効果をあげていくと、このように考えるわけでございます。

また、先ほど大沼委員が指摘をされたように、〔PKO等の活動〕も広がっていくわけであります。多くの国々とともに、各地域の平和構築に日本が努力していくことによって、国際世論において、日本を支援しようという声は当然高まってくるのではないかと、このように思うわけでありまして、まさに今回の法改正、〔集団的自衛権の行使容認〕については、ほんの一部ではありますが、この効果はたいへん大きなものがあると、このように確信しているところでございます。

大沼瑞穂自由民主党

ありがとうございます。次に、法案について、世界からの評価についてお伺いいたします。

先日、当委員会の北村委員も、この法案に反対している国はない旨、述べられましたが、岸田外務大臣へ伺います。

世界のどのぐらいの国がこの法案を支持しているのでしょうか。また、中国や韓国はどういった反応なのでしょうか。

岸田外務大臣

この〔平和安全法制〕につきましては、総理、外務大臣防衛大臣、各国を訪問する際、あるいは各国要人が訪日した際に、直接、説明をしてきております。そういった中で、この米国、あるいはASEAN諸国、ヨーロッパ諸国から、歓迎や支持が表明されています。

たとえば、今月も8月3日に日伊首脳会談が行われました。レンツェ首相からは、この我が国の取り組みに対する支持が表明されました。こうした支持は、フランス、ドイツ、EU等、多くの欧州の首脳からも表明をされています。

また、目をアジアに転じますと、たとえばフィリピンのアキノ大統領は6月、我が国の衆参両院合同会議で演説を行われましたが、本国会で行われている審議に最大限の関心と、強い尊敬の念を持って注目をしている、こうした発言がありました。

豪州のビショップ外相は、日本がより積極的な、グローバルなパートナーになることを間違いなく歓迎する、こうした発言をしておりますし、わたくしも最近、会談をした外務大臣としまして、スリランカのサマラウィーア外務大臣と会談を行いましたが、日本の平和維持、貢献への積極的な取り組みへの期待が示されました。

また、今月6日にマレーシアで開催されました〔ASEAN関連外相会合〕におきましても、わたしの方から、この〔平和安全法制〕の、この法案を含む安全保障政策について、我が国の取り組み、説明をさせていただきましたが、このASEAN側からこうした取り組みを歓迎する旨、表明されたところであります。

そして中国、韓国はどうかというご質問がありました。

中国、韓国からも、我が国のこうした取り組みに対して、関心が表明されております。決して、否定的な評価というものは表明されていないと考えております。

大沼瑞穂自由民主党

もし、この法案が『戦争法案』であるなら、世界こぞって反対すると思うんです。日本と第二次世界大戦で争った、戦った国々は猛烈に反対するはずです。でも、米国以外でもこのように多くの国々が賛意を示し、中国や韓国も公式には反対しておりません。

わたしくも5月の連休に、高村副総裁と公明党の北側副代表と、日中友好議連のメンバーで中国に行きました。この時も、与党の協議者であるお二人に対して、中国のどの指導者からも反対の意見は述べられませんでした。

それは共産党社民党の先生方も一緒でありましたから、当時の記者会見も聞いていただきたいと思いますけれども、やはり、こうした世界の国々から支持をされているということを、ぜひ、国民の皆さまにもご理解をいただきたいと思います。

次の質問に移ります。

中国の脅威を煽って、総理は中国とケンカをしたいのではないかという声がありますが、たとえば日中間では海賊対策などで協力しているという話も聞きました。こうしたことを踏まえ、今後の日中関係について、総理のお考えをお聞きいたします。

安倍内閣総理大臣

中国とは、習金平国家主席との2度にわたる首脳会談を通じ、戦略的互恵関係の考え方に基づいて、関係を改善していくことで一致しています。

日本と中国は、地域の平和と発展に大きな責任を共有しており、今後もさまざまなレベルで対話を積み重ねながら、安定的な友好関係を発展させ、国際社会の期待に応えていきたいと考えています。

ご指摘のございました、アデン湾での海賊対策については、我が国、〔自衛隊〕の他、中国も艦船の護衛を実施しており、平成24年1月以降、日中印、三ヶ国間で護衛スケジュールの調整を実施しています。

平成24年11月には韓国も加わりまして、現在4ヶ国間で護衛スケジュールの調整を実施しており、こうした協力は、この海域における効果的な船舶護衛に資するものとして、海運業界や国際社会から、評価をされています。

中国との間では引き続き、グローバルな課題には共に取り組み、未来志向で協力をしていきながら関係のさらなる発展に向け、共に取り組んで生きたいとこのように思っております。

大沼瑞穂自由民主党

ありがとうございます。

パネルにもございますように、日中間ではアデン湾での海賊対策に対する防衛綱領を行っており、これは新華社ニュースでも中国国内に発信されております。韓国とも同様にやっております。中国も韓国も、こうした国際貢献活動における日本の行動に対し、高い評価をしております。

