聞文読報

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7月29日 西田実仁(公明党)の質疑(抜粋) 参議院『平和安全特別委員会』 現在の北朝鮮及び中国の実態と脅威、それによる我が国のアジア太平洋地域における国家安全保障環境の変化ついて、政府の見解を述べた安倍総理の国会答弁

※平成27年7月29日、参議院『平和安全特別委員会』より

西田実仁(公明党)

まずこの国家安全保障戦略でいうところの、<北朝鮮の軍事力の増強と挑発行為>ということに対しまして、日本を含む地域の安全保障環境にとって、具体的にどのような課題と認識されているのか。また、それに対する対処は日本単独で可能なのか。それとも日米等の共同対処が必要なのか。できるだけわかりやすく、総理にお答えいただければと思います。

安倍内閣総理大臣

まず前提として、この国家安全保障戦略を策定していく上においても、ここに書かれております様に、日本を取り巻くアジア太平洋地域の戦略的な安全保障上の環境が大きく変わっている。その中においてはパワーバランスの変化、軍事技術の向上、委員がご指摘された大きな変化があるわけであります。

北朝鮮については、日本大半を射程に入れる数百発もの弾道ミサイルを配備をし、発射されればおよそ1000kmを、わずか10分で到達するという情況にあります。また、2006年以降、3回の核実験を繰り返し、ミサイルに搭載できる核兵器の開発を進めているのと、地域の安全保障に与える脅威が深刻化をしています。

このような北朝鮮のミサイルの脅威に対しましては、日米で構築しているミサイル防衛システムが必要不可欠であり、日米の共同対処が死活的に重要であると考えています。

また中国につきましては、公表国防費が1989年以降ほぼ毎年2桁で伸びておりまして、過去27年間で41倍でありまして、今年度においては中国の国防費は、日本の防衛予算の3.3倍に達しており、軍事力を広範かつ急速に強化をしています。

東シナ海においては、尖閣諸島周辺海域において、中国公船による領海侵入が繰り返され、境界未確定海域における一方的な資源開発が行われています。南シナ海においては、中国は活動を活発化し、大規模かつ急速な埋め立てを、一方的に強行している。このような既存の国際秩序とは相容れない独自の主張に基づき、力による現状変更の試みを行っている。こうした中国の姿勢は、その安全保障政策に関する不透明性と相まって、我が国を含む国際社会の懸念事項となっています。

中国に対しましては、戦略的互恵関係の考え方に立って関係を改善していくとともに、中国による、力による、現状変更の試みに対しては、我が国は事態をエスカレートさせることなく、引き続き冷静かつ毅然として対応していく考えであります。

いずれと致しましても、こうした安全保障環境の変化に対してまず大切なことは、外交を通じて平和を構築していくことが重要であることは、言うまでもありません。そして同時に、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中においては、日米安保体制をさらに強化するとともに、地域の内外のパートナー国との理解を深めることによって、紛争や戦争を未然に防ぐ力を整えていくことが重要であります。それがいわゆる抑止力でありますが、抑止力を一層強化をし、紛争を未然に防いでいかなければならないと、こう考えているところでございます。

発言者:安倍内閣総理大臣、西田実仁(公明党)