8月19日 小池晃(共産党) 午後の質疑(全文) 参議院『平和安全特別委員会』
※平成27年8月19日、参議院『平和安全特別委員会』より
午前中の質疑では「法案成立後に検討を始めるべきもの」という大臣答弁と、統幕内部文書作成の指示の矛盾を指摘をいたしましたが、大臣は統幕が行ったのは分析、研究、実際の運用要領の策定、又は訓練の実施、関連規則の制定は含まれていないと答弁しました。
確認ですが、つまり運用要領の策定、実施、訓練の実施、関連規則の制定でなければそれは検討ではなくて分析、研究ということなんですね?
中谷防衛大臣
いわゆる分類でございますが、法案成立前でも行うことができる分析、研究というのは当該法案について認識を深めて、法律の施行とともに必要となる事柄についてあらかじめ整理をする行為という意味で申し上げております。
他方、法案成立後に行うべき検討というのは、法律の施行に伴い必要となる事柄について、結論を得るために具体的な原案を策定をし、関係部局と実質的な調整をはかっていくという行為という意味で申し上げておりまして、本法案については運用の要領の策定、訓練の実施、関連規則の制定等があたると考えております。
これはほんとインチキですよ。
運用要領の策定、実施?訓練の実施?関連規則の制定?これは法案の具体化ですよ、検討を通り越してますよ。いくら暴走する統幕だって、こんなことを法案成立前にやるはずがないと思いますよ。
結局これは苦し紛れのごまかしにすぎないということだと思います。やってることは一般的にいえば検討以外の何ものでもない、それは大臣の検討してはいけないという答弁に明らかに矛盾をするということを申し上げておきたいと思います。
それから午前中の質疑で大臣は繰り返し、この統幕文書は大臣の指示の範囲内だとおっしゃった。
ということは内容も指示の範囲内、問題はないという認識ですね?YESかNOかでお答えください。
中谷防衛大臣
この文書の目的というのは、法案の周知徹底をはかるために作ったものでございまして、改めて文書の内容を見まして、わたくしの指示の範囲内であると認識しております。
指示の範囲内だと、内容に問題ないということなんですね?内容に問題ないんですね?指示の範囲内で、内容に問題ないんですね?お答えください。
ちょっと後ろから紙出さないでいいからさ。簡単なことを聞いてんだから。
中谷防衛大臣
わたくしが指示をいたしましたのは分析、研究を行えということ、又、周知徹底ということでございまして、その範囲内であると考えております。
中谷防衛大臣
一読をいたしましたけれども、あくまでも法案の内容について一層の研究をしていると、又、隊員に対してこの法案の中身を周知徹底していると、そういう内容の範囲内であります。
中谷防衛大臣
わたくしが読みまして、内容に問題がないと認識しております。
内容に問題がないってのは深刻だと思います。
41ページに、
新ガイドラインで新たに設けられることになった同盟調整メカニズムが常設のものとなることが明記され、ACM内には運用面の調整を実施する軍軍間の調整所が設置される
と。
軍軍間の調整所ってなんですか?
中谷防衛大臣
これはすでに存在をいたしております、つまり今のガイドライン等におきましても《Military to Military》というようなことで、共同の調整所等が存在しているということでございます。
中谷防衛大臣
制服同士の関係でございまして、日米間では便宜的に《Military to Military》、つまり軍軍間ということがございまして、制服中心で構成する組織であるという意味で日米間の組織を便宜的に軍軍間、いわゆるMMといいますけれども、《Military to Military》という表現を使っております。
だから自衛隊を軍とする文書ですね?と、文書では自衛隊を軍としてるわけですよね?それは大臣の指示の範囲内だとおっしゃってるわけだから、この軍軍間の調整所の軍は自衛隊ですね、と。ひとつは米軍、ひとつは自衛隊、こんな単純な質問、YESかNOかで答えてください。
中谷防衛大臣
これは1997年の旧ガイドラインで構築された日米間の調整メカニズムというのがありまして、又、包括的メカニズムというのもあります。もうすでに自衛隊と米軍という制服同士が調整や協議を行う組織として《BCC》、日米共同調整所といいます。《BCC》といいます。また、共同計画検討委員会《BPC》といいまして、これは制服同士の関係について日米間では便宜的に《Military to Military》と呼んでおりまして、軍軍間というようなことを表現したということでございます。
自衛隊と米軍でございまして、この関係の略語でございます。
なお、自衛隊は憲法上必要最小限を越える自衛力を保持しないという制約を課せられておりまして、自衛隊が通常の観念で捉えられる軍隊であるということを意味するものではないということは、ご承知のとおりでございます。
この軍軍間がひとつは自衛隊だということを認められた。
自衛隊を軍とする文書が、これは大臣が内容に問題ないっていうのは大問題だと思いますよ。
