聞文読報

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8月12日 青山繁晴 今後の政局について(全文) 『インサイトコラム』

※2015年8月12日放送、RKBラジオ『ニュース新発見インサイト』より

水曜日です。独立総合研究所、青山繁晴さんの登場です。

櫻井 青山さんおはようございます。

青山 おはようございます。

櫻井 安倍総理もつかの間の夏休みで山梨の別荘に行ったみたいですが、お盆休み以降の政局はどうなりそうですか?

青山 今日はそのお話をまさしくしたいんですけれども、実は今日もテレビ東京の生放送終わった直後に報道部の一画をお借りしてますから、ちょっとザワザワすると思いますけどそこはお許しいただいて。

櫻井 はい。

青山 今仰ったとおり、安倍さん河口湖の別荘に行ってはいるんですけれども、休みのようでいて休みではないですね。敗戦の日もありますし、沖縄との水面下の協議も続いていきますし。

櫻井 ええ。

青山 まずお盆明け一番最初に政権がやろうとしてるのが、当然ながら安保法制案の成立なんですね。

櫻井 はい。

青山 実は政権側と最近いろいろ議論を致しました。その結果、もうはっきりと政権の意思が伝わってきたのは、いわゆる60日ルールは使わないってことです。

櫻井 使わないんですか?

青山 はい。60日ルールっていうのは参議院に行った法案、つまり衆議院を通過して参議院に行った法案を参議院が2ヶ月以上採決出来なかったら衆議院に戻して再可決、それで成立とできるというルールなんですけれども、使わないと。

櫻井 お~。

青山 どうしてかと言うと、それ使うと参議院の価値が問われるっていうか無くなっちゃいますから、そういうことはしない。ということはどうなるかというと、今の民主党共産党の姿勢ですと採決に応じない可能性が強いですから、いわゆる強行採決になる。

櫻井 はぁ~。

青山 ただし僕はどちらの立場に立つんじゃなくて、強行採決という呼び方はメディアが簡単に使うのはちょっとおかしいと思ってます。これは本来、日本の国会は国会の会期が切ってありますからどっかで採決しなきゃいけないわけですから、賛成反対を問わず採決には向き合わなきゃいけないんで、そうしないといつまでも何も決められませんから。

櫻井 はい。

青山 だからこれは正しくは強行採決というより、与党単独による採決でいいですね。でもそれを9月10日頃に行う腹づもりを政権側は固めてます。

櫻井 はい。

青山 9月10日ですから9月末の国会の会期末まで結構余裕を見て、この与党による単独採決をあえてやって、そして本会議で通すということになります。これは政権の描く絵に過ぎませんけれども、それが無事に実行されると国会がいよいよ終わって、そして国会終わったらすぐ10月ですね?

櫻井 はい。

青山 国会終わっても当然秋の臨時国会ってのをやらなきゃいけない。その時期はまだこれからですけれども、早ければ10月の後半から11月にかえて秋の臨時国会になる。

櫻井 ええ。

青山 その間に内閣改造を行う。これも事実上確定です。

櫻井 そうですか。

青山 内閣の改造プラス自民党の役員人事ということになりますが、これはある程度の規模になると思います。

櫻井 そうなんですね。

青山 僕は個人的にだいたいどの内閣でも内閣改造の話が持ち上がると、記者時代も現在も改造反対ですということが多いです。というのは改造して良くなった例がほとんど無くて、改造したために内閣の力が落ちていくってことが多いですから、それはその内閣にとってどうというより国益に反することが多いから、安直な改造は反対なんですけど。

櫻井 はい。

青山 今回は僕も賛成です。

櫻井 何でですか?

青山 これはオリンピック問題やあるいは沖縄問題とかずっと引きずってる問題があって、それをこれからどう解決するかが日本のためになりますから、あえて改造に踏み切るべきだと思います。したがって大臣の交代は恐らく3人以上になると思います。 その中には場合によって意外かも知れませんが、沖縄担当大臣も交代となるかも知れないですね。

櫻井 そうですか。

青山 逆に言うと留任になりそうなのが財務大臣の麻生さんであったり、官房長官の菅さん、それから幹事長の谷垣さん。このあたりは今のところ動かない見通しの方が強いと思います。人事ですからまだこれから動きますけれど。

櫻井 はい。

青山 ただその上でこのお盆明け以降の政局の本当の課題というのは、あくまで経済だと思います。

櫻井 はい。

青山 これは総理サイド、政権側にも僕は最近特に何度も僭越ながら申してきたんですけれども。

櫻井 はい。

青山 そもそも再登板の初期の時期、非常に支持が高かったのはアベノミクスで経済が幾分好転して、そして異常な円高が修正されて円安というよりかはまともな為替レートになったから、たとえば日本は観光客で潤い、それから日本の輸出も持ち直しという風に全体に良い効果を上げてるわけですよね?

