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9月24日 翁長雄志 沖縄県知事 記者会見・質疑応答(全文) 『日本外国特派員協会』

※2015年9月24日、『日本外国特派員協会』より

記者会見

ジェームズ・シムズ(日本外国特派員協会 会長)

皆さま、ようこそお越しいただきました。わたくしはシムズと申します。会長でございます。となりのゲスト・スピーカーは、ご紹介しなくても、もう非常に有名な方でございます。

過去数ヶ月間、彼は海外にいらして、いろいろ沖縄、普天間の移設問題について、お話をしてるわけでございます。ごく最近には、ジュネーブにもいらしたということが話題になっております。そしてまた、前知事が承認をおろしました、埋め立て作業への許可。これの取り消しを、もう発表してるわけでございます。

わたしは25年前から、日本でジャーナリストとして活躍してるわけでございますが、この沖縄問題といいますのは、ずっとこの沖縄問題について、いろいろ対立してきたわけであります。

しかしながら、翁長知事になりまして、また国内の問題ではなく、もっと大きな国際問題に、その問題を多くの国々に提議しようとしてるわけでございます。これによって、より多くの国々がこの問題に注目することにより、新たなフェイズに、この問題をもっていこうとされてるのではないかと思います。

では翁長知事、よろしくお願いいたします。

翁長 雄志(日本国沖縄県知事)

はいさい、ぐすーよー、ちゅーうがなびら。(やあ、皆さま、こんにちは。)

沖縄県知事の翁長 雄志(おなが・たけし)でございます。

前回5月20日、ここで、外国特派員協会で、わたくしの、その時までの沖縄の普天間基地の移設の問題、「新辺野古基地」の問題等々、話をさしてもらいました。またあらためて、ここで皆さま方にご報告をする中で、またいろいろ議論を深めていただくことに、心から感謝を申し上げたいと思います。

そして、それから以降のいろんな出来事があったのちに、きのうで終わりましたけれども、国連の人権理事会におきまして、あらためて、それまでの総括の沖縄の問題、話をさしていただきました。きょうはこれを受けて、今日までのいきさつを、またお話をする中から、ご質問等を受けて、ご理解を深めていただければありがたいと思ってます。

それでは、5月20日以降に起きた出来事で、いちばん大きかったのが、8月10日から9月9日まで約一ヶ月、工事を止めるということになりました。わたくしはそれまでも、とにかく工事を止めて、話し合いをさしていただきたいということを申し上げておりましたので、政府がそれに応じて、一ヶ月工事を中断したということは、わたしからしても理解をするなかから、一ヶ月中断をいたしました。

これから報告はしますけれども、一ヶ月間で何が話し合われたかということを考えますと、やはり、わたしからしますと、安全保障法制、安保法制ですね。これがいろいろ切羽詰まった中で、沖縄問題も抱えるのはなんだなあ、ということで、一ヶ月工事を中断したのではないかなあ、というふうにも思ってます。

なぜなら、5回の集中協議がありましたが、わたくしは、沖縄の問題を、いろんな角度から話をさしてもらいましたが、向こうのほうからは、ほとんどそれに対する返答は、一ヶ月のあいだ、ございませんでした。ですから、そういったような感じもするわけです。

しかしながら、その5回の中で、わたしが話してきたことは、いつも終わってからの記者会見で、「わたくしはこういうふうに申し上げました」というふうに報告をさしていただきましたので、その中でのいろんないきさつは、一定程度、ご理解をいただけたというふうに思っております。

それできょう、その後、5月20日以降の出来事でのいちばん大きな、一ヶ月間の集中協議の中で、わたくしの方が申し上げ、ほとんど反論はなかったんですけれども、政府の話をしたものを紹介をして、これまでの経緯に代えさせていただいてから、皆さん方の質問等を受けたいというふうに思っております。

最初にお話をさしていただいたのが、その前からでありますけれども、菅官房副長官官房副長官とは、4月に最初にお話ししてから、ずっと、沖縄の歴史を含め、いちばん、わたくしが思いをお話をした方でありますが、わたくしの思いすべてについて、集中協議が終わる時の、わたしが、「わたしのそういった話は通じませんか」という話をしましたら、「わたしは戦後生まれなので、そういった、沖縄のおかれてきた歴史というものについてはなかなかわかりませんが、19年前の日米合同会議で、辺野古が唯一だと、辺野古に移すんだということがわたしのすべてです」という話をされましたので、わたくし自身は、「お互い、70年間を別々に生きてきたような感じがしますね」という話をさしてもらいました。

そして、なぜ辺野古が唯一と言う政府と、わたくしが、この県外移設が、でなきゃいかんかというようなものを簡単に申し上げますと、普天間は戦後、米軍が、わたしたちが収容所に入ってる間に、あるいは収容所じゃなくて、住んでる場合には、「銃剣とブルドーザー」でどかして、いまある、沖縄本島にある18%。本島の面積の18%を占めておりますけれども、その基地はすべて「強制接収」です。わたしたちがどうぞと言って差し出した土地はひとつもございません。

ですから今回、新辺野古基地は、初めて沖縄県側が形とすれば、「了解した」という形になっておりますけれども、ただ前知事も、4年前の選挙では「県外移設」ということで当選をしましたので、ある意味では県民に約束したことを破って、埋め立ての承認をしたわけでありますから、これをわたくしが選挙でもって、昨年、名護市長選挙、すべての衆議院選挙沖縄県知事選挙で、「辺野古にはつくらさない」という沖縄の民意を出すかたちで、それを否定しましたから、わたくしは、その原点というものは、この沖縄の「強制接収」であるということがひとつ。

それからもうひとつは、その16、7年前に、稲嶺知事などが辺野古ということで了解をしたのは「条件付き」だったんです。辺野古にはつくっても、15年後には返してくださいよと、軍民共用で使う。それから以降は沖縄県に、この経済振興という形でできるんであれば、その基地の負担も受けましょうということでやりましたら、橋本内閣は閣議で、この知事と名護市長の言うことは尊重しますということで、それを閣議で決定してからこの問題を進めたんですが、小泉内閣、平成18年であります。その橋本さんの場合には、平成11年。それから7年後の18年には、小泉総理が、その時の11年の閣議決定を打ち消してしまいました。

