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聞文読報

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9月16日 伊藤俊幸(公述人 前海上自衛隊呉地方総監・海将)の意見陳述・質疑応答(全文) 参議院『平和安全特別委員会・横浜地方公聴会』

※平成27年9月16日、参議院『平和安全特別委員会・横浜地方公聴会』より

意見陳述

わたくしは、先月まで海上自衛隊の呉地方総監を拝命しておりました、伊藤と申します。本日は元幹部自衛官として、本法案に賛成の立場として意見を述べさせていただきます。

我が国の平和と独立を守る、これが自衛隊の使命です。

「平和を守る」とは、今の平和な状態を維持し、戦わなくてよいようにすることです。我が国は、外交等あらゆる平和的手段を用いて、平和を維持する努力をしています。その平和的手段のひとつが、抑止力を高めることです。

一定の軍事力を持つことで、日本を侵略しようとする他国の意図を「挫く」、抑止力。これが戦後、我が国のみならず、世界中の軍隊の主たる役割であります。日米安全保障条約に基づき米軍と共に活動することで、この抑止力はさらに強固になっています。

最近、南シナ海島嶼で中国の施設等が建設され、トラブルになっていることはご承知のとおりです。中国は1950年代に、南シナ海全体に全域を「自国領域だ」と勝手に宣言して以来、1987年には海軍艦艇がパトロールを開始。翌年には各沿岸国と軍事衝突し、あっという間に島嶼を占領してしまいました。実は同じことが、東シナ海尖閣列島でも起こっています。

1971年、「尖閣は中国のものだ」と突然宣言して以来、1999年からは海軍艦艇のパトロールも始まっています。しかし、その後16年が経ちましたが、尖閣は占領されていません。またベトナムの船舶は、中国の巡視船・海警から国際法違反の「体当たり」や「放水」を受けています。一方尖閣では、その巡視船・海警は時々領海侵犯はしますが、基本的には「おとなしく徘徊しているだけ」です。

この違いはなんでしょうか。

そうです。現時点においても、東シナ海では中国に対する「一定の抑止が効いている」といえます。海上保安庁自衛隊による警戒監視、そして日米同盟が、島嶼を占領しようとする中国の「意図」を挫いているのです。

最初に申し上げたいのは、現在議論になっている平和安全法制は、この抑止力をさらに強化し、現状を変更しようとする他国の意思を「挫く」ための法律だということです。

次に、「独立を守る」について申し上げます。

抑止が効果を発揮できず、他国からの侵略が始まった場合、我が国は独立を守るため、自衛権を発動し対処することになります。この対処方法を規定するため、武力行使の「旧三要件」がありました。特に3番目の要件、〔必要最小限度の実力行使〕。これは極めて重要です。

憲法9条2項で交戦権を否定している我が国に認められる〔武力行使〕とは、相手国からの攻撃を「排除することだけ」をいうのです。それ以上の行為、すなわち相手国の領域に入り、反撃・攻撃することはできません。剣道でいうならば、打ってきた相手の刀を払いのけるだけで、反撃に転じて「相手の面」や「胴」を打つことはできないのです。

相手国からのミサイル攻撃が排除しても排除しても終わらない場合、「ミサイル発射基地ぐらいは攻撃してもよいのではないか」との、敵策源地攻撃といった議論がありました。これは攻撃武器たる刀、これを持っている「篭手ぐらいは打ってもよいのではないか」との議論と解釈できます。

このように我が国が直接攻撃を受けている、まさに「日本有事」の場合であっても、日本の領海・領空・領土及び公海、そしてその上空に存在し、我が国に攻撃を加えてくる相手国の軍艦、軍用航空機、ミサイル、機雷等を「排除することだけ」を、我が国では〔武力行使〕と称するのです。

したがって自衛隊に代わって、さらなる侵略を止めるため、相手国に米軍が反撃を加える。これが日米同盟の関係なのです。それぐらい、この〔必要最小限度の実力行使〕という文言は、交戦権を否定している憲法9条第2項に極めて忠実な要件なのです。

