読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

聞文読報

聞こえる言葉を文字に起こし、目で聴く読み物に変えて発信します。

9月28日 東京2020エンブレムの問題に関する報告 記者会見(第2部)・質疑応答(全文) 『東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会』

※2015年9月28日、『東京オリンピックパラリンピック競技大会組織委員会』より

記者会見

藤澤秀敏(組織委/広報局長)

それでは第2部を始めさせていただきます。エンブレムの問題に関する組織委員会の報告をさしていただきます。

登壇者ですけれども、引き続き会長の森、事務総長の武藤に加えまして、副事務総長の布村、副事務総長の佐藤、そして、総務局長兼チーフコンプライアンスオフィサーの雑賀でございます。

お配りしたリリース資料の中に、「エンブレムに関する組織委員会報告書」が添付されております。そちらをご覧いただきながら、お話を、まずこちらからさしていただきます。

まず、詳細な説明に先立ちまして、会長の森より、今回のエンブレムに関して、まず、お話をさしていただきます。

森喜朗(組織委/会長)

たいへん長時間になりましたが、引き続きよろしくお願いいたします。

去る9月1日、東京2020大会エンブレムの撤回をいたしました。その件について、ひと言、申し上げます。

2020年の大会に大きな期待を持ってくださっている、国民の皆さま、そして都民の皆さまに、ご心配をおかけしたことを、まず、お詫びを申し上げます。

また、東京都、政府、JOC、JPC、IOC、IPC、その他、関係者の方にも、たいへん申し訳なく思っております。

さらに、組織委員会を力強く応援してくださった、スポンサーの方々にも、たいへんなご迷惑をおかけしました点、あらためてお詫びを申し上げたいと考えております。

撤回後、わたくしはただちに、まず、前回のエンブレム選定の何が問題であったのか、撤回に至る経緯も含め、きちんと調査を行うように指示をいたしました。皆さまにお配りを申し上げました報告書、その詳細については、後ほど、担当の者からご説明を申し上げたいと思います。

報告の詳細は、これからご報告申し上げますが、わたくしに対しましては、次の2点が、問題、重要であったというふうに考えております。

1つ目は、「大会エンブレムとは何か」という議論を行わないままに、専門的なデザイン性の高さを重視する、閉じられたエンブレム選定に入ってしまったということであります。いま一度、オリンピック・パラリンピックが広く、国民・都民の大会であるという点に立ち戻り、多くの方に参画していただくエンブレム選定を行う必要があると考えております。

この点につきましては、本日、設置が決まりました「エンブレム委員会」のもとで、前回の反省を踏まえた大会エンブレムづくりが進むと、期待をいたしております。

2つ目は、組織委員会の情報共有、意思決定の在り方についてであります。大会エンブレム策定作業は、一部の職員のみによって進められ、じゅうぶんなチェック機能が働かなかった面がございます。組織委員会は、各組織・企業からの出向者でその多くは占められておりますが、いま一度、組織としての一体感を、どう醸成していくかが必要であると考えます。

この点につきまして、きょうの理事会におきまして、筆頭副会長の豊田章男さんから、民間の知を活かした組織改革の必要性について、ご発言がございました。わたくしからも是非、そうした議論をリードしてほしいとお願いを申し上げ、理事会の皆さんのご了承を得て、改革チームを、組織委員会の改革チームを設置することになりまして、豊田副会長に、その座長としてご就任いただくことを、ご承諾をいただきました。これから具体的な改革案をご検討いただき、わたくしどもに提示をしていただきたいと、このように考えております。

大会まで5年をきりました。来年のリオ大会後は、世界中の目が東京に注がれます。今後、2020年の大会の成功に向け、職員一丸となって、全力で大会準備にまい進し、信頼回復に努めてまいります。よろしくお願い申し上げます。

以上です。

藤澤秀敏(組織委/広報局長)

引き続きまして、旧エンブレム策定にかかる反省点についてのご報告を、副事務総長の佐藤よりいたします。

佐藤広両(組織委/副事務総長)

それではわたくしから、反省点の報告書について、ご説明をいたします。お手元の右肩に「資料2の1」とふってございます資料を、ご覧いただきたいと思います。

開いて2ページに記載がされておりますけれども、旧エンブレムにつきましては、9月1日に取り下げを決定いたしましたが、それにあたりまして、エンブレム自体の策定過程についても、さまざまな批判を受けました。とりわけ密室性、そのわかりにくさを指摘されております。こうした批判を真摯に受けとめ、反省なくして、新エンブレム策定に向かうことはできないというふうに考えたところでございます。