櫻井 はい。

青山 でもそれは日銀と協力をして緩和という名前、つまり異次元の金融緩和と言ったりしましたけど、要は円を増やしたんですよ。多いものは安くなりますから、それによって円が安くなってくれたわけですけれども、そこでずーっととどまってる感がありますよね?

櫻井 ええ。

青山 ひとつには安保法制案を国会にかけたからです。これは賛成反対の立場もちろん激しくぶつかり合っているわけですけれども、しかし安倍総理は再登板の大きな目的が日本の安全保障を世界の基準に合わせるってことでしたから、これは総理ご自身が周辺にはっきりと仰っていたのは、たとえ内閣支持率がどこまで下がろうとも、この集団的自衛権の国際基準どおり、国連憲章に書き込んでありますから、加盟国は個別的自衛権集団的自衛権、両方あるし両方やらなきゃいけないという趣旨が書いてありますから、これはやるんだと。そのために内閣支持率下がっても止むを得ない。でも想像以上のぶつかり合いになってるんですね。それははっきり言うと総理答弁の責任もあります。総理ご自身の説明も僕は決してきちんと国会で行われているとは思ってません。

櫻井 はい。

青山 それやこれやで何が起きてるかと言うと、経済は経済界。働く私たち、働く人々の側に預けた形になっていてアベノミクスが日本経済引っ張るって場面が最近あまり見られませんよね?

櫻井 ですね。

青山 これはもう言わば第2次アベノミクスの出番であって、それは単に金融緩和とか規制緩和とかの話じゃなくてですね。特にアメリカが喜ぶような規制緩和だけやればいいって話はいいかげん小泉政権がやってたような話は卒業して、はっきりした産業分野を指定をしてその成長を促す。ひとつはメタンハイドレートだけじゃなくて、メタンハイドレート熱水鉱床。そういう新資源を見れば日本は隠れた資源大国ですから。

櫻井 はい。

青山 それによって資源産業という日本には絶対できないと思われたものを勃興させる。特にメタンハイドレートは日本海側にいいものがありますから、日本海の産業振興になる、初めてそれが実現する。それからTPPがもし妥結するなら、余計に農業をお荷物と国民に誤解させるんじゃなくて輸出産業に生まれ変わらせて、雇用を生む日本の本物の成長の軸にする。それから全自動運転、あるいは電気自動車の進化が激しい自動車について、たとえば水素自動車700万円するのを国が200万円ちょっと補助金出して買ってくれ。でも5百数十万ですから高いですよね?

櫻井 そうですね。

青山 補助金漬けにするんだったら農業の誤った農業政策の二の舞になりますから。そうじゃなくてメーカーの枠を超えて、ホンダもトヨタ経済産業省も他の民間企業の技術も合わせた大きな仕組み、これをコンソーシアムと言いますがそれを作って新しい全自動運転を軸にした自動車産業を作る。

櫻井 はい。

青山 それやこれやをやりながら今日お別れに申せば、僕が一番提案してるのは消費増税を凍結しましょうと。

櫻井 はい。

青山 というのは安倍総理は再来年の4月には景気がどうなっていようが10%にすると仰いましたがこれを見直して、また延期すんのかということではなくて、消費税を二桁にするには特別な体力を増強させなきゃいけないから、その時間が必要なんで凍結するということを宣言してくださいと提案してまして、これを政権側が普通ならバーンとはねつけるはずですけれども、検討してみようってことになってますから、これからの国民の考え方、国民の声が非常に大きいと思います。

櫻井 わかりました。ありがとうございました。

青山 はい。

水曜日は独立総合研究所の青山繁晴さんでした。

出演者:青山繁晴(電話コメンテーター)、櫻井浩二(メインパーソナリティ)