さて、昨年7月の閣議決定で「新三要件」に変わりましたが、この〔必要最小限度の実力行使〕はまったく変わっておりません。

第1項に、〔我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃〕の要件が加わりました。この文言の後ろには、〔これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険〕という、憲法13条で我が国政府が国政上、最大の尊重をしなければならない権利が加えられています。つまり、他国への武力攻撃が、「我が国の防衛と密接に関係するか、否か」という判断条件がついているのです。

では〔他国に対する武力攻撃〕がこれに該当するとは、どのような場合でしょうか。これを他国ではなく、〔他国軍隊に対する武力攻撃〕と読みかえると理解しやすいと思います。

たとえば再び、朝鮮半島有事が生起したとします。ちなみに朝鮮半島は、国連軍北朝鮮が戦ったものです。今も在韓米軍司令官は、同時に国連軍司令官です。もういちど朝鮮半島有事となれば、国連軍が再度立ち上がります。したがって、これまで米軍にしか支援できなかった周辺事態法にくわえ、国連に寄与する外国軍隊への支援もできるようにしたのが、「重要影響事態安全確保法」です。

さて、この朝鮮有事が波及し、北朝鮮が日本に向けて大陸間弾道弾等を発射すると「予測される危険」、これが生じたとします。当然、ミサイル防衛のため、公海上にイージス艦を含め、各国艦艇が配備されるのでしょう。

このように、まだ日本有事ではないものの危険が予測される状態、いわゆる「グレーゾーン事態」で、他国軍隊が我が国を守ることはじゅうぶんありうるのです。

仮にこの状態で敵潜水艦が当該艦艇を攻撃したとします。「旧三要件」の下では、日本有事ではないことから、自衛隊は当該潜水艦を排除することはできません。

このように、これまでの考え方だと、我が国を守ってくれているにもかかわらず、他国軍隊に降りかかる火の粉を、払ってあげることもできないのです。これをできるようにしたのが、(新三要件で加えられた)存立危機事態の概念です。

平素から、同盟国や友好国とこれまで以上に緊密な信頼関係を構築することで、抑止力をさらに高め、現状変更を試みようとする他国の意思を挫く、今回の平和安全法制の根幹はここにあるのです。

さて今回、「他国で戦争になる」という議論があります。これは、国連の中核的考え方である集団安全保障措置についての理解が、若干、足らないのではないかと思います。

70年前に国際連合が出来て以来、国家、あるいは国家に準ずる組織が個別の意思をもって他国に対し武力行使をすること、いわゆる「戦争」という行為はすべて「国連憲章違反」です。戦前においても不戦条約により「戦争の違法化」は議論されていましたが、国連憲章第2条4項で〔武力による威嚇、または武力の行使、これを慎まなければならない〕と規定されています。

地球上のすべての国家をひとかたまりの集団として扱い、もし不当にも他国を侵略した国が存在した場合、その他の国々が集団で制裁を加えてやめさせる。この集団安全保障措置とは、これ以上悲惨な世界大戦を起こさないと当時、国際社会が強く誓って確立した「平和を維持する基本的な考え方」なのです。

この典型的な事例が、1990年8月、イラクによるクウェート侵攻後の国連安保理の対応でした。安保理により、非難決議、経済制裁決議、そして武力制裁容認が決議されました。当時、日本では『米国中心の多国籍軍による湾岸戦争』と報じられていましたが、国際社会の為政者たちは「国連による武力制裁」と認識していたのです。

ただし我が国の場合、先ほど来、申し上げている〔必要最小限度の実力行使〕。この要件により、武力制裁そのものに参加することはできず、〔支援のみが可能〕となるのです。

また自衛権行使についても、国連憲章は制約を課しております。この(国連決議による)武力制裁、これがとられるまでの間だけ認められるもので、かつ国連への報告義務もあります。これは、自衛戦争の名で侵略が繰り返された「戦前の反省」が、国連憲章に込められているのです。

2001年9月11日、米国同時多発テロが生起しました。米国やNATOが、個別的及び集団的自衛権を発動したことは皆さんご承知のとおりです。しかしこれらはすべて、テロ発生翌日の「安保理決議」によって認められたものであります。米国といえども、自国の意思だけで自衛権は発動できないのです。このように、自衛権行使そのものについても、戦前とは異なり、国連憲章に極めて厳格に取り扱われるようになっております。