ですから、正式に沖縄県側が「辺野古でいいですよ」と言った条件付きのものも、全部反故にしたわけですから、それも「原点としておかしい」というようなことを菅さんには、話をさしていただいたわけであります。

それからこの中でも、中谷防衛大臣とは、抑止力について、割合、閣僚4名の中では議論をしたほうになります。中谷さんは何とおっしゃったかというと、「中国がたいへん脅威である」と。「ですから沖縄の自衛隊スクランブルも2倍、3倍と回数が多くなってるので、是非とも沖縄にミサイルも配置をしたいし、自衛隊も、あらためて宮古と石垣に、数百名程度配置をしたい」というような話をされておりました。「それが抑止力につながるんだ」という話がありましたので、わたしのほうからは、「沖縄は、27年間、米軍の施政権下から外された時には、日本国民でもない、アメリカ国民でもないなかで、ベトナム戦争を、沖縄の基地を使って戦争をしたわけなんです」と。「日本の戦後の平和と高度経済成長は、沖縄が27年間、米軍が自由に使うことによって、わたしは成り立ったもんだというふうに思っております」というふうに申し上げました。

そして、そういう状況でありますから、この沖縄が27年間、そういったようなかたちで軍事基地であったものは、当時はソビエト連邦、中国が共産主義社会として、世界がどうなるかわからんという時に、沖縄が要石として必要だと言われておったんですが、あれから40年たちまして、いま中国が脅威だと言っても、あの冷戦構造に比べて、どれだけ脅威になってるかということが、何にも説明がない。

そして安保法制の中では、中東のホルムズ海峡まで、沖縄の基地を使って「抑止力」としてやる。あるいは、南沙諸島に中国が進出するまでも、沖縄本島が、沖縄の基地がその役割を果たすんだという話を中谷さんがされた時に、わたくしは「そのホルムズ海峡南沙諸島まで、なぜ沖縄が守らなきゃいかんのか」と。「日本の安全保障は、日本国民全体で守るべきではないか」という話をするんですが、まったく、「他の知事さんとか、市長さんとかは反対するんですよ」と言って取り合いません。

しかし沖縄県はもう2、3年前、全41市町村長、全41市町村議長、全県会議員が、銀座でデモをして、官邸に「沖縄はだめですよ」と言って、全員で揃って「反対の要請書」を出しましたけれども、5分しか会ってくれない上に、一顧だにされませんでした。ですから、こういった状況等も、中谷さんには話しました。

それで、この3年前からは、アーミテージさんとか、ジョセフ・ナイさんとか、マイク・モチヅキさんは、「沖縄はむしろ中国に近いから危ないんだ」と。いわゆるミサイルが発達しましたので、中国のミサイルの命中度と、それからこの近いということは、沖縄全体が、普天間や嘉手納が一発で沈んでしまうもので、むしろオーストラリア、グアム、ハワイ、本国においておいて、いざという時に沖縄にきて、有事のときには、やったほうが柔軟性があって、たいへん、そのアジアの安定にも有効なんだ、というような話もずっとあったわけですけれども、それも今は聞く耳を持たないようになりました。

ですから、「沖縄にミサイルが飛んできたらどうするんですか」と言った時の中谷さんの発言は、沖縄に、これからミサイルを配備するので、ミサイルが来たらミサイルで撃ち落とすと言うんですよね。わたくしはそれを聞いた時に、沖縄県を領土としてしか考えてないなあと。140万の人間が住んでるということ、70年前に、日本軍と一緒になって10万人以上が亡くなったということ、そういったこと等が、まったく、今日まで反省がないようなかたちでありますから、中谷さんとはそれ、話をさせていただきました。

それから岸田外務大臣には、わたしたちはそういうことですから、ワシントンDCにも行ったりして、過去何回も、歴代の知事含め、県会議員とか、ワシントンDCには行っております。

その時に、向こうの高官がおっしゃるのは、必ずこういうことを言います。話を聞いて終わったあと、「これは日本国内の問題だから、日本政府に話をしなさい」と言うんですね。わたしたちは帰ってきて、その時々の外務大臣防衛大臣に、「アメリカは日本政府が決めると言ってますよ」と。「だからお願いしますよ」と話をしたら、「いや、うしろからアメリカが嫌だと言うんだよ」という話で、わたしたちはたらい回しにされます。

ですから、本当に日本が独立国家なのかというようなことについては、沖縄県が米軍の基地を預かって、日米地位協定の厳しさも、よく壁としてわかるなかに、日本の在り方というものがよく見えてまいります。

それから、総理とお話した時には、たくさんのお話をしたんですけれども、最後のほうにお話をしたのは、世界一危険だと言われているあの普天間基地。そして「新辺野古基地」ができないのならば固定化をすると言うんですよね。13年前にラムズウェル国防長官がきて、「こんな危険な基地はない」と。「早くどかすように」ということで、ラムズウェル国防長官が話をされて帰ってからが、普天間の具体化が進んできたんですけれども、辺野古が唯一と言って、そしてそれをつくらさないんであれば、普天間は固定化する。「本当に世界一危険な基地を、総理は固定化するつもりですか」という話をしましたら、何にも返事がなかったということからすると、たいへんおかしなもんだと思ってます。

最後になりますけれども、山口沖縄担当大臣、沖縄の予算を扱っております。沖縄が苦慮してる、苦しんでるのは何かというと、本土の方々が、沖縄は基地を預かってるからたくさんの振興策をもらってるんだという、その誤解があります。なぜそういうふうに誤解されるかというと、いつも年末に「沖縄県の振興予算3000億円確保」ってあるんですよね。そうすると、本土の方々は何を思ってるかというと、47都道府県がすべて等しく予算をもらった上に、沖縄県が3000億円もらってるという、その誤解をしてるわけです。

これはまったく違ってまして、沖縄県は27年間、日本人でもない、アメリカ人でもない、日本国憲法の適用もない、当然、合衆国の憲法の適用もない、ドルを使って22年間生きてきましたから、治外法権の中で生きてきたわけですね。ですから44年前に復帰をした時には、国会議員も一度も出したことないもんですから、予算の取り方がわからない。予算の取り方がわからないから、あいだに沖縄開発庁が40年前に入って、今は内閣府の沖縄担当がなかに入って、わたしたちの気持ちを聞いて、財務省に話をして、まとめて予算を取ってくるというのが沖縄県。47都道府県の中で唯一なんです。