しかも軍軍間の調整所が中核になるわけですから、これはまさに米軍と自衛隊の総合司令部になるわけです、平時からの。しかも調整っていうけど圧倒的な情報量を持ってるのは米軍ですからね?これは米軍が主導権をもって、自衛隊が米軍の指揮下になることは、誰が見たってはっきりしてるわけですよ。
そもそも新ガイドラインにも法案にも軍軍間の調整所なる規定は無いと思うんですが、無いですよね?新ガイドラインにも法案にも、軍軍間の調整所なる規定は無いですね?確認してください。
黒江防衛政策局長
法案の中、あるいは新ガイドラインの中での記述ということでございますけれども、先生の言われるような記述はございません。
他方で、新たなガイドラインの中におきましても、同盟の調整メカニズムというものが定められておりまして、これについてさらにブレイクダウンするということは、我々の任務でございますし、統合幕僚監部の任務でもございます。
またその際に、先ほど先生からご指摘がありましたけれども、これにつきましてガイドラインの中では、日米双方はそれぞれの指揮系統にしたがって行動するという記述も、併せてされておるわけでございます。
余計なことを言わないでほしい。わたしはそんなことを聞いていない。
ブレイクダウンする、ブレイクダウンで軍軍間の調整所ですか、こんなこと一切書いてないわけですよ。
新ガイドラインには自衛隊と米軍との間の協力を強化するために運用面の調整機能は併置されると、平時から連絡窓口に関わる情報が共有され及び保持されるということは書いてありますよ。ただ、軍軍間の調整所なんて言葉はないわけですよ。
結局、この文書の大問題というのは、この法案に書かれていないだけではない、新ガイドラインにすら書かれていないような中身が、これで初めて知ったわけですよ。前からありましたって言うけど、そんなこと国会で今までは一度も答えたことがないじゃないですか。どうですか?国会で今まで一度でも説明したことがありますか?軍軍間の調整所が日米間に存在する、そんな答弁を、中谷さんあなた国会でやったことがありますか?
中谷防衛大臣
その前提ですけれども、今度の新ガイドラインでも自衛隊及び米軍の活動についておのおのの指揮系統を通じて行動すること、またおのおのの憲法及びその時々において適用のある国内法令、並びに国家安全保障政策の基本的な方針にしたがって行われるということが明記されておりまして、自衛隊が米軍の指揮下に入るということはございません。
そしてこれまでも《BCC》といった日米共同調整所、又、《BPC》、共同計画検討委員会といった枠組みは設置されておりまして、このような制服どうしの関係におきまして、こういった関係の調整所などは存在をしております。
黒江防衛政策局長
国会答弁の有無という事実関係につきましては、改めて確認をさせていただきますけれども、このユニフォーム同士の調整所といったものの存在につきましては、すでに現行、現行といいますか前のガイドラインの調整メカニズムの一環といたしまして、これを我々といたしましては防衛白書、その他の文書で公にいたしておるところでございます。
国会の議事録の中で軍軍間の調整所なるものは出てないですよ。軍軍間の調整所って言ったらそれだけで国会が止まりますよ。そんなことがまさに軍を自認するに至った自衛隊のもとで、その中で国会にも明らかにしないでどんどんどんどん進んでるっていうのは、本当にきわめて重大な事態だというように思える。
41ページ、下の説明、ここは共同計画の策定について書かれているんですが、新ガイドラインでは今までのガイドラインの計画、検討という表現が共同計画の策定を行うというふうになります。しかし統幕文書はそれにとどまりません。ここに何て書いてあるかというと、
これまでは日米共同計画については検討と位置づけられていたことから、共同計画の存在は対外的には明示されていませんでしたが、今後は共同計画の策定と位置づけられ、日米共同計画の存在を対外的に明示することになります。
今まで政府は何と答えてきたか、
共同計画はあくまで検討段階で、計画そのものは存在しない
という答弁を続けてきている。
2003年の武力攻撃事態特別委員会で当時の石破防衛庁長官は、共同作戦計画があるわけじゃないんだと、両国政府が行うのは共同作戦計画についての検討、共同作戦計画の中にそのようなものが入っているのかと聞かれれば、そのようなものができあがってるわけではございません云々と答えてるわけですよ。
それから中谷防衛庁長官時代に、これはブレア米太平洋軍司令官がアメリカの下院で、97年のガイドラインに基づく共同作戦計画に署名したと証言をして、その問題を我が党議員が国会で取り上げて大臣も答弁している、2002年3月の国会です。日米共同計画への署名は行われることは認めたけれども、その際にも作業の進捗を確認するためのものだと、共同作戦が存在することは一切これまで国会で認めてこなかったわけですね。これまで検討を続けてきたのだって、存在しないと言ってきたけれども、この文書を見るかぎりでは実際には存在していたということになるんじゃないですか?これもYESかNOかで答えてください、はっきり認めてください。