国連は各国の意思で成り立っております。何らかのかたちで軍人か軍隊を出すことは求められますが、参加形態は各国に委ねられています。現在の南スーダンPKOも、ブラヒミ報告どおりいわゆる「7章型」ですが、日本は「参加5原則」にのっとり「6章型当時のままの編成」で参加しています。巻き込まれるとの議論は、戦後の国際社会の実情をご存じない方の議論だと思います。

以上、我が国をめぐる国際安全保障環境の変化に対応し、平素から抑止力を高めるため、及び国連を中心とする活動に国際社会の一員として積極的に参加することで「信頼される日本」として友好国を増やすため、なすべきことを盛り込んだ、今回の平和安全法制の一日も早い可決を希望いたします。

以上です。

質疑応答

堀井巌(自由民主党

自由民主党の堀井巌でございます。

まずは本日は、4人の公述人の皆さまにおかれましては、ご多忙のところ貴重なご意見を賜りましたことを、心から敬意と感謝を申し上げます。時間が限られておりますので、本日はわたくしの方は、主に伊藤公述人に対し質問をさせていただきたいと思います。

まず1点目でございますが、安全保障環境がどのように、我が国は今、変化してきたのかということでございます。

これまでの国会での質疑におきましても、政府の方の説明の中でも、たとえば北朝鮮において弾道ミサイルが開発されて、日本を射程におさめる弾道ミサイルが数百発も今、配備されていると。またその先端部に載せられる核の小型化についても、開発が進んでるというようなこともございました。また中国もこれまでに、過去30年来に、40倍に及ぶ軍事力の大幅な増強がみられて、特に南シナ海等で活発な、力による現状変更の試みがなされていると。我が国固有の領土・領海であります尖閣諸島にも、(中国)公船が日常的に侵入をしているというような状況があると。

昨日、安倍総理ベトナムの最高指導者でありますグエン・フー・チョン共産党書記長が会談をされたようでございますが、この中でも中国の南シナ海における活動。岩礁の埋め立て、軍事基地化等に深刻な懸念が共有され、我が国のこの法案を含む「積極的平和主義」に、書記長も支持を表明されたというふうなことがございます。

そこで伊藤公述人にお伺いしたいんですけれども、これまで長く自衛官として任務に、我が国の防衛、海上防衛の任務にあたってこられたと存じますけれども、おそらく30年以上前に自衛官になられたと思うんですけれども、その頃の安全保障環境と、いままさに退官されたと伺いますが、昨今の安全保障環境。どのように変化が生じてるというふうにお感じになられたか、お伺いしたいと存じます。

伊藤俊幸(公述人 前海上自衛隊呉地方総監・海将

いまおっしゃられたとおり、ひとつは中国海軍のアグレッシブな動きです。数十年前には考えられないぐらい、どんどん太平洋側に出てきてます。そして南シナ海も同じように出てるということで、彼らは活動範囲をどんどん積極的に外へ出していると、これは間違いない事実です。

他方で、わたしが先ほど申し上げましたように、では「東シナ海で抑止が効いていないのか」というと、それは違うと思ってます。現在の状況でもきちっとした対応をしてるので、彼らは手が出せない状態があると。これは今までの日本国の努力の成果、アメリカとの関係だと思います。

ただこれが、ますます彼らは動きを止めないでしょうから、であれば、先んじて我々がその体制をさらに強くしていくと。それがいま求められてるのであって、ですから、そこを強化するために抑止力を高める。そのことが必要だと思います。

先ほどおっしゃったように、ベトナムが典型です。今までベトナムは、たしかに中国にいろいろやられてましたけど、第三国である日本に、そういうことを表立って言うことはありませんでした。ところが彼らは、ここ2年ぐらいです。将軍たちが来て我々と会うと「一緒になって言ってくれ」と、「共有してくれ」という意見に変わってます。