他の46都道府県は、それぞれの都道府県の各部長さん、土建部長さんが道路を作る、教育委員会が学校を作る、福祉部のところは貧しい人たちに何をするというようなものを政府に言って、それぞれが予算をもらってくるわけですから、何も発表される予算はないんです。新潟県の振興予算はいくらですとか、高知県の振興予算はいくらですとありません。自分でしっかりと数千億円予算を取ってるわけです。沖縄だけが、27年間のブランクのなかで「予算の取り方がわからないだろう」ということで、今日まで44年間、あいだに内閣府が入って、それを意見を聞いて取ってきたもんですから、あとで年末に、「沖縄県の振興策3000億円」と出てくるんです。

ですから、地方交付税沖縄県は全国の16位です。国庫支出金は合わして6位。そして6位というのも、6位の所、7県ぐらい並んでますので、特段、突出してどうこうという話ではありません。

そしてなぜ上位の方にあるかといえば、27年間、まったく顧みられませんでしたから、沖縄県は戦争のあと、道路も、たとえば待機児童、保育園なども、ほとんど認可保育園というのはないというような状況。そういったものを本土並みに是正をするということで、公立補助とか、いろんなものが出てきたわけで、これも特に都道府県で突出してということじゃございませんので、これがいわゆるいちばんの誤解になって、よく、わたしが去年まで市長をしておりましたけれども、全国市長会に行きましても、必ずこう言われるんです。「基地問題、なんとか皆さんで解決してください」と言うと、「沖縄さん、まあ、基地を置いて、そして振興策をもらったらいいですよ。うらやましいですね」などという話を、いろんな方々がやります。そういったものに反論するものは、なかなか簡単ではございません。

ですから、今日までそういう話を訴えてきましたので、きょうもまた、こういうことをもう少し詳しくお聞きしたいんであれば、あとではご説明もしますので、是非、こういうかたちで、5名の閣僚とも話してきたことを受けて、これはやっぱり国際社会でも訴えなきゃいかんなあということで、国連の人権理事会で2,3日前に、この発表、さしていただきました。

その今日までのいきさつを、あらためてご報告をさせていただきましたので、またご質問とかありましたら、よろしくお願いいたします。

質疑応答

ジェームズ・シムズ(日本外国特派員協会 会長)

では質疑応答にいきたいと思います。ワーキング・プレスのほうから。携帯電話をまず切ってください。スピーチはやめてください。名前と所属をおっしゃった上で1問、お願いします。

その前にわたくしのほうから。

国連人権理事会の反応はどうでしたか。そして、何か行動をとるということを示唆することはあったんでしょうか、おっしゃった内容について。

翁長 雄志(沖縄県知事)

国連の人権理事会というのは、数は何名でしょうかね。2、300名の方が、前半のほうには国の代表がおられて、後ろのほうには世界のNGO、人権問題を考えるNGOの皆さん方がおられて、そしてスピーチの時間は2分でありました。ですから、いまの話を2分間に凝縮して、わたくしは話をさしてもらいました。

そして、わたしの話をする前には、北朝鮮の人権問題が話し合われておったわけで、まあ、ある意味で多様な、そういった問題がありました。

ですから、そこで、わたしの意見を議論をして、人権理事会が結論を出すというようなところではございませんでした。

ただし、日本政府のほうから反論がありまして、NGO枠を作って話をするものに反論をするという、国が反論をするというのはめったにないらしいんですが、まあ、今日までの沖縄問題に考える、菅官房長官がおっしゃるような話をして、それも2分間で反論しました。

こちら側のまたNGOが、わたしはもう帰国になっておりましたから、反論する時間まで残れませんでしたけれども、その方々が、たとえば1か月前に普天間の、西普天間50ヘクタールを返しましたよと、日本政府が話してるんですね。

つまり、「基地の削減にもわたしたちは力を尽くしてるんですよ」と言ったあとの、わたしどもと同じ考えを持つNGOの方が言ったのは、「それっていくら返ってきたかわかりますか」と。「0.2%か0.02%ですよ」というかたちで反論をしてきたらしいんですが、こういった0.1%ぐらいとか、2%とかっていうものを返したことを、たいへん大きく誇張をするような反論だったという意味では、たいへん残念だったなあと思っております。

フランス放送局

ありがとうございます。

ジュネーブにいらっしゃったわけでございますが、いま、安保法制が日本で採決されましたので、非常に状況、ちょっと複雑になってると思います。沖縄が、まあ、標的になるかもしれませんですね、今後は。

つまり、政府への圧力をかけるために沖縄も利用するということが、政治的なカードになるのではないかというふうに思っております。つまりその、国民の大半が、その安保法制の可決の方法について怒っているということで、沖縄はそれについて、それにおきまして、何か利用されるということは考えられますでしょうか。利用できるということを考えられますでしょうか。

翁長 雄志(沖縄県知事)

安保法制。これは集団自衛権ということで、この密接な関係、ほとんどアメリカを指すと思いますけれども、アメリカの後方支援として、日本が、自衛隊が、行動できる範囲が大きくなってきております。その場合に、先ほどの中谷防衛大臣が、中国とのスクランブルで2倍、3倍になったので、沖縄県の基地を強化するんだという話がありました。その一環としての「新辺野古基地」。これはまた日米両政府、あるいはまた米軍や自衛隊の幹部が言ってるように、これから日米共同で、その「新辺野古基地」を運用するんだというような話であります。

沖縄県は、わたしがさっき申し上げましたが、自ら差し出した基地というのは一回もないんです。全部「強制接収」で取られた基地ばっかり。だからわたしたちは、その基地のあり方について、口を差し挟めるのですが、今回、あの美しい大浦湾、ジュゴンやウミガメが住んでいるところを、160ヘクタール埋め立てて、新しい基地をつくるのは、これ国有地に変わります。いわゆる国の土地になるわけで、わたしたちの沖縄県の中で、わたしたちが手が届かない基地ができあがるわけで、これはまさしく基地機能の、普天間はいま老朽化してますから、ここに270メートルクラスの船が接岸できるようなバースもつくりますし、弾薬庫は外、いま外には遠い所にあるんですが、それもそこに合理的に配置されることからしますと、この安保法制というものが、また沖縄をベースにして、そういった基地機能強化ということになってるようなものが見えてまいります。