そこで、旧エンブレム策定の経緯、当時の考え方を調査し、反省点を整理し、理事会にご報告いたしました。以下、概要について申し上げます。

反省点の大きなポイントですが、エンブレムについて、どういったものであるべきか、東京、日本の大会にはどんなものがふさわしいのか、どういったメッセージを込めるのかなど、基本的なコンセプトに関する議論がじゅうぶんでないまま、専門的なデザイン性の高さの追求に走ってしまったことであります。

3ページから4ページになりますが、「エンブレムの考え方」というタイトルで、コンセプトの議論不足について記述をしております。大会の象徴でありますエンブレムにどのような意味を盛り込んでいくかを、国民の皆さまにお伝えをし、知っていただくことをあきらめているようでありました。それが不足したために、知らないうちに制作されたエンブレムとの印象を与えてしまい、いざ発表しても、必ずしも強い支持を得られず、類似のデザインの存在と相まって、取り下げという事態に至ったというふうに反省をしております。

また、6ページをご覧いただきますと、ただいま申し上げました、デザイン性の追求につきましては、応募要件を厳しくしたところに端的に表れております。国内外のデザイン賞を複数回受賞という厳しい応募要件を設定したことで、幅広い参加を排除するものになってしまいました。

また、8ページから10ページにかけて記述をいたしました、審査員の選任についても同様でございます。審査員をグラフィックデザインを中心とする専門家が審査したことから、極めて閉鎖的と指摘もされております。

オリンピック・パラリンピックという国民的事業にありまして、エンブレムはまさにオールジャパンで策定していくべきでした。応募する側も、幅広いバックグラウンドの方々が参加できる仕組みを用意をし、審査する側も、アスリートその他、各分野の専門家などを審査員に加えるべきであったと思います。

また、エンブレムは国際商標登録が必要なことから、完成まで秘匿することが重要であります。これはIOCからも指摘されてきたところでございます。しかし、秘匿性を重視しすぎた結果、こういった面からも、説明や情報発信が絶対的に不足することになりました。策定プロセスが透明であることが、エンブレムに対する愛着を生んでいくという、極めて重要なことへの認識が不足しておりました。

反省点のもうひとつ大きな点は、組織委員会の情報共有、意思決定の在り方であります。

エンブレムには、デザインに関する専門的な知識を必要とし、また、国際商標登録のための秘匿性が求められます。それゆえ、策定業務のほとんどが特定の人間に委ねられ、全体でも一握りの職員しか知り得ない状況でありました。

そのため、組織として意思決定をする前の段階で、情報が共有されず、多様な視点からの議論や、組織間の相互チェックも有効に機能しておりませんでした。

たとえばですが、14ページをお開きいただきますと、審査委員会に設定いただいた原案を、国際商標を取るために修正をいたしました。その経緯は、8月28日に行った記者会見のとおりでございますが、これについても、なぜ審査委員に諮らずに修正したのかといった批判を受けております。

どのような場合に、どのような手順で行うかなどの考え方を、事前に組織全体で議論し、決定をし、審査委員会の役割や、組織委員会事務局との関係を整理しておくべきでありました。

さらに、内部調査の段階で、次のような事態が判明をいたしました。12ページに戻っていただきたいと思います。一番下のマルをご覧ください。

審査委員の代表(※永井一正)から、今回のエンブレム策定を、トップレベル・デザイナーの競い合いとすべく、公募についての正式発表前に、特定のデザイナーに対して招待状を送り、熱意をもって制作に取り組んでもらうようにしたいという意向が、審査委員の代表(※永井一正)から示されました。

これを受けまして、担当局長(※槙英俊)の判断によりまして、8名のデザイナーに対しまして、審査委員代表(※永井一正)と組織委員会クリエイティブディレクター(※高崎卓馬)の名前で、参加要請文書が送付されました。

公募開始後には、より多くの方に参加していただくために、日本グラフィックデザイナー協会などに協力を依頼しております。こういう経過を経て、104作品が出品されました。

審査に当たっては、応募作品の管理ですとか、審査当日における公平性の確保のため、作品がどの作者のものかが審査委員に明らかにならないよう、細心の注意をはらって実施しており、公正に行われたと考えておりますが、結果的には入選をいたしました3名は、事前参加要請を行った8名の中に含まれております。

この参加要請と審査結果の関係については、調査を継続する必要があり、本日のところは準備中でございますが、外部有識者による調査が必要というふうに考えております。

16ページをお開きください。

発表から取り下げに至る経緯等をまとめております。ベルギーにてIOCが訴訟提起を受けておりまして、当該訴訟への影響を最優先に考慮をしたため、結果としてエンブレムの詳細な制作経緯について、国民の皆さまへの説明が遅れました。もう少し丁寧に、組織委員会の考え方を説明する機会を設けるべきでありました。