要するに彼らから見ると、中国は明らかにダブルスタンダードなんですね。ベトナムに対するのと日本に対する態度が。ですから、「ほら、日本の方がしっかり抑止が効いてる。ここと一緒にやりたい」、これがベトナムの考えだと思います。そういう意味で今の流れは正しい。というかその方でやるべきだと思います。

堀井巌(自由民主党

ありがとうございます。

いまのお話に関連して、その「抑止力」というのは意見陳述の中でも出していただきました。

今回、法案をなぜ出すのか。これは平和のためだって、なぜ平和のためなのかと。「抑止力を強化する」。相手に日本を、軍事的な挑発をしようという思いを、思いとどまらせる。そのことがまさに「戦争を抑止する」。平和を実現する大きな力なんだと、そういう考えで今回の法案が提出されているというふうに、わたしは理解をしています。

その中で、特にいろいろ議論になっております「限定的な集団的自衛権の行使」。今回の場合、たとえば米艦の防護を例にとりますと、アメリカの艦船があって、日本の自衛隊の艦船がある。その時に相手国から見れば、現行の我が国の考え方をとれば、アメリカの艦船を攻撃した時には「絶対に、日本の海上自衛隊の艦船は反撃をしてこないんだ」という、このような見られ方に、認識になるわけで、実際にはできないと思います。

今後これが、いつも常にできるようになるわけではなくて、先ほども触れられましたけれども、まさに「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」がある場合に限ってではありますが、「自衛隊の艦船も反撃にでるぞ」と、アメリカの艦船を攻撃した時に自衛隊の艦船も、いま言ったような限定的な場合には「反撃するかもしれないぞ」ということになるわけで、このことが、わたしは抑止力の強化につながると。また我が国の防衛に極めて重要な「日米同盟の信頼強化にもつながる」というふうにわたしは考えるんですけれども、この点について公述人はどのようにお考えでしょうか。

伊藤俊幸(公述人 前海上自衛隊呉地方総監・海将

まさに今の状態ですと、他国からは「どうせ自衛隊は何もしない」というふうに、侮られてるという状況だと思います。ただ、いまおっしゃったように、わたしは「反撃」という用語ではないんだと思うんですね。先ほど言いましたように、我が国の〔必要最小限度の実力行使〕というのは、反撃ではないんですね。そこに来たものを「排除」するだけなんですよ。来たものを掃うだけです。

だからいろんな議論が、まるで「自衛隊はどっか行ってスゴイことをやるんじゃないか」と、こう取られてるんですけど、反撃ではないんですね。反撃とか攻撃ではなくて、来たものを「排除」するだけなんです。これが憲法上認められた〔武力行使〕です。これは未来も変わらないんですね。今の憲法があるかぎり。

ですから、一緒にいるアメリカに来る、それを攻撃しようとする潜水艦なりを排除することはあっても、「反撃といって、そこの国まで行って」ということは200%あり得ないわけですから、そこが非常に誤解を生むワードになってるんじゃないかと、わたしは思います。

反撃ではなくて、「排除」だと思います。

平木大作(公明党

それでは伊藤公述人にも一点だけお伺いしたいと思います。少し前になるんですけれども、わたくしたち公明党としても、第5次イラク復興支援群長を務められました太田清彦氏に、いろいろお話をお伺いしたことがございます。その時に太田氏からは、法案について賛意を示していただいた上で、ただこれまでの国会での議論を見てくる中で、「ひとつ欠けてる視点があるんじゃないか」ということをご指摘いただきました。

それは「派遣部隊が現地で活動をする際に困ることはたとえばないのか」とか、あるいは、「こうしたらもっと派遣部隊が活動しやすいんじゃないか」と、こういう視点が抜けてるんじゃないかという厳しいご指摘をいただいたんですが、そういった点。改めてもし、現場の声として何か言っておきたいことがありましたら、教えていただけますでしょうか。

伊藤俊幸(公述人 前海上自衛隊呉地方総監・海将

わたくし、先ほどからの議論を聞いていて思うのは、皆さんに議論をしていただくのは、まさに「法案を作る」ということなんですね。我々が実際に動くにあたっては、その下に「訓令」というものが作られます。そして各自衛隊においては「達」というところまで、どんどんどんどん、こう、具体化するたびに絞られてくるんですね。その結果、具体策を考えていくと。