ですから、いま安保法制にたいへん、国民が危惧をしております。この法律を作る手続き論でも危惧をしておりますけれども、その内容についても危惧をされておりまして、これはもう、どの新聞の世論調査でも反対が2倍ぐらいになってることを考えると、わたくしは、国民が安保法制の危険性について感じてるものを、沖縄は、現実にいま動いてるところだという意味では、わたしたちのいまの現状を伝えることによって、本土の皆さん方に、先々は日本全体がそうなるんだなと。あるいはまた、日米安保体制というものがアジアに貢献をしてるようには見えるけれども、一触即発という、この危険性も隣り合わせに持ってるんだなということをご理解いただければ、わたしたちの、沖縄の、今の基地のあり方等を、全国にも知らしめるという意味では、たいへん大きな、わたくしは、日本国民全体での理解が進むのではないかなあというふうに思ってます。

ハンダンセ・サレ

わたくしは、沖縄に関しては、20年間ほど報道しております。わたくし、最近は、過去の報告書のレポートをそのままコピーして、日付だけを変えております。状況がまったく変わっていない。堂々巡りである。まったく変わっていないということだと思います。

日本政府はなんとか沖縄の理解をとりたい。沖縄は駄目だと言って、そしてアメリカは日本の問題だと言っている。これは変わっていません。まったくこの先も変わる見込みはないと思います。

民主党の鳩山氏が登場した時も、「基地は県外に」と言ったわけですけれども、そのあとになって、「すいません、間違いでした。県内に」ということになりました。したがいまして、変更される見込み、期待はないと思います。

新しい方針で、たとえば受け入れるというのはどうでしょう。アメリカは、これらの基地は世界の繁栄につながる、そして各国の民主化につながると言っております。

こういったことについて、どのようなコメントをお持ちでしょうか。

翁長 雄志(沖縄県知事)

まあ、堂々巡りです。

ですから、ちいさな、沖縄は136年前までは、独立国だったんですよね。人口は数十万人ですから、まあ、小さな国です。それで日本に併合されました。そして、立派な日本人になろうと思って、自分の言葉も使わないようにして、日本語を練習して、一生懸命、日本人になろうとした。次に来たものが70年前の第2次世界大戦です。その中で、沖縄本島で行われたものは、県民が12万2千人が亡くなって、そして日本軍も9万ほど、アメリカも1万ほどというかたちで亡くなったんですが、その中でいちばん悲惨な目にあったのは県民で、軍隊と一緒に逃げまどって、足手まといになるからということで、壕の中から日本軍によって出されたり、いろんな、言えば言うほど、わたしがみじめになるぐらいたくさんのことがございました。

そういうことで戦争が終わったら、今度は「県民」のいないあいだに、あるいはいる前では「銃剣とブルドーザー」で、今の基地は全部できあがったわけですね。わたしたちが差し出した基地でもない。つまり自己決定権とか何もない。何もかも、その大きな権力の前で、今の基地は取られたわけです。そして戦後7年目、1952年に日本政府は、今度は、その70年ほど前に沖縄を併合しておきながら、1952年に米軍の施政権下に、沖縄は差し出されて、国籍不明になってしまいました。

こういったことを経てきた沖縄は今、日米両政府という大きな権力と、沖縄の自己決定権含め、基地から派生する人権を守るためにいろいろ発言するものを、勝てそうにもないから、言うことを聞いてそのままにしていなさいよということが、いま質問された方もそうですけれども、自らひとりひとりがそういう境遇にあったときには、これは致し方なしということで、みんなそれぞれ自分の生き方、そして同胞の生き方、こういったことに関して容認する気持ちがあるのかどうか、これがなければ、わたくしは、人間としての生きる意味合いが、相当薄れるのではないかという気持ちがあるもんですから、いろいろがんばっております。

そして民主主義を世界に及ぼすという日米安保体制なんですけれども、わたくしは、この国連でも話をしてまいりましたけれども、沖縄県の、この自己選択権。あるいは人権、自由、平等、そういったことを何にも保障もしないこの国が、世界に、自由と平等と人権と、あるいはまた民主主義というようなものを共通して持つ連帯の国をつくって、そして、まあ、どこかの国と対峙しようという資格があるのかという話なんですね。

ですから、小さなものは全部翻弄して構わないというような国が、どうして世界の国々に、確固たる民主主義国家として、このものがあるのかどうか。戦争を防ぐという意味では、いま力を持ってると思いますけれども、その理念を伝えきれるかどうかという意味では、わたしは沖縄から見たら、この日米安保体制の品格という意味で、たいへん、このさもしいものがあるのではないかというふうに思ってます。

ビデオニュース(ジンボー)

知事、もしもですね。まあ、埋め立ての許可を知事が取り消されて、国はその埋め立てを続行する、「強行」するとなった場合に、実際にその工事を「妨害」、あるいはそれに対して反対運動をするために、市民が何か活動をやって、そこに、それを排除するために沖縄県警が警察権を行使した場合に、沖縄県知事というのは、警察に対して何か一定の権限を持っているのでしょうか。

それから持っているとすれば、それを実際に、何らかの権限を発動する準備は、用意はあるのでしょうか。県の公安委員会というのは、知事の管轄下にあるというふうに理解しておりますので、予算も、一定の予算は出されていると思いますが、そのへん、よろしくお願いします。

翁長 雄志(沖縄県知事)

沖縄県警は議会などで答弁をする時にも、わたしどもと同じサイドに座って質問を受けるんですが、わたしは、それ以外の各部局、ぜんぶ答弁内容はわたくしがチェックをして、そしてお互い、その見識をひとつにして答弁するんですが、沖縄県もそうですけれども、他の都道府県も、警察のほうは、答弁権そのものがわたくしたちとはまったく関係ありません。