〔平和安全法制〕に反対する文言というのが、5月の訪中の際にもひと言もなかったわけであります。むしろ、戦後の日本の平和国家の歩みを高く評価するという言葉を、いろんなところでいただきました。そうした、やはりこれからの平和貢献の活動の幅を広げてほしいということも、この間、中国大使との面談の中で、わたくしも伺いました。

そうしたことを考えますと、この国内で『戦争法案、戦争法案』といわれていますが、世界各国からは、この法案に対する大きな賛意が示されているということを、国民の皆さまにはご理解いただきたいと思います。

次に伺います。

〔個別的自衛権〕、〔集団的自衛権〕、これがどうもわかりにくいという声を聞きます。

岸田外務大臣にお伺いいたします。

戦前の日本の軍事行動の中には、残念ながら〔国際法違反〕であったものも含まれると思いますが、戦後70年、日本の〔自衛隊〕が〔国際法違反〕の行動をとったことを一度でもあるんでしょうか?

岸田外務大臣

まず、我が国の〔自衛隊〕。言うまでもなく、国際法、そして国内の関係関連法案、遵守して活動していると承知をしております。外務省として、〔自衛隊〕が国際法違反の行動をとった例、これは一切ないと承知をしております。

戦後、一貫して我が国は法の支配の擁護者として、国際法を誠実に遵守してまいりました。そして平和国家としての立場で、国連憲章を遵守しながら、国連をはじめとする国連機関と連携し、こうした活動に積極的に寄与してきており、こうした国際法を遵守する姿勢、こうした取り組み、これはこれからも、しっかり堅持していくと考えております。

大沼瑞穂自由民主党

ありがとうございます。

なぜ、この質問をしたかと申しますと、よく、日本の周辺で有事が起こっても、〔個別的自衛権〕で対応すればいいとおっしゃる方がいます。しかし、国際法上、〔個別的自衛権〕でできること、〔集団的自衛権〕でできること、というのは明確に規定されております。

たとえば、対北朝鮮の〔ミサイル防衛〕もそうですし、日本が勝手に〔個別的自衛権〕でできると思って、どんどん〔自衛隊〕を周辺諸国に派遣していったら、それこそ戦前の日本に戻ってしまいます。邦人保護を名目として出兵し、自衛戦争という名のもとで行われた戦争は、まさにそうでした。

しっかりとこのふたつの概念を分けて、防衛政策を考えていかなければなりません。〔個別的自衛権〕で何でもできるという〔憲法解釈〕の方が、よっぽど怖いと思います。

総理に伺います。

集団的自衛権の限定行使〕によって、日本人の保護にどんなメリットが生まれるのでしょうか、ご説明、願います。

安倍内閣総理大臣

いまや、海外に住む日本人は150万人。さらに年間1,800万人の日本人が海外に出かけていく時代であります。その場所で突然、紛争が起こることも考えられ、皆さんの友人や家族が巻き込まれてしまうといことも起こりうるわけであります。

たとえば、海外で発生した紛争から逃れようとする日本人を、同盟国であり、能力を有する米国が救助し、我が国へ移送してくれることは充分考えられるわけでありまして、そして、日本人を乗せた米国の船が日本近海で攻撃を受けるかもしれない。しかし、このような場合でも、我が国、〔自衛隊〕自身が攻撃を受けていなければ、日本人を助けることはできないわけであります。

にもかかわらず、日本が〔個別的自衛権〕として〔武力を行使〕した場合は、まさに、大沼委員がおっしゃったように、これは〔国際法の違反〕となり、世界から批判されることになるわけでございます。

そこで、このように国民のいのちと平和な暮らしを守り抜く上において、今までは充分な法制となっていないのが現状でありまして、国際法上、〔個別的自衛権〕と〔集団的自衛権〕は明確に区別〕されており、いま述べたようなケースで、我が国が〔個別的自衛権〕を発動して日本人を保護することは、国際法上、正当化できません。

このような場合に、国民のいのちと平和な暮らしを守り抜くためには、〔新3要件〕を満たす場合に限り、必要最小限度の自衛の措置として、〔限定的な集団的自衛権の行使〕ができるようにする必要があります。

それはまさに、国民のいのちを守るために、わたしたちが責任を果たしていくことになるんだろうと、このように確信をしております。

大沼瑞穂自由民主党

ありがとうございます。

まさに法律が整備されていないということは、何かが起きた時、〔超法規的措置〕がとられ、たいへんなことになる。平時に何をどこまでできるか、きちっと決めておくことが政治の責任であると思います。

阪神大震災東日本大震災や火山や噴火による災害の多い日本において、日本人の防災への意識というものは高いです。

しかし、この、戦争を防ぐという「防戦意識」も高めていく必要があると思います。

今日、このような機会をいただきまして、総理に、やはり〔日米同盟〕が重要であること、そして〔集団的自衛権の限定行使〕によって、何かがあった時に日本人のいのちを守ることができるんだということをご説明いただきました。

どうも、ありがとうございました。

発言者:安倍内閣総理大臣、岸田外務大臣大沼瑞穂自由民主党