ですから、あまり細かいことを法案でされると、ますます狭いことになるということで、余計わけわからんようになるというのがわたしは実態だと思うんですね。

ですから、まさに「ポジ・リスト」で書く国ですから、いろんなことを書いていただいた法律を作って、そしてきちっとその下で具体化する中で、さらに絞り込んでいくということで、先ほどからわたしも、たとえば「排除」というワードを使ってますけど、自衛官はそういうふうにしか認識してないんです。

実際にまあ、〔武力行使〕といわれても、我々的には「排除」しかないと。〔武器使用〕と〔武力行使〕もまったく違う概念で捉えてます。あくまでも「警察権の執行」で、人を止めたり動きを止めるためにやることを〔武器使用〕と。

そこまでの具体化されたもので我々は行動を律せられてますので、「法律での議論が(現場の認識と)違う」というのが、わたしはよくわからないという。ですから、いまの議論できちっとした中身をやっていただいてるとわたしは思っております。

井上哲士共産党

わかりました。

次に伊藤参考人、そして水上参考人、それぞれ聞くんですけども、〔必要最小限度の実力行使〕に関連して、伊藤参考人の公述からは、あくまでも相手国からの攻撃を「排除」するだけであると、他国領域での反撃などは米軍が実施するんだと、こういうお話がありました。

一方、今回の存立危機事態は、他国に対する攻撃を「排除」するわけですから、これは勢い、他国の領土・領海に行って排除するってことにならざるを得ないんじゃないか。それをできないとすれば、存立危機事態を放置するってことになってしまうと思うんですが、その点、それぞれにお聞きしたいと思います。

伊藤俊幸(前海上自衛隊呉地方総監・海将

まず、他国に対する武力攻撃があった場合。これは、「それが」。それが我が国の存立、国民の生命、自由、幸福追求権に著しく影響するかという、さらに「条件」が構ってるんですね。ですから、それに照らして他国がやられてるかどうかです。ですから、「何でもかんでも、外国がやられたから我が国が武力行使をする」というふうにはどう考えても読み込めないんです。そのようにはなってません。

ですからあくまでも、「それが我が国の」なんですね。我が国の国防に関わるかどうかの選択肢があって、ということですから、先ほどわたしが申し上げたように、想定されるとするならば、まだグレーゾーンで日本は有事じゃないのに、ない状態でも、「他国が日本を守ってくれる状態」が出てくるんですね。その守ってる、日本を守ってくれてる軍隊が攻撃を受けた場合、それを「排除」してあげる。

それがあくまでも「限定的」、「必要最小限度の排除行為」ということがいえて、極めて明確な歯止めがあるんだとわたしは思っております。

山田太郎(日本を元気にする会)

実は存立危機事態に関しては、「例外なく事前承認」ということで今回合意してますので、そういう意味で事後というのがなくなりましたから、政府の判断だけでいけるということではなくて、大いに国会が、ものすごく大きな責任を持つことになった。武力行使ということに関しては、自国がやられていない場合については必ず、これは「国会が承認しなければならない」ってことは合意されたので、我々自身としては、この合意をのみたいと思って判断したわけであります。

一方でもうひとつ、これは伊藤さんにお聞きしたいんですが、ひとつは実施区域ですね。国際平和支援法と重要影響事態法の実施区域に関しても、「現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を指定すること」ということで、期間と、それから場所に関しては「戦闘が発生しないと見込まれる」ということで、実はかつての「非戦闘地域」というところまで議論を戻させる合意を取り付けることができました。それ自身がひとつ、自衛隊のリスクが、現場に行った場合の軽減になるのかどうか、それはやりすぎなのかどうか(笑う)現場で助けられないのかどうか。

一方で弾薬の提供に関しても、拳銃、小銃、機関銃などの「他国部隊の要員等の生命、身体を保護するために使用する弾薬の提供に限る」ことということで、明確にこれも合意事項として盛り込むこととなりました。こういうことが今度、逆にいうと現場をサポートしてることになるのか、いやいやこれはちょっと方向が違うのかどうか、そのあたり。あるいは先ほどの国会の「例外なき事前承認」というものに対する合意の内容、そのあたり是非、コメントいただけないでしょうか。