ですから調整をしたことは一度もございませんし、警察法施行令によりますと、やはり沖縄県公安委員会の管理下におかれている。他の都道府県みんなそうですが、公安委員会も管理下におかれておりますが、公安委員会は中立、独立、中立ですので、こういった意味では、沖縄県知事が公安委員会に、こういう意味での指揮・指導することは、まったくございません。

そしてまた幹部人事なども、中央から送られてきた方がたいへん権限を持っておりますから、沖縄県知事が介入するものは、予算だけが一定程度あるということだけになります。

ですから、いま言ったような場所で、わたくしがこうしろ、ああしろと言うようなことは、できる状況ではございません。

ニコニコ動画ナナオ

民意に関連して質問させてください。

昨日になりますけれども、来年1月24日投開票の沖縄県宜野湾市長選に、元県職員の志村氏が立候補を表明されました。米軍普天間飛行場の固定化阻止を掲げています、現職の佐喜真氏も再選を目指すということで、いわゆるその「移設反対の知事派候補」と、「自民党支援の候補」の一騎打ちの構図と言われていますが、民意に関連してご所見をお願いします。

翁長 雄志(沖縄県知事)

実は、今の宜野湾の市町村の3年ほど前の選挙では、「普天間は県外移設」ということで当選をされましたが、自民党県連が変わっていきましたので、そういう意味からいうと、そのことについては話をしなくなりました。

今回、この民意ということでありますけれども、昨年のこの件に関する選挙が4つ行われております。

名護市長選挙、これは4千票差で、今の稲嶺さん、反対をする人が当選しました。それから名護市議会も26議席ですかね、そのうちの過半数以上を、反対する議員が占めております。わたくしの沖縄県知事選挙では、わたくしが36万で、承認をした前知事が26万ということで、10万票差でわたくしが当選いたしました。

それから安倍内閣の選挙、総選挙が、去年の12月ごろ行われましたけれども、219議席を取って、そして60日ルールを使ってでも安保法制はできるんだというような大量の当選者を出したんですが、沖縄におかれての4つの選挙は、全部反対派が当選をいたしました。

それを受けて、いま基地問題で、今日まで先ほどから話をしてるとおり、あるわけですけれども、来年すぐ行われるのが、1月24日の宜野湾市長選挙。これは昨年の、わたくしが「辺野古基地をつくらせない」というような選挙の、36万(票)の中身はどうだったかといいますと、宜野湾でもわたくしが3千票、勝っております。それから衆議院選挙でも、「辺野古には基地をつくらせない」という候補者が6千票、宜野湾で勝っております。

ですからそういう意味でも、民意は、宜野湾の基地があるということは絶対に許されないことでありますけれども、今まで自ら差し出したこともない基地。そして、全部「強制接収」された土地の基地の中で苦しんできた、この沖縄県からすると、それは日本国民全体で引き受けるべきであって、「新辺野古基地」に、この強引に推し進めていうようなものは、県民全体でNOと言ってるなかから、普天間の固定化は避けるということになります。

一昨年の仲井眞さんが承認をした時の大きな理由のひとつに、普天間の5年以内の運用停止というのがあります。つまり辺野古基地がつくられていくなかで、5年以内には普天間の飛行機が飛ばないような状況を作りあげるというのが総理と官房長官の「約束」でありましたけれども、いま何を言ってるかというと、「辺野古をつくらせない」というわたくしが当選したから、それはもう反故になるという話をしておりますが、実際上は、この仲井眞さんが「承認を取り消した」翌年の2月から、ここからじゃあ、5年間というのを計算しましょうねということを、もう1年半以上になるわけですけれども、その間、このアメリカの高官からは、そんなのが受け入れられるかと。5年以内の運用停止などできませんよというような反論もたくさんありました。

そして、日本政府もそれについて、仲井眞さんとわたくしが選挙してる時に、誰が当選するかわかりませんから、少なくとも8ヶ月間ぐらいはそれの、この努力をする形跡があってもよさそうなんですが、5年以内の運用停止の中の8ヶ月間。仲井眞さんが当選しないということがわかるまで、何もしなかったというようなことからしますと、やはりこれは空手形ではなかったのかなあというふうにわたくしは思っておりますので、こういう意味からしても、この推移についてはたいへん疑問もありますし、だから普天間の市長選挙は必ず勝って、その意味で、名護でも宜野湾でも、沖縄県全体でも、この反対の意思表示をするようにがんばっていきたいなあと思っております。

バングラディッシュ(ハック)

沖縄で声が高まってるかと思います。やはり独立すべきというような話が、声が出てるわけでございますが、このような声がどんどん増えてくると思うんでございますが、この「沖縄独立案」について、どう思いますでしょうか。

翁長 雄志(沖縄県知事)

沖縄のおかれてきた歴史からすると、世界中のいろんなところがあると思いますので、それぞれ国のあり方は違いますけれども、いまおっしゃるようなものを懸念する方もおられます。

ひとつはわたしからすると、よく、わたしどもとは考え方の違う本土の方が、独立するようなものをやるんですかという話をするんですけれども、わたしたちからすると戦後7年目の1952年に、日本の独立と引き換えに沖縄を切り離したわけですよ。わたしたちが切り離されるということを選んだのではなくて、日本政府が沖縄を切り離したんですね。ですからわたしたちに独立がどうかというのは、そういったことも踏まえたなかで、どうあるべきかというようなことも考えていかなきゃならんと思うんですが、今回、国連で言ってきた「自己決定権」というのは、わたしたちが歴史的にも翻弄されてきて、そしていま現在、「自らの海」までもある意味で「銃剣とブルドーザー」で埋め立てられて、「新しい基地」になる。「民意」をないがしろにされてまで「基地」になるということについて、日本国民として、日本国民の方々にも訴えて、そしてみんなで考えていこうじゃあないかと。

日本の民主主義というものは、いま沖縄に極端に表れてますけども、福島の原発もそうでありますが、そういった国のために犠牲になったようなものに対して、たいへん冷淡な国が、いまの民主主義という日本の中で、わたくしはあるような感じがいたします。

「東北大震災」や、いろんななかで、日本国民のほんとに困った人を助けていくという、たいへん利点も、素晴らしいものも世界に評価をされているところでありますが、政治的な意味合いで虐げられたような感じ、切り捨てられたようなところに、冷たいような感じがするのは、わたくしはたいへん残念な状況だというふうに思っております。

