聞文読報

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8月13日 青山繁晴 声明文に関するコメント(全文) 記者会見 『平和安全法制の早期成立を求める国民フォーラム』

※平成27年8月13日、憲政記念館『平和安全法制の早期成立を求める国民フォーラム』記者会見より

皆さんお疲れ様でございます。僕が頂いている時間も3分程度ということですから、大きくふたつだけにポイントをしぼって問題提起いたしたいと思います。

まずこの安保法制案の法律は閣法ですから、当然ながら最高責任者は安倍総理です。

先日わたしも参加しているところのラジオの生の報道番組で安倍総理は、冷戦が終わった直後と比べて在日米軍は実質的に半分になったと。一方中国は発表されてる国防費だけで41倍になったと。

したがって今までのようにアメリカに依存した安全保障ではなくて、日本が自分でできることはせねばならない、したがってこの安保法制案を国会に上程したということを、ほとんどこのような言葉で明言されましたから、私の方から総理はなぜ、それを国会で仰らないんですかと質問しましたら、「それは野党が聞いてくれないからだ」という答えでした。

あくまでこのフォーラムの趣旨とまったく同じというわけじゃなくて、以降は僕の個人的意見で申します。私の責任で申しますけれども、実は国会審議の不毛ぶりというのは野党の側にも責任があると同時に与党の答弁も総理も含めて重大な責任があると思ってます。

ただこれ以降、総理におかれては特に参議院の審議で中国の問題について、だいぶ遠慮を捨てて話されるようになったと理解してます。

中国の膨大な軍事費、それも一番お金のかかる研究開発費を含まない公表でありますから、それが少なくとも日本、アメリカよりも東南アジア諸国にとって大きな脅威となり、それが南シナ海で現実の問題となり、これを放置すれば東シナ海の問題にも影響を及ぼすというのは、これは少なくとも僕が行き来してる国際社会で違う意見の人はまず見たことがない。人民解放軍の将軍たちにとっても基本認識は同じだと言えると思います。

したがって僕の今日の役割というのは、国際情勢の変化を客観的な分析…です、きっかり3分ですけど。

したがってこの法案の背後の国際情勢の変化っていうのは、もちろんグローバルな変化もありますけど、何よりも日本の隣国である中国の変化に対応せねばならないということだと考えてます。

この中国の変化というのは要するにアジアの変化であって、アジアの大国は間違いなく中国と日本です。

日本は中国の独裁主義と違って、ただしそれは中国の自らの選択ですから、客観的事実として《Dictatorship》、独裁体制なのは間違いがありません。それは余談ですけど今の人民元の引き下げについても言えることです。

それに対して日本は、たくさんの議論はあっても民主主義国家であることは間違いありませんから、アジアの中の民主主義のリーダーとして、アメリカが退いていく中での自らの役割を果たせねばならなきゃいけないかと、これは個人的になんですが思ってます。

その上で第1のポイント、アメリカの問題についてひとこと補足しておきますと、アメリカの変化っていうのは2001年の9.11同時多発テロから始まってます。

9.11同時多発テロはある意味アメリカという国が初めて経験した本土への攻撃であって、それはテロという新しいタイプの戦争ですけれども、アメリカの230数年の歴史の中で第二次世界大戦当時を含めて、本土が直接攻撃されてたくさんのアメリカ国民、実は日本国民もいたんですけれども、殺害されたのはそれが初めてです。

そこからアメリカ軍の世界再編ということが語られるようになりまして、ある意味ではもちろんアメリカの財政危機の問題もありますけれども、基本的には初めてアメリカが自国を護(まも)ることに目覚める、世界の警察よりも自国を護ることが最初だと目覚めましたから、世界のどこの地域でもアメリカが全部仕切ってきたのを一部解除して、アメリカの本土防衛に、本来の国防に戻っていくということが言えます。

これはアジアにおいては、敗戦国の日本としては大きな良いきっかけというものであって、アメリカの支配の下におかれていた日本のわたしたち国民の防衛というものを、自らの手に取り戻す。

ただしこれは日本だけで防衛できる国ではありません。それは絵空事であって、世界のどこの国でも必ず共同して防衛してます。

だからこそ集団で防衛する国連が大きな意味を持ってるわけでありますから、したがって例えば日米安全保障条約に基づく同盟関係をよりまともな、対等なものにするためにも、日本の役割分担というのは強めねばなりませんから、先ほど西先生からお話のあった、国連憲章に定めているところの個別的自衛権及び集団的自衛権というのは、国連加盟国の中でアメリカを除けば最大の資金拠出国、わたしたちの国民の税を使って国連を支えてるわけですから、そこに憲章に定められた義務というのはそろそろ果たすべき時期が来てると思います。

もう時間ですけれども、もうひとつのポイントを手短に言いますと、実は拉致事件も国際環境の変化に、日本の現在の法体系はついていってないと考えてます。

この拉致事件については後ほど他の方から詳しいお話もあると思いますけれども、ひとつ私から話しておきたいのは、アメリカのオバマ政権が中心になりましてイランと核合意というものがほとんどゴールに達してます。

これに対して賛否両論あるのは当然ですけれども、実態として申せば少なくとも恐れとしては、この核合意によってイランが時間をかけて、つまり性急にやらないで、しかも大量に核を作らないで、小型核開発のような小さな核にとどめるのであれば、これは実質容認される恐れは出ています。

そうするとイランの核開発が、時間をかければできる事になれば、実はイランの核開発の技術っていうのはすべて北朝鮮のものであって、しかも核合意によって経済制裁が終わればイランは産油国ですから、イランを通じて莫大なオイルマネーが北朝鮮に流れ込むことが考えられます。

北朝鮮が再調査するはずが実はしていない。

これに関して最近重大な証言が、すいませんこれは僕の古巣の共同通信の発信になりますけれども、よど号の犯人に共同通信が直接確認したところ、今年の2月に北朝鮮から特別調査委員会を通じて、よど号の犯人たちに事情を聞きたいと。つまり有本恵子さんなどを拉致した事件について事情を聞きたいという話があったのにその後パタリと止まったと。

実はこれはイランの核合意に近づいていく時期と符合してます。それからむしろ…([櫻井氏につつかれて]もうやめますね)

そういうことを全部考えると拉致事件の解決というのはあくまで日本が交渉力を強めることしかありません。話し合って話し合ってダメだったら救出作戦もありえるということを、戦争をやるっていう意味ではなくて、少なくとも法制度として担保することがやがて必要になると思いますから、その入り口としてこの安保法制案は大事な意味があると思います。

3分プラスアルファになりましたけれども、この辺までにいたします。ご質問があれば後でご質問の時間があるようです。

発言者:青山繁晴

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