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聞文読報

聞こえる言葉を文字に起こし、目で聴く読み物に変えて発信します。

平成25年11月19日 青山繁晴(参考人 独立総合研究所代表取締役社長)の意見陳述(全文) 衆議院『国家安全特別委員会』

※平成25年11月19日、衆議院『国家安全特別委員会』より

きょうは、お招きいただき光栄に思い、まず、感謝いたしております。

不肖、わたくしは、自由民主党からの推薦で、きょう、ここに参ったと承知しておりますが、はじめに申し上げておきたいのは、それは関係ないということであります。

あくまでも、先ほど、額賀委員長がおっしゃったとおり、わたしどもの本来、信ずるところを、支持政党、わたしはそもそもありませんし、自由に申し上げたいと思います。

特に、この特定秘密保護法案については、政府、与党、野党、問わず、今日は申し上げたいことがありまして、お招きいただいただけではなくて、自らの意思としても参りました。

まず、主として、政府与党の側にご意見申し上げたいんですが、今までのこの国会での貴重な審議、あるいはマスメディアに対する発言、すべて総合しますと、この特定秘密保護法案並びに国家安全保障会議NSC》設置法案、いずれも、まるでアメリカ合衆国にとって、より都合のいい日本になるかのようなイメージを少なくとも国民に与え、わたくしもそれを懸念するということが、まずわたしは申さねばならないことだと思います。

そもそも、《NSC》も、この特定秘密保護法案も、日本の自立のために作られるものであって、間違っても、敗戦後68年の歩みの延長線で、さらにアメリカにとって都合のいいシステムを作ることになってはならないと考えております。その上で、したがって冒頭に申しますが、修正論議は、いち国民のひとりして歓迎しております。

さて、なぜ、政府与党の側からアメリカとの関係が強調されることについて懸念を持つかと申しますと、そもそも、インテリジェンスというものは同盟国の間であっても、システムによっては加工されて伝えられるものです。

したがって、国家安全保障会議NSC》を作り、そこで、たとえばアメリカ合衆国の膨大な情報機関が集めたインテリジェンスが日本にきて、それを守るために日本の法制度として秘密保護法が作られるんであれば、より、アメリカにとっては日本の世論に対しても、政官に対しても、影響を及ぼすことが可能になりますから、したがって、今まで以上に、現実に情報を加工してくると思われます。

加工してきた時に、わたしたちがそれを、現在の日本として特に、検証することはかなり困難であって、したがって、もう一度申しますが、この特定秘密保護法の冒頭、第一条の目的のところに、あくまでも日本の自立をさらに促進するためであり、そして、この特定秘密保護というシステムは、本来、日本の独自の情報機関、戦争に一度敗けたからといって情報機関を持ってはならないってことは、国際法にむしろ反しますから、本来、国家として持つべき情報機関を持つ方向も、できれば第一条の目的のところに明記していただきたい。

したがって、わたくしが先ほど申しました、修正は歓迎しますというのは、必ずしも野党側からだけの修正だけではなくて、与党の側からも、この政府案に対して修正をさらに行っていただきたい。この衆議院においてもそうでありますが、国会は両院の府でありますから、できれば、参議院においてもさらにそのような審議を、ここは衆議院の場ですから、それを言うのは適切ではないかもしれませんけれども、しかし、二院制である以上は、それも国民のひとりとして期待いたしたいと思います。

そして、いま、申しましたことは、実は、この特定秘密保護法案は、本来はスパイ防止法の性格を持つべきものだと考えております。

かつて、自由民主党におかれては、1985年にスパイ防止法の精神を明記した法案が国会に提出されましたけれども、自由民主党内部からの反対もあって、廃案になりました。それは国会の意思ですから、あくまで国民として、それも尊重いたしますが、その時の経緯を改めて振り返れば、その後、1985年から今に至る長い間、ずっと日本は、依然として外国人のスパイにとっては天国とも言うべき状況が続いてきたってことを、改めて国会の、国民の選良の方々におかれては、謙虚に受けとめていただきたいと思います。