また、組織委員会主催の会見で用いました資料に、第三者の写真を無断で使用してしまったことは、著作権への認識不足であり、大変申し訳なく思っております。

最後の18ページ、19ページに本報告書のまとめを掲載しております。

エンブレムの策定につきまして、可能な限り、広く情報を提供しながら、秘匿性を守りつつも、選ぶ側も、選ばれる側も、より幅広く参加できる仕組みを工夫していくべきであったということがまとめてあります。

また、組織委員会の運営について、謙虚に反省しなければなりません。秘匿性を重視するあまり、また専門性を尊重するあまり、局間連携がうまく機能せず、相互チェックも働かなかったことを改善していく必要があります。

今後はオープンで透明性の高い組織運営に努め、丁寧な情報発信をしていきたいと、かように考えております。

その第一歩として、新しいエンブレムを、まさに国民参加で進めてまいりたいと、このように存じております。

わたくしからは以上でございます。

藤澤秀敏(組織委/広報局長)

続きまして、今回のエンブレム問題についての責任という観点から、事務総長の武藤がお話しさしていただきます。

武藤敏郎(組織委/事務総長)

ただいま、佐藤(事務)副総長から、「旧エンブレム策定にかかる反省点について」という報告がありました。これを踏まえまして、わたしからは、組織委員会としての業務・運営上の責任について申し上げたいと思います。

今回のエンブレムの取り下げにあたりましては、国民の皆さまにご心配をおかけし、スポンサー各社の皆さまや、東京都、政府、オリンピック・パラリンピック関係機関の皆さまなどに、多大なご迷惑をおかけいたしました。

エンブレムの説明に関する記者会見におきましては、担当局長(※槙英俊)が、著作権者の承諾を得ていない写真を使用するといったようなことがあり、組織委員会として不適切な事務の執行があったというふうに思います。

この報告書にも記載したとおりでございますけれども、一連の状況は、エンブレム策定にかかります組織委員会の業務運営について、事務局として管理・監督がじゅうぶんでなかったというふうに反省しております。

このような業務・運営上の責任に鑑みまして、次の対応を行うことにしたいと考えております。

事務局の業務・運営全体を管理・監督する立場から、事務総長、わたくしについて、報酬月額の20%について2か月分、自主返納する。事務局の業務・運営体制の管理・監督を補佐する立場から、布村副事務総長について、報酬月額の10%について1か月分、自主返納する。同じく事務局の業務・運営全体の管理・監督を補佐する立場から、佐藤副事務総長について、報酬月額の10%について1か月分、自主返納すると。最後に、先ほど申し上げました記者会見での写真の無断使用に関しましては、担当局長(※槙英俊)を戒告処分するということでございます。

以上でございます。

質疑応答

藤澤秀敏(組織委/広報局長)

それでは、質疑応答の時間とさしていただきます。質問のある方は、先ほどと同じ要領で、挙手の上、ご質問ください。それでは、質問どうぞ。

朝日新聞(ウシオ)

トップレベルの競い合いを実現するために、公募発表前に、特定の方に招待状を送られたということなんですけれども、この8名の方の中に佐野さんは含まれてるのかどうかということと、あと、その上位3名は8名の中に含まれているということですが、3人ともそうなのか、その3人のうち何人が、この8人の方なのかということを教えてください。

佐藤広両(組織委/副事務総長)

上位3名というのは、トップの佐野さんからを含めて上位3名ということでございます。その3名が調整をした8名の中に含まれていると、こういう事実でございます。

共同通信(音声不良)

確認なんですが、担当局長(※槙英俊)を戒告処分ということでしたが、記者会見での写真の無断使用に関してですが、これは、局長自身が無断使用をしたということでよろしいでしょうか。

佐藤広両(組織委/副事務総長)

はい、そのとおりでございます。

共同通信(音声不良)

何枚か、複数に関して、先日の記者説明会では、無断使用があったということですけど、すべての画像に関してということでよろしいですか。

佐藤広両(組織委/副事務総長)

そのとおりです。

共同通信(キクウラ)

このエンブレムの公募発表前の招待状は、だいたい公募するという正式発表のどのくらい前に、時期的に送られたものなのか、もしわかれば教えていただきたいのと、8名は、これは国内外のデザイナーのかどうかちょっと確認させてください。

佐藤広両(組織委/副事務総長)