伊藤俊幸(前海上自衛隊呉地方総監・海将

まず弾薬等についてですが、先ほど来、申し上げてますように、日本が支援をする、要するに他国に支援をするという形は、基本的には「集団安全保障」なりで、国際社会が決めた枠組みで参加してる他国に対して支援をする。ですから、日本としての参加の仕方は、基本的に真剣にドンパチをやるために行くわけがあり得ません。ですから、あくまでもそこで使われる武器というのは、その要員の保護というところに限定するというのは、あるひとつの枠組みなのかもしれません。

もうひとつ、その枠組みが決められるというのは、枠組みというものは、本来はその状態が発生して、そして政府の方できちっと情報を収集して、そしてどこまでどうするんだと、それがいかにサポートに、その全体のミッションがきちんといくかという、その中で本来、決めるものであって、でもそれが、先ほどおっしゃったように「似て非なるもの」とはおっしゃいましたけど、ある一定の、なんていうんですかね、「枠組みでやる」ということが、わたしは基本的に、それほど大きな制約になるとは思いません。

ただ、先はどうなるかわかりませんから、その時になって「ほんとはこうやった方が国際社会の中で正しいんだ」というものが起きた場合に、その制約が、また「日本だけが別の枠組みの国だな」と思われないようにする、そこは未来はわかりませんけど、そこはひとつあるのかなと思います。

山本太郎(生活の党と山本太郎となかまたち)

生活の党と山本太郎となかまたち、共同代表、山本太郎と申します。よろしくお願いいたします。先生方の貴重なご意見、ほんとにありがとうございます。

わたくしが本日お聞きしたいのは、自衛隊の海外での活動、国際法上の正当性についてお聞きしたいと思います。

先生方のお手元には以前パネルとして作ったものを、このパネルですね。これをコピーしてお渡ししていると思います。このパネルのとおり、8月25日の本委員会で、わたくしは安倍総理と岸田(外務)大臣に質問いたしました。

総理は「ある国がジュネーブ諸条約をはじめとする国際人道法に違反する行為を行っている場合、そのような行為に対して、我が国が支援や協力を行うことはございません」と答弁。協力を行わない範囲につきましては、おとといのわたしの質問に、「米国も含め、変わることはない」と答弁されました。

また岸田(外務)大臣は8月25日、総理答弁のあと、「直接支援していない行為以外の部分において、仮に国際法違反がもし確認されたとしたならば、それが国家として組織的に行われているものなのか、あるいは一部の兵士の命令違反によって行われているものなのか、これを具体的に判断することによって我が国の対応を考えていく。これが基本的な方針であります。これからもこうした方針をしっかりと守っていくのが、我が国の協力・支援のありようであります」と答弁されました。そこでまず、公述人の先生方全員に伺いたいと思います。

もし今後、自衛隊が支援や行動を共にする諸外国の軍隊が、民間人を殺傷するなど国際人道法違反や戦争犯罪を起こし、自衛隊がそれに巻き込まれ、共犯者になるようなことがあっては絶対にならないと考えます。いかがでしょうか。できればひと言ずつコンパクトに、すべての先生方にお聞きしたいんですけれども、よろしくお願いします。

伊藤俊幸(公述人 前海上自衛隊呉地方総監・海将

この前提というのはおそらく「国連による決議」、あるいは「一定の国際社会の決議」のもとに何かをやってる、そこに支援をしてるということだと思いますので、そことの関係で決めることだと思います。

山本太郎(生活の党と山本太郎となかまたち)

ありがとうございます。

自衛隊の支援の国際法上の正当性。これを確立するためにも、自衛隊員を戦争犯罪に巻き込まないためにも、これ事前に行動を共にするであろう国をリストアップして、それらの軍隊がこれまでに行った戦争で、国際法上の正当性があったか、戦争犯罪がなかったかなど、第三者委員会による検証。これ必要不可欠じゃないかなって思うんですよね。その上で、支援国リストに入れるのか入れないのかを検討する必要があります。そのようにわたくしは考えます。