したがって、この今回の法案の最後、第26条に、外国人によるスパイ活動に関連すると思われる取り決めが、わずかに盛り込まれています。それは、刑法第2条とも関連して、国民の一番大切な、安全を損なう犯罪であれば、国の内外を問わず、責任を問い罰するということが、刑法第2条に盛り込まれていまして、それが、この特定秘密保護法の26条に反映されていますが、それでは不充分だと考えます。 外国人のスパイが、今後、活動しにくくなるということを、改めてこの法案に盛り込んでいただきたいと考えています。

それから、野党に限りませんけれども、廃案の考え方について、わたくしの個人的な意見を述べたいと思います。

一旦、この法案を廃案にすべきだという声は、特に、わたしは共同通信の出身ですけれども、マスメディアにも満ち溢れております。それは言い方を変えれば、すなわち、日本の現状でよいということにつながります。しかし、敗戦後の日本の現状というのは、本当に平和国家であったでしょうか。

たとえば、具体的に拉致事件を考えていただきますと、北朝鮮工作員が、日本の原発でテロを準備するために情報を集めたその帰途、たまたま出会ってしまった日本国民を誘拐、拉致した例もあると思われますが、同時に、その日本国民の技術、技能、そして人柄の良さ、あるいは女性であれば未婚の女性であって、子供を産むこともできるということも、スパイ活動によって調べあげた上で、誘拐したケースも、実は、わたしなりに捜査の手順を追いますと、現実にあります。

たとえば、拉致被害者の家族が、わたしに直接、証言なさった内容によれば、これは日本海に面した町でありますけれども、今でもスーパーマーケットに行くと、うちの娘が手に職、技術があって、そして人柄も良くて、まだ未婚で、そして健康であると調べあげて、北朝鮮側に教えたと思われる人物と、スーパーマーケットで毎日のように顔を合わせると。しかし、スパイ防止法が無いために、個人的な恨みを晴らすことは日本国民としてしないので、毎日、血が出る思いで、この方はご主人でいらっしゃいますが、家内と共に買い物していますという証言もあるわけです。本当はそういう方にも、参考人としてこの場に来ていただきたいというのが、わたしの、実は本心でもあります。

それを考えますと、拉致事件が起きた原因はいくつもありますけれども、そのうちのひとつが、そういったいわゆる外国人による、あるいは外国人と連携した、残念ながら日本人によるスパイ活動を防止できなかった。それが長年の捜査によって、ある程度、輪郭がはっきりしてきてもなお、罪を問うことができない。ということは、これは過去の問題にかぎらず、朝鮮半島の情勢によっては、また新たな拉致事件を生むおそれも、実はあるわけです。決して過去の問題ではありません。

そして、もしも、今までの日本のあり方で、それが平和国家であって、良かったんであって、それを変えるならば特定秘密保護法に反対する、あるいは廃案にするとおっしゃる意見であれば、それはその方と家族が、たまさか、誘拐拉致されなかっただけであって、平和国家と申しながら、日本の一番大切なポイントは、わたしたちこそ日本の主人公であって、わたしたちこそ最終責任者であって、おそれながら国会のみなさんも、わたしたちの代理人に過ぎません。そのいちばん大事な主権者を、実は区別をして、北朝鮮に誘拐されたままの横田めぐみちゃんであれ、有本恵子ちゃんであれ、場合によっては100人を超えるおそれすらある拉致被害者の方々はそのまま放置して、敗戦後の日本の歩みが平和国家であるというならば、では、その方々は日本国民ではないんでしょうか。

そのことを、できれば謙虚に問うていただいて、それだからこそ、修正論議というのを活発にやっていただきたいと思います。

そして修正論議。いま、現在進行中のことでありますが、少しだけ具体的な意見を述べますと、まず、内閣総理大臣や、あるいは閣僚たちだけで秘密の指定をし、その精査がなされないというのは、もちろんこれは問題であると考えます。必ず修正されなければいけないと思います。

その上で、第三者機関そのものは、実は、すでにこの法案の中に、有識者の意見も聞くということも盛り込まれてますから、実は、第三者機関は当然設置されるんだろうと、これは個人的推測ですけれども、そのように考えております。問題は、その第三者機関の任務です。

この特定秘密保護法、あるいは法案に基づくシステムが動き出したならば、場合によっては、その指定された秘密は何10万件に達することもありますでしょう。それを、有識者を中心とした第三者機関で、ひとつひとつ、その指定が適切なのか、あるいは30年を経た、たとえば仮に30年を経た時に公開する、しないを、ひとつひとつについて精査することは、実際にはできません。