ですからわたしたちは「自己決定権」という、自らの運命というものは、自らが相当関わることができるようなもののなかで民主主義というのがあるべきであって、それを一顧だにしないように切り捨てられるようなものへは、わたしたちが独立をするという以前に、日本の民主主義のあり方として、おかしいんだということを、国民が気づいていただかなければ、これは、わたくしはいかないなあと思っております。

わたしたちの今おかれてる位置は、アジアのダイナミズムを、経済的な発展を取り入れて、いま、情報産業、あるいはまた観光産業、あるいは物流拠点として、たいへん沖縄いま、飛躍的に発展しようとしております。

日本とアジアのこの交流の架け橋、琉球王国時代の、この万国津梁の精神というのは、アジアの架け橋になろうと。日本と中国が鎖国をしておりましたから、沖縄は日本、朝鮮、中国、タイ、フィリピン、ベトナム、こういったところを何百年前に駆け巡って、大交易時代、貿易を中心として、「小さな国ながら栄えてきました」。

ですから、いま、わたしたちが望んでいるのは、そういったようなものの中で、日本とアジアの架け橋になろうと。そして基地の要塞化ではなくて、沖縄県全体にミサイルを置いたり、基地を置くのではなくて、むしろ「平和の緩衝地帯」として、アジアの国連機関とか、あるいはアジアのいろんな方々が沖縄に住むことによって、わたしたちはアジアとの交流で生きてきましたので、その意味では、東西1000キロ、南北400キロに160の島々があって、40の島々に人が住んでおりますけれども、これは文化的にもアジアと長い交流の中でできあがってきた沖縄の文化です。

ですから、沖縄がむしろ「平和の緩衝地帯」として生きていくことにわたしたちは意味を持ってるからこそ、基地にも反対するわけでありまして、むしろ日本の品格を、わたくしは沖縄が、これから高められるもんだというふうに思ってるわけでありますから、是非、そのことはご理解をいただきたいなあというふうに思ってます。

オーストリアの新聞社

もし、このような基地建設の許可を無効にする、取り消すということになりますと、裁判で何年にもわたって闘うことになると思います。そういったことが起きてしまったら基地の建設、どうなるんでしょうか。政府はそれでも基地を建設するんでしょうか。もし5年後、勝訴したならば、基地はもうすでに完成してるかもしれません。そうなってしまったらどうなるんでしょうか。基地建設を止めることができるんですか、裁判中でも。どうするんでしょうか。

翁長 雄志(沖縄県知事)

基地は止められるのかということであります。まあ、わたくしが、まさしく国連で、まあ、演説をさしていただきましたのも、日本の民主主義とアメリカの民主主義、つまり沖縄県民の自由、平等、人権、民主主義というようなものをほとんど顧みない日米安保体制の中で「基地ができあがっていく」ことについての警鐘を、世界中の人で鳴らしてもらいたいというようなことで申し上げてきたわけであります。

日米両政府との権力と約140万の沖縄県民が闘うということになりますと、誰が見ても沖縄に勝ち目がないなどというふうに思うと思います。

しかしながら、わたしたちは27年間、米軍の施政権下で、無国籍の人間として、人権も蹂躙された時代も生きてきて、そしてその中で小さな島ながら、闘って、ひとつひとつ人権を積み上げてきたわたしたちには強さがございます。ですから、行政とすれば、いわゆる日本国憲法、あるいはまたそれぞれの法律にしたがって、法律的に取り消しができるように、行政としてはやります。

それから沖縄県民としては、あんな美しい海を、世界の環境問題からいってもこれは許されない、美しい珊瑚の海を埋め立てるわけです。わたしはよく本土の方々に言うんですが、ほんとに日本の安全保障のためだったら十和田湖も埋め立てますか、松島湾も埋め立てますか、琵琶湖も埋め立てますかと。自分の所にそういうことができない人たちが、沖縄の美しい海を、このようなかたちで埋め立てるということ自体が、わたしからするとたいへん、いまの日本の民主主義というのはおかしなものになってるのではないかと思ってます。

ですから、これから何年かたちます。しかし安倍政権もいちばん長くてあと3年です。来年は参議院選挙も起こります。国の民意というのも、その時々で表されてまいります。ですからわたしたちは、沖縄県あげて、こういった問題を訴えながら、そして日本の国の民意も変わっていくということも十二分にありうることでありますので、いま普通に言えば十年かかるといわれておりますけれども、そのなかで、わたしたちも県の権限、名護市名護市の権限等々で、いろいろ持ってるのがございます。そういう意味をみんな、世界中の人に見ていただいて、日米安保体制の品格というようなものを、みんなでご覧になっていただいて、その中から物事を解決する道を探していきたいと思ってます。

オーストラリアの新聞社

追加質問でございますが、他の都道府県と比べて沖縄の基地のパーセンテージというのは高いんでしょうか、低いんでしょうか。それからいま反対していらっしゃるのは、基地が取得されたその方法に問題があると、その米軍基地が接収されたからという、そこの部分が問題なんでしょうか。もう少しご説明いただけますか。

翁長 雄志(沖縄県知事)

沖縄県は他の都道府県に比べて、多いのか少ないのかというようなことでありますけれども、沖縄県の日本国の中で占める面積は0.6%です。0.6%にアメリカの米軍専用施設が「73.8%」あります。この「78%」と0.6%ということを国民ひとりあたりに変えますと、ひとりあたりで負担をしてるものは、沖縄は800倍ぐらい負担をしてるわけですね。ですからその意味でもまず、沖縄はたいへんな例外なことであります。

そしてそれも「強制接収」をされたという、自ら軍用地料をもらうために、どうぞどうぞお使いください、わたしたちはお金が欲しいですからと言って差し出した場合には、沖縄県にも責任があるでしょうけれども、わたしたちが収容委員会に入ってる時、そしている場合でも、「銃剣とブルドーザー」で壊して、基地がつくられてきた経緯がありますから、そういった経緯の中で、これだけの基地がつくられました。