中谷防衛大臣
これは協議を積み上げてきて、経緯もございます。
というのは、97年のガイドラインのもとに計画検討作業をおこなって、2013年の10月の《2+2》の共同発表で〔かかる作業の進展及び精緻化〕について確認がされ、さらなる検討を積み重ねてきたということでございます。
その上で今般のガイドラインの見直し作業におきまして日米間で、これまでの計画検討作業の進捗及び成果を踏まえれば、これにより相当程度精緻化された成果を得るに至っており、かかる精緻な検討結果について共同計画として保持することが領国の対応を一層、迅速、的確なものとするために有益であると認識で一致しました。
となりまして、このように共同計画につきましてはこれまでの計画において徐々に精緻化された結果、計画として保持しうる段階に達したのでありまして、防衛省が共同計画の存在を隠していたというご指摘にもあたりませんし、共同計画の内容、その詳細については、緊急事態における日米両国の対応に関わるものであるからということで、事柄上、性質上、お答えは差し控えさせていただきますが、この存在を隠していたということはございません。
あるっていうことですよこれ。だってここを見てくださいよ。
これまで検討と位置づけされていた頃から共同計画の存在は対外的には明示されていませんでしたが
と書いてある。
あるってことじゃないですか、日本語をどう見たってあるってことじゃないですか、どうですか?
中谷防衛大臣
先ほど公式にお答えをさせていただいておりますが、ガイドラインの作業におきまして日米間でこれまでの計画検討作業の進捗、精緻化を踏まえれば、これにより相当精緻化された成果を得るに至っており、かかる精緻な戦闘結果について共同計画として保持することが両国の対応をより迅速、的確なものにするために有益であるという認識で一致をしたということを発表いたしております。
要はあるんですよ、精緻化されたものができてるってことじゃないですか。今まで無いといってたことをあると認めたこれ重大だと思う。こういうことが、この文書が出てこなかったら表に出なかったんではないかと思う。これはほんとに重大だよね、これ。
それから42ページを見ていただきたいんですが、これは平時からの協力措置で情報収集、〔警戒監視及び偵察〕いわゆる《ISR》について書かれている。
ここでは〔東シナ海等における《ISR》のより一層の推進に加えて、南シナ海に対する関与のあり方について検討〕とありますよ。
新ガイドラインにも法案にもこれ無いですよね?この検討も大臣の指示の範囲内ですか?南シナ海における関与のあり方について、ワーキンググループで関与のあり方について検討をする、これは大臣の指示の範囲内なんですか?
中谷防衛大臣
まずこれからの話ですが、一般論として申し上げれば、脅威の兆候を可能な限り早い段階で特定するとともに、情報収集、分析における決定的な優越を確保するために日米両政府は共通の情報認識を構築し維持しつつ、情報を共有して保護をするということにしております。
このため自衛隊及び米軍はアセットの能力として、利用可能性に応じて相互に補完的な方法で共同の《ISR》、情報収集、警戒監視、偵察活動を行うということにいたしております。
新ガイドラインにつきましては双方の防衛協力に係わる役割、任務等について、一般的な大枠や政策的な方向性を示すものでありまして、お訊ねの南シナ海も含めて、特定の地域を対象にしているものではありません。
新ガイドラインのもとで具体的な《ISR》、協力については現実の事象に即して適切に対応していくことになりますが、本資料においてはあくまでも統合幕僚監部において今後検討していくべき課題として記載をしたものであると聞いておりまして、南シナ海においては現在、自衛隊として継続的な警戒監視を行っておらず、また、その具体的な計画を有しているわけではないということでございます。
特定の地域を指定しないと言いながら南シナ海における関与のあり方について検討すると、特定の地域が書かれてます、今の答弁はまったく間違ってる、まったくおかしな答弁だと、これは納得できない。
黒江防衛政策局長
南シナ海におきまして自衛隊がどのような活動をするかという点につきましては、本国会におきましても幾度かすでに質問が出まして、これに対して防衛大臣からも明確にお答えをしておりますけれども、これまで我々としては具体的な行動の計画というのはないけれども、今後その点についても計画していくべき課題であるというお答えを累次いたしております。
その内容を受けまして、統合幕僚監部におきましても今後の検討課題であるということを記述したというものでございます。
鴻池委員長
質問を継続してください。
質問を継続してください。
答弁に不満だったら、立ち上がってしたらどうですか?
はい、小池君!
...止めてくださいね?
これは審議の前に出された文書で、まったく説明されてないことが、南シナ海というと地域名も特定されているわけで、それに対してまったく答えてないわけですから、こんなことを繰り返しても時間の無駄ですから、止めてください!