公募要綱の発表は、昨年9月12日に発表しております。要請文書につきましては、9月9日に発送をされております。それから、8名につきましては、国内のデザイナーということです。

読売新聞(ユウキ)

可能でしたら、森会長に伺います。

改革委員会というのを豊田さんを筆頭に、座長に、立ち上げるというお話でした。具体的にどのようなかたちで日韓(発言ママ)の知、そして改革を進めていきたいと思われていらっしゃるのか。そして、今回のエンブレムのご経験というものがそれにどう関わってくるのかお教えください。

森善朗(組織委/会長)

まず、このエンブレムの、新しく選定委員会というのと、この改革とは、必ずしも同じ土俵にあるものだとは、わたし思っておりません。関連して、このエンブレムでいまいろいろ、佐藤副総長から報告がありましたような経過。この点について我々は、本当に反省しなければならないと思っております。また、先ほども申し上げましたように、関係者に対しては深いお詫びを申し上げているところであります。

ちょっと回りくどい話をして恐縮なんですが、いま、わたくしどものこの組織委員会というのは、現在、ただいま、この虎ノ門の事務所に、全体で約407名。日々変動があるんです、これ。そして、その中で120名ばかりが、要は新宿で現場の方のお仕事というふうに分かれております。

しかし、この約410何名というのは、まったくほとんどすべてではありませんけれども、まあ大体ほとんどと言っていいほど、全部これは、それぞれの企業、あるいは団体、特に役所、関係管理省庁、東京都、これをすべて出向者であります。

皆さまそれぞれの役割をもって、出向してこられてるわけでありますけども、わたくしの立場から言えば、その皆さんがまた、このオリンピックが終われば、それぞれのところにお帰りになって、それぞれのお立場で、将来ともに活躍していただかなきゃならないというような、そういうことを多少、気を使いながら、この職員の皆さんの主導をしてきたつもりであります。

したがって、セクションによりましては、どうしてもその専門性のある方々が、そのリーダーになっていくということであります。まさしく今回の、このエンブレム選定のほうの委員会もやはり、部署も、やはり極めて特殊性のある方々のことになります。

ここにはおられませんが、たとえば施設関係、東京都から局長がみえておりますけども、これもほんとに専門的な方にやっていただいてます。セキュリティーもそうだと思います。

そういうふうに、すべてそれぞれの分野の方々が、専門職をもっておやりになってるのを、まあ、我々素人が、あまり横からとやかく言わないほうがいいというふうにわたくしも考えますし、それは皆さん、その方が仕事がしやすいだろうというふうに、わたくしは見てきました。

そういう意味で、今回、この組織をどうあるべきなのか、これから5年間。なんだかんだ言いましても、これからさらに千人、2千人として増えてくるというふうに言われてますし、ロンドンの例をならえば、いわゆるお手伝いをいただくような方々も含めると、ロンドンでは7万あったというふうに聞いておりますから、東京は8万ぐらい必要なのかなと思います。

こういうみなさんをどう監督・処理をしていくのかということも、たいへん大事なこととなってきますと、今まできましたように、ここは東京都がやってきたこと、ここは外務省がやったこと、ここは国土交通省だというふうに、まあ割り切ってみていくわけにはいかなくなってくる。そしてそれが、横の連絡というものも、もう少しきっと、共有していかなきゃならないんだなあという意味では、この組織に、少し無理があったのかなあと。だんだんこう肥大化していくなかで、何かもうちょっと意思の疎通が、あるいはこうしたことの誤りが、隣の家の話のように、みんな片付けてしまっているような現状もあるわけでありまして、それはやっぱり我が事のように、みんなが共有していけるような組織体にするには、どうあるべきなのか。

こうしたことを幸い、豊田社長が、わたくしどものこの副会長にお入りいただいておりますので、是非、豊田さんにその知恵をお借りして、民間の委員の方も、理事の方もおられますし、そういう方々のお力で、この組織委員会の機能的な運営の仕方、そうしたことをご検討いただき、我々にまたご指導いただきたいと、こういうのが、今回の委員会の趣旨でございます。

あまり具体的なことをちょっと申し上げるのは、差し控えたいと思っておりますが、そうしたことがスムーズに進めるように、今までのことに対して、リカバリーをしっかりしてやっていきたいと、このように思います。

藤澤秀敏(組織委/広報局長)

恐縮ですけれども、時間になりましたので、エンブレムに関する報告書の質疑は終了させていただきます。

発言者:藤澤秀敏(組織委/広報局長)、森善朗(組織委/会長)、佐藤広両(組織委/副事務総長)、武藤敏郎(組織委/事務総長)