そして今度は、サンフランシスコ講和条約で日本から切り離された時に、朝鮮戦争が起きたんです。そうすると、その時までの沖縄には海兵隊はいなかったんです。ところが朝鮮戦争のために、海兵隊が北九州あたりとか岐阜とか山梨とか岩国にきたんですね、海兵隊の基地が。そうすると朝鮮戦争が終わって何が起きたかというと、日本の本土の「国内」で米軍基地反対の運動が起きたんです。60年安保を控えてますから、その時の「日本の人たち」の反対運動の高まり、日米関係がおかしくなるということで何が起きたかというと、本土にある海兵隊がみんな沖縄に移動してきたんです。もう沖縄、日本から切り離されてますので、ここはどこの島でもないわけです。米軍が、高等弁務官が、軍人が占領をしている、トップにいる沖縄県ですので、海兵隊は、ぞくぞくぞくぞく沖縄に来て、普天間飛行場は、その作られてる時には、まだ県民が歩いたりするぐらいのどかな飛行場だったんですよ。それが、朝鮮戦争が終わって、「日本国内」で嫌だという運動が起きたので、沖縄だったら文句は言うまいということで、沖縄にどんどんどんどんもってきたわけですね。

ですから、取得過程にも問題ありますし、現に置かれているパーセンテージも問題でありますし、もともとは「日本国内」にあったんですね。

中谷防衛大臣と話をした時に、ひとつだけ、わたくしはこれ違うんじゃございませんかといって強く言ったのは、朝鮮戦争があったから海兵隊が日本に来て、そしてそれがまた沖縄に来たわけですけれども、あの時、朝鮮戦争の時のベースはどこにあったかといったら、九州の北にあったんです。向こうに、九州の北が向こうに近いわけですから、今は、韓国・北朝鮮とはですね。本来ならいま北朝鮮がミサイルを飛ばす心配があるんであれば、九州の北の方にミサイルを置いて、北朝鮮に対峙するのが日本、日米安保体制からすると、たいへん有効なもんだと思います。だけれども、そこは何の理由かわかりませんが危ないと。沖縄からみんなミサイルも発射するんだという、こういったもの等がすべてにわたって見えてきますので、沖縄県民からするとたいへん、わたしたちはいったいなんなんだろうかというものを、ひとりひとりが持ってるんだということを是非、ご理解いただきたいなあと思います。

オーストラリアの新聞社

わたくし、見たところ83%の日本のこの自衛隊施設はないと。つまり70%の自衛隊の施設も沖縄にあるんでしょうか。それをまず確認した上で次の質問に移りたいと思いますけれども、自衛隊はどうなんでしょう。

翁長 雄志(沖縄県知事)

当然、27年間、米軍に、施政権下に出されたわけでありますから、沖縄県は44年前までは全部米軍でした。そしてその米軍も減らない中に、那覇空港。今は観光客が720万人沖縄に訪れますけれども、那覇空港の側に自衛隊の大きな基地があります。これは中国をにらんでの、いま、その質問が出ると思いませんので、大きさの基数とかは説明できませんが、これはたいへん大きな米軍の基地であります。

そして今度は与那国という台湾にいちばん近い所に今回基地が建設されることになりました。それから中谷防衛大臣がこの前おいでになった時に、それから国会でも議論になってますから、予算も獲得したということですので、できると思いますけれども、できるような方向で動いてると思いますけれども、宮古、石垣にも数百名規模の自衛隊が入っていくということになっております。

ですから全国で自衛隊が置かれてる都道府県は10いくつかだと思いますけれども、米軍が置かれてるところもいくつかありますが、ある意味で合わせてということになりますと、沖縄の基地というものは、それこそ「不沈空母」、要塞のような島になりつつあるというふうにはわたしは思っております。

フルフォード

知事のさっきの説明では、「沖縄の米軍基地というのは中国から日本を守るという軍事的意味合いはない」とおっしゃいましたけれども、専門家の意見として。そうすると、知事によると、その基地の本当の目的はなんだと思いますか。なんで日本、沖縄にあるということですか。

翁長 雄志(沖縄県知事)

先ほどの説明をどのように聞いたかわかりませんけれども、中国から日本を守る意義を、わたしは否定をしたわけじゃないんです。中国から日本を守るんであれば、日本国民全体で守ってもらいたいということを言ってるわけです。

なぜ沖縄だけにミサイルから何から、これだけの基地を置いて、いざ戦争になった時には沖縄が戦場になるのは当たり前じゃないですか。何かが起きたら普天間や嘉手納にミサイルを向けて撃つのは当たり前であって、だからわたくしは北朝鮮だったら九州の北の方に置きなさいよと言ってるわけですね。ロシアが脅威になるんであれば、北海道や東北に置くのが筋じゃないですかという話という意味で言ってるわけで、何も中国の脅威がないから、沖縄に置くべきでないという話をしてるわけじゃないんです。沖縄があまりにもこういったものの、歴史的にもそうですが、現状においても何の関わりもなく、日本を守るために沖縄が前線に差し出されてるんじゃないですかということを申し上げてるわけです。

フリージャーナリスト(ヨコタ・ハジメ)

SEALDsの奥田愛基さんは、「オール沖縄」に真似て、オール・ジャパンを掲げて、保守から共産党までの勢力を結集して政権交代を目指そうと。安倍政権の暴走を止めようとしてるんですが、「オール沖縄」の手法を伝授するとか連携するというようなお考えはないでしょうか。まあ安倍政権打倒をする、安保法制反対する勢力との連携についてご意見をお聞かせください。

翁長 雄志(沖縄県知事)

沖縄のオール沖縄というのは、これはもう、長年にわたってるんですね。蓄積をされてきたものであります。いちばん保守と革新が自分で望んでもってきたわけでもない基地を挟んで、その自由主義社会を守るんだと、生活を守るんだというのが保守でありまして、そしてこの中で婦女暴行事件とか、小学校にジェット機が落ちるとか、車で沖縄の人をひき殺しても無罪になって帰っていくとか、そういった出来事を見てきておりますので、革新の皆さん方はどっちかというと、人権とか、尊厳、誇りというものがなければ人間生きていけないんじゃないかというようなかたちで、戦後ふたつでもって補完をし合いながら沖縄の政治というのが、わたしあったというふうに思っております。

しかしながら、経済という意味でも、アジアのダイナミズムが起きてきて、いま沖縄は観光産業から情報通信産業から、たいへん経済的に成り立っていける自信をもってきております。