いかがでしょうか。このような仕組み、必要であるか、必要ないか。コンパクトに、先ほどのように、ひと言でお答えいただけると助かります。

伊藤俊幸(前海上自衛隊呉地方総監・海将

これまでも「テロ特措法」ですとか、いろんな特措法を作ってますが、その都度、きちっとした情報収集をして、そういった前提を全部考えた上で、我が国は派遣をしてきたというふうに認識してます。

山本太郎(生活の党と山本太郎となかまたち)

ありがとうございます。

伊藤公述人にROE、《Roll Of Engagement》についてお伺いしたいと思います。ROEは、自衛隊では「部隊行動基準」、米軍などでは「交戦規定」といわれるそうですけれども、日本の自衛隊と米軍が「共同訓練」をするときなどは、「米軍のROE(交戦規定)」、「自衛隊ROE(部隊行動基準)」、どちらのROEによるのか。それとも新たな別のROEを作るのか。ちょっとコンパクトに教えていただけると助かります。

伊藤俊幸(前海上自衛隊呉地方総監・海将

訓練の場合は「訓練用のROE」というのを作って、それで考えるということです。

山本太郎(生活の党と山本太郎となかまたち)

その「訓練用のROE」というのは、どちら側に寄ったものなんですか。米軍側なんですか、自衛隊側なんですか。

伊藤俊幸(前海上自衛隊呉地方総監・海将

その場、そのものがどういうものか、わたしはちょっと見てないですけど、基本的には「日本の考え方」ということです。

山本太郎(生活の党と山本太郎となかまたち)

ありがとうございます。

もし自衛隊が米軍に対しての「駆けつけ警護」を行うという事態になれば、より国際法違反に巻き込まれる確率っていうのは格段に跳ね上がると思うんですよね。誰が敵か味方かもわからない修羅場に身を置くことになりますよね。

(中略)

わたしは先ほどの総理と外務大臣の答弁、担保するためには、特にイラク戦争での国際法上の正当性についての検証、不可欠と考えます。以前、外務省の検証、行われましたけれども、いつものお手盛りでした。イギリス、オランダではすでに検証委員会が存在し、何度も検証が重ねられ、その様子はネットでも中継され、総括が行われ、当時の閣僚が謝罪などを行っています。

当時、我が国は正当性をしっかりと見きわめずにアメリカに追従。真っ先にイラク戦争に賛同。自衛隊も派遣されました。その総括もなく自衛隊の活動の拡大。政治家、自衛隊の存在を軽く見すぎてるんじゃないかと思うんですよね。

活動拡大の前に、以前行われた派遣に対して、その戦争に対しての独立性の高い検証、必要だと思うんですよ。イラク戦争を知るジャーナリスト、NGOの人々も含めた第三者委員会による検証、必要不可欠だと思うんです。したたかに考えるということを考えた上でも、こういうものは必要だと思うんですけれどもいかがでしょうか。

そのような第三者委員会による検証、「必要があるか・ないか」ということを先生方にお聞きしたいと思います。必要がないといわれる方は、ちょっと合理的なお答えを聞かせていただければ助かります。お願いします。

伊藤俊幸(前海上自衛隊呉地方総監・海将

まずイラク戦に参加したというのは、わたしは間違いだと思います。これはあくまでも「復興支援」です。要するにイラクのそのあとですね。終戦のあとの「復興をどう支援するか」という形に参加した枠組みだったということだと思います。

それから先ほどの「ROE」についても、まるで戦争を拡大するようなものをROEと捉えておられるかもしれませんけど、逆だと思います。いかに状態を抑止的にするか、どうするかという、この概念にもってくるのがROEの考え方です。交戦規定、これは軍事的常識です。

以上のことから、と、それから先ほどの議論ですが、わたしは、政府、あるいは国会というところで、しっかりとした情報をもって議論をしていただいた上で、こういったものは出していただければいいんだと思います。

発言者:伊藤俊幸(前海上自衛隊呉地方総監・海将