したがって、修正は必ず、現実的な国民の知る権利や、取材、報道の自由を担保する修正であって欲しいと願います。

その上で、30年かどうかは別にして、一定の期間が過ぎれば公開すべきってのはそのとおりだと思います。諸外国、特に民主主義諸国の、この秘密保護法のあり方もそれが原則ですから。

その上で、それを考える時に、実は第三者機関の設置とともに大切なのは、あらかじめ例外規定を設けることです。

たとえば、先ほどの拉致事件の解明に関連して申しますと、今から11年前の日朝首脳会談があって、時の小泉総理が金正日総書記拉致事件の実行を認めさせた。その時に、これはわたしの個人的な見解に過ぎませんけれども、たとえば朝鮮総連の内部でも、その事実にショックを受けた方々がいらっしゃって、そこからこの11年の間、拉致事件は解決はしてませんけれども、有益な情報もずいぶん寄せられたと、わたくしは理解しております。

そういう情報提供者、その人が亡くなったあとにも、その親族や子孫のことを考えると、特に、北朝鮮の体制がいつ変わるかわからない状況にあっては、たとえばそういう情報提供者の氏名というのは、これは有識者の判断とか、第三者機関の判断を問わず、必ず守られるべきものであって、したがって、たとえば情報提供者の名前であったり、あるいは防衛省自衛隊で使われている暗号であったり、あるいは外交の現場でも、実は、暗号が使われておりますが、そのことについてはずっと秘とすると。

なぜならば、暗号を公開すれば、暗号の作り方自体が、実は、国際社会に知れ渡ることになりますから、あらかじめ国会の審議において、できれば与野党合意していただいて、その例外規定をきちんと作って、そして、その上で、一定の役割を第三者機関が果たすようにしていただきたいというのが、わたしの願いであります。

そして、この委員会においては、枝野幸男先生方から提案されているところの、情報公開法の改正案も審議されておりますから、それについてひとこと申しますと、情報公開法、現在の法律を、新しいシステムが作られるのに合わせて改正すること自体は賛成です。

ただし、いわば司法に委ねて、インカメラ審理と普通は呼んでいますけれど、その秘密の中身にまで裁判官が踏み込んで、その指定の適否を判断することになってます。日本は、国際社会の中でも最も司法が独立した国です。その意味では、独立した判断を裁判所が下すことは期待できますけれども、しかし、裁判官は自らの良心にのみ従って判断を下すだけに、その裁判官の判断を絶対視するというのは、僕は反対であります。

したがって、情報公開法の改正についても、与野党の垣根を越えて、もう一度、審議をしていただきたいと思います。

最後に、あと一分ですけれども、最後に、わたくし自身は共同通信の出身で、記者を20年務めました。政治部10年です。この国会に10年通いました。そして、この今回の法案の原案を最初に見た時に、当然、取材の自由、それは記者が自由に動けるってことではなくて、国民がメディアを通じて本当の情報を知れる、知ることができる法案なのかどうかってのが、最大関心事のひとつでありました。

しかし、わたしの拙い経験に基づいていえば、たとえばどこかに不法に侵入したり、あるいは、まさか暴力を使ったり、脅したり騙したり、そのようにして情報を取ったことはただの一度もありません。そして、さらに、国家公務員に対しても数知れず取材を行いましたが、その時の罰則は、たとえば懲役1年であって、今回の法案は10年になる。前は取材ができて、今回は取材できない。そんなことは記者の現場を知らない方のおっしゃることではないかと思います。

すなわち、日本の公務員は、普通は定年になるまで勤めあげるために、むしろ公務員って職を選ばれてる人も多い。たとえ懲役が1年であっても、職を失い、地域から断罪され、家族まで貶められるというのが現状ですから、実は、従前から、国家公務員の方々は非常に苦しみながら、国民に真実を知らせるために、記者とそれなりの信頼関係を築いてきたと思います。

したがって、この法案においての取材活動は、不正なものに限られることがもう一度、さらに強調されれば、わたしの後輩の諸君を含めて、記者は取材の自由を失うことは無いと確信しております。

以上でございます。委員長、ありがとうございました。

発言者:青山繁晴