ですから、この革新の皆さん方も、いわゆる55年体制や冷戦構造が終わったなかでの意義付けという意味からするとたいへんいろいろお考えになってると思います。

その中で何が変わらないのかというのは、沖縄の基地問題が0.6%の面積に「73.8%」という、日本国中でも著しく基地が置かれてる状況があるもんですから、それはもう、いがみあって、ふたつが力を削がれないで、心をひとつにして、日本政府、アメリカ政府にぶつかっていきましょうよと。

わたしたちが分かれておったんでは、ただでさえわたしたちの力は、日本国やアメリカの国からしたら、億分の一、万分の一でもありません。億分の一の力しかないなかで、わたしたちの県民が、心をひとつにして、この問題にあたりましょうよということで、いま保守も、革新も一緒になっております。

ですから、いま「SEALDs」のあの方が、どういうかたちでいま、思っておられるかわかりませんが、思ってることはたいへん重要だと思います。だけど沖縄が築いてきたもの、それがたいへん、このいい形で触れるものであれば、わたしたちも、こういうことでしたよということで話をして、やっていきますけれども、いま現在、そういう意味からすると、やはり一強多弱といわれておりますけれども、何にしろ沖縄のオール沖縄という意味じゃなくても、多弱といわれてる方々は、やはり心をひとつにして、がんばる必要があるのではないかなあと、そのほうが日本の民主主義という意味でも、しっかりとした民主主義になるのではないかと、これは思っております。

ビデオニュース(ジンボー)

前回、知事がこちらにこられたときに、沖縄をどうするんだ、どうするんだという質問がいっぱい出た時に、知事が、「これは沖縄の問題というよりも、むしろ日本の問題、本土の問題。あなたたちはどうするんですか」という問いを、前回、この会見でなされました。

その後、安保法制なんかをめぐって、かなり多くの人が、その政治参加をするような機会を、まあ日本はもったわけですけれども、知事の感触として、その後、前回来てから今回までの間に、沖縄問題に対する、沖縄外、つまり本土の人たちの姿勢、見方、態度、メディアの論調も含めてで構いません。何か変化なり、前進なり、知事が見てみての前進なりってのはみられるところがあれば教えてください。なければまたそれで、ないということを教えてください。

翁長 雄志(沖縄県知事)

このわたしが知事になってから、約1年近くなろうとしておりますけれども、それからこの東京要請行動、沖縄県の政治家がみんな東京に行って反対を訴えても、一顧だにしななかったと。

こういったような状況下で、いまどういうふうになってるかといいますと、特に辺野古の問題に関して言いましたら、わたくしが各閣僚と話をする内容が、皆さん方に報道していただいたなかで、いま日本国民の約10%を上回る人が、各社によってパーセントが違いますので平均でいうと、沖縄に基地を置かないほうがいいというのが40%、置いてもいいというのが30%ということで、沖縄には基地を置くべきではないというのが、各新聞の世論調査の平均的な状況になったという意味では、やはり本土の方々も、この問題に関心を持って、数字をもって表していただけたなあというふうに思っております。

それから、いまの安保法制に関しましても、ある意味で、これも各社ばらばらでありますけれども、平均するとたぶん、安保法制に反対が60で、賛成が30ぐらいの、2倍ぐらい反対をしているというのが、これはそんなに違わないかたちで、いまの国民の世論の調査だというふうに思っております。ですから、この流れというようなものはございますが、わたくしは、いわゆる沖縄もそうでありましたけれども、県民のほうが政治の先をいってるという、もう、各政党会派というよりは、このことの問題に関して、みんなでまとまって何とかしてちょうだいよというようなものが沖縄県もあったからこそ、オール沖縄になったんですね。

ですから日本の政治も、ちょっとひどいんじゃないですかと。手続き的にも、こんなに反対があっても、このように法律を通してしまうというようなことでは、もうどの政党が大きかろうが小さかろうが、たいしたことじゃないでしょうと。こういうものにもっと力を結集できるような勢力をつくって、そして、この民意を、本当に問えるような、そういった政治にしてもらいたいというのが、わたしは、本土の方々の考えにも、強く、色濃く出てきたなあという意味では、今回のある意味で「強行採決」みたいなものは、その後の日本の民主主義といいますか、あり方については、大きく反省するところにいくか、なし崩しに押し込まれて、この日常から非日常という紙一重を乗り越えていくのか、これはもう、みんなで考えることですので、わたしから申し上げられませんが、やっぱりその辺のところを考えながら、いま現状としては、その多弱であるけれども、いい方向にはいってるのではないかなあというふうには思ってます。

ジェームズ・シムズ(日本外国特派員協会 会長)

残念ながら時間がきてしまいました。わたしたち、政府の代表、閣僚、また自民党の政策担当にここに来ていただき、こういった問題について話していただきたいと要請しております。普天間辺野古のみならず、ほかの問題についても、沖縄経済ですとか、その他について話してほしいという要請をしました。

この1年間、いろいろ要請をしておりますけども、これといっていいお返事が来ておりません。政府も自民党も拒んでます。この前、自民党の二階さんとお話をしたんですけれども、できれば自民党のどなたかに来ていただいて、こういった問題について話していただきたいと思います。いろいろな意見を聞くってことは大事だと思いますので、是非とも実現したいとは思っております。いずれにしても翁長知事に感謝申し上げたいと思います。きょう、お越しいただきましてありがとうございます。

たいへんお忙しいなかで、ジュネーブから戻られたばかりで、多少時差ぼけもおありになるんではないかというふうに思います。非常に短いジュネーブだったと思いますので、いつものことながら、もうすでに名誉会員でいらっしゃると思いますけど、もう一回、名誉会員にさせていただきたいと思います。またいつか来ていただきたいと思います。

この基地の問題だけではなく、その他の沖縄が直面してる基本的な問題、たとえば経済ですとか、いまおっしゃったようないろんな問題、観光、またITのハブになる、流通ハブになるといったようなことについてもお話いただきたいと思います。ほかの基地以外のことについても、いろいろとお話いただきたいと思います。いずれにしましてもありがとうございました。

発言者:翁長 雄志(沖縄県知事)、ジェームズ・シムズ(日本外国特派員協会 会長)