ダメです!止めてください!ちょっと協議してください、同じことを答えるから、どうせ!どうせ同じことを答えるから!
鴻池委員長
委員長が発言します。
ただいまの小池君の質問に対して、正確に、明瞭に答えられるなら答えてください。
中谷防衛大臣
南シナ海の活動におきましては、わたくしは大臣として国会におきまして、これは課題であるということは数回以上答弁をいたしておりまして、その内容におきましてはまさにわたしの答弁とまったく同じでありまして、今後の課題であるという記述そのものでございます。
国会の審議がだいぶ進んだあとで答弁したことを、今みたいにこんな最初から言ってたかのように言われたって、これはまったく国会を欺くもので、これでは委員長。委員長、これではもう同じことですから、ちょっときちっと協議してください。
中谷防衛大臣
もう一度答弁させていただきます。
新ガイドラインは日米の防衛協力にかかる役割、任務についての一般的な大枠、政策的な方向性を示すものであり、お訊ねの南シナ海も含めて、特定の地域を対象としているものではありません。
新ガイドラインのもとで具体的な《ISR》、協力については、現実の事象に即して適切に対応していくことになりますが、本資料においては、あくまでも統合幕僚監部において今後検討していくべき課題として記載をしたものであると聞いており、南シナ海において現在、自衛隊として継続的な警戒監視活動を行っておらず、また、その具体的な計画を有しているわけではございません。
なお、わたくしは以前の国会答弁におきまして4月23日に、この南シナ海の情勢に与える影響等につきましては、今後の課題であるというふうに答弁をいたしておりまして、この記述におきましても、その範囲内の記述であると認識しております。
新ガイドラインには特定の地域は書いてないわけですよ。それが新ガイドラインに基づく検討事項の中にちゃんと書いてあるわけですよ。だから新ガイドラインで書いてないことがここに書かれている、このことについての政府の整合性をどういう説明をするのか、ここに特定の地域名を書いたことについて統一見解を求めます。それはあとでお願いしたいと思います。それから...(周囲の不規則発言:座らないといけないのに...)
鴻池委員長
のちほど、理事会において諮るようにいたします。
小池君。
失礼しました。
47ページで下のほうに何が書いてあるかというと、これ《PKO》について書いてあるんですが、下に参考資料というのがあります。そこに何と書かれているか。
自己保存型の武器使用については、自己の生命、又は身体を守るためのものであり、どのような場面でも憲法第9条との関係で問題にならないため、どのような場面でも権限として行使できる、これが防衛省の見解ですか?
中谷防衛大臣
そのとおりだと思います。
どのような場面でもですか?自己保存だったらいかなる場合でも、どのような場面でも憲法9条に違反しないと。
こんなことを言ってるから、イラク復興支援活動行動史でも黒塗りになった部分であぶないと思ったら撃てという指示をしていたっていうのはあるわけですよ。
わたし、こんなことを今まで国会で言ったはことないと思います。こういうことが自衛隊の中で堂々と議論されてるってことに戦慄を覚えるんですよ。
結局丁寧に説明するっていうふうにおっしゃってきましたけれども、今日わたくしがとりあげたこの文章の中身の問題は、何ひとつとして今まで国会で議論されたことのない問題ですよ。それがこういう文書になって出てるわけですよ。衆議院の審議でも一切これは答弁されてませんよ、この中身は。
国会に提出する前にアメリカと新ガイドラインを合意して、法案を出して、審議が始まっていない段階でこれだけ詳細な中身が自衛隊の中では説明をされている。
わたし、さっきから与党がかばって出てくるけど、これはおかしいですよ。与党だって怒んなきゃいけないんですよ。だって国会ってじゃあ何なんですか。国会の議論の中で、我々は問題点を指摘をする、それを受けて答弁をする、そういう中で法案っていうのは作られていくんじゃないんですか?こんなことやったらまったく国会は関係ないってことになるじゃないですか?
だからまさに自殺行為のようなことを、ほんとに認めていいのかってことは党派を越えた課題だというふうに思いますよ。これじゃ通過儀礼ですよ。
わたくしはそれは...
(与党側から不規則発言:そんなことないよ)
そんなことないって言うけどね?一番怒んなきゃ、だって大臣は見てなかったんでしょう?わたしが国会で示すまで、大臣見てなかったわけでしょう?大臣が怒んなきゃいけない問題じゃないですか?こんなことが自衛隊の中でどうどうと議論され具体化の作業まで進んでいるということなわけで、わたし中谷大臣の責任、安倍総理の責任もきわめて重大だというふうに思います。
この文書の作成に責任を持つ統合幕僚長を証人喚問すべきだというふうに思います。改めて『憲法違反』の『戦争法案』は断固廃案にするしかないということを申し上げて、質